スーパーコンピューター「京」超える後継機 主要部品を公開

スーパーコンピューター「京」超える後継機 主要部品を公開
かつて世界一の計算速度を誇った日本のスーパーコンピューター「京」を超える性能を持つ後継機の製造がことし3月から始まっていて、14日、主要な部品が公開されました。
「京」の後継機となる新しいスーパーコンピューターの開発は、国のプロジェクトとして理化学研究所と富士通が進めていて、ことし3月からハードウェアなどの製造が始まっています。

14日は、演算を行うコンピューターの頭脳とも言えるCPU=中央演算処理装置と、計算速度を上げるためCPUを複数つなぎ、冷却も行うシステムボードと呼ばれる装置1台が都内で報道陣に公開されました。

スーパーコンピューターの開発競争は世界的に激しくなっていて、単純に計算の速さを競う「LINPACKベンチマーク」では、2011年には日本の「京」が1位でしたが、その後、アメリカや中国に抜かれ順位を落としています。

後継機は、「京」の20倍の演算速度を誇るCPUを搭載するなど性能を向上させ、同じ条件でシミュレーションを行うと、最大で「京」の100倍の計算速度を実現し、世界トップクラスになるということです。

さらに、メモリとCPUの間で行われる膨大なデータの出し入れについても速度を最適化する機能を強化して、コンピューターの能力を最大限引き出し、実験や予測を効率よく行えるということです。

その結果、集中豪雨や突風など複雑な自然環境の変化をより早く高い精度で予測できるほか、自動車の開発などでは風の向きやハンドル操作など現実的な状況を考慮したシミュレーションが可能になるということです。

後継機は、撤去が決まっている「京」を運用する神戸市の理化学研究所に設置される予定で、国は2021年の運用開始を目指しています。

開発担当者「利用者の使いやすさを目指したい」

富士通次世代テクニカルコンピューティング開発本部の新庄直樹本部長は「開発は順調で、最終段階に入っている。計算速度で世界一を目指すことも重要ですが、開発の初期段階から利用者と共同で開発を進めてきました。利用者の使いやすさを重視したスーパーコンピューターを目指したい」と話しています。

スーパーコンピューターの順位

スーパーコンピューターの性能を示す指標はいくつかあり、「ベンチマーク」と呼ばれます。

最も知られているものの1つが、「LINPACK」と呼ばれるアプリケーションを使って単純な計算の速度を競う「LINPACKベンチマーク」です。

毎年6月と11月に上位500のランキングが発表され、去年11月の最新の順位は、アメリカのスーパーコンピューターが1位と2位、中国が3位と4位となり、米中が上位を独占しました。

ここ数年、中国が1位でしたが、去年6月のランキングで5年ぶりにアメリカが首位を奪い返しました。

日本のスーパーコンピューターでは、人工知能の開発に活用するため専用のデータ処理装置などを搭載した産業技術総合研究所の「ABCI」が7位、「京」は18位でした。

日本勢は、「京」が2011年に1位となるなど、アメリカ、中国とともに首位を争っていましたが、近年は順位を落としています。

このほかのベンチマークとして、産業利用や災害予測など実用的な計算を行う際の速度を示す指標もあり、その一つが「HPCG」です。

去年11月の最新の順位では、1位と2位がアメリカでしたが、3位に日本の「京」が入りました。

理化学研究所やメーカーでは、「京」の後継機も、計算速度の速さだけでなく、シミュレーションなど実際に行う際の使いやすさを重視する開発方針を示しています。