米中貿易摩擦 日本企業にも影響 生産の切り替え対応相次ぐ

米中貿易摩擦 日本企業にも影響 生産の切り替え対応相次ぐ
米中の貿易摩擦が激化する中、日本企業の間では中国で生産してアメリカに輸出してきた製品の生産を日本での生産に切り替えるといった動きが相次いでいます。追加の関税負担や、製品の値上がりを避けるためです。
自動車関連では「パナソニック」がカーステレオなどを中国の工場で生産し、アメリカにある自動車メーカーの工場向けに輸出してきましたが、生産の一部を一時的にタイやマレーシアなどに切り替えています。

「クラリオン」もカーナビとカーオーディオの生産の一部を中国から日本に移しています。

「東芝機械」は、アメリカにある自動車部品メーカー向けに輸出していたプラスチック部品を作る機械を静岡県沼津市とタイの工場での生産に切り替えました。

家電製品関連では「ダイキン工業」がエアコン部品のコンプレッサーを中国で生産し、アメリカにあるグループ会社のエアコンの工場に輸出してきましたが、タイでの生産に移管するため、ことしに入って生産設備の移設などの準備を進めています。

「富士通ゼネラル」も、アメリカ向けに輸出してきたエアコンの生産の一部を中国からタイに切り替えています。

「日本電産」は、アメリカに輸出してきた自動車用とエアコン用のモーターの生産の一部をメキシコでの生産に切り替えています。

「富士フイルム」は、デジタルカメラ用のアクセサリーなどを中国で調達し、アメリカに輸出していますが、調達先を中国から切り替えることも含めて検討しています。

「三菱電機」は、アメリカに輸出していた半導体製品と産業用機械の生産の一部を中国から日本に切り替えています。

日本経済への影響は

世界1位と2位の経済大国であるアメリカと中国の間の貿易摩擦が激化していることで、世界経済全体に悪影響が及ぶことが懸念されています。

民間のシンクタンク「大和総研」の試算によりますと、アメリカが中国からのすべての輸入品に25%の関税を上乗せした場合、GDP=国内総生産がアメリカで0.57%、中国で0.37%、それぞれ押し下げられるとしています。

上乗せの対象に、アップルの「アイフォーン」などのスマートフォンやスポーツシューズ、おもちゃなど、身近な消費財が多く含まれていることから、関税の引き上げで小売価格が上昇すれば、アメリカの個人消費を押し下げると見込まれるためです。

一方、中国ではアメリカ向けの輸出が減少し、企業収益の悪化などにつながるとしています。

また、日本のGDPへの影響は0.03%の押し下げと、直接的な影響は限られるとしていますが、中国からアメリカへの輸出が減少すれば日本の電子部品や産業機械など、中国向けの輸出がさらに落ち込むことも懸念され、日本経済にも影響が広がることは避けられないと指摘しています。

専門家「米の高関税 世界経済全体に影響」

アメリカのトランプ政権が中国からのほぼすべての輸入品に高い関税をかける手続きを始めたことについて、大和総研の小林俊介エコノミストは「仮にすべての品目に高い関税がかけられた場合、関税額の規模はこれまでの2倍以上となるうえ、スマホなど消費者に身近な製品に影響が及ぶため、家計を直撃してしまう。米中経済に大きな打撃となり、世界経済全体への影響も無視できない」と指摘しました。

そのうえで、今後の日本経済の影響について、小林エコノミストは「日本から中国に輸出していた電子部品や産業用機械が売れなくなるといった悪影響が想定される。さらに、関税の影響で中国での生産コストが上昇するため、日本企業は工場を消費地に近い場所に移転するなど、中国ビジネスの見直しを迫られていくだろう」と述べました。