千葉の女児虐待死 “性的虐待の疑い”診断も 一時保護解除

千葉の女児虐待死 “性的虐待の疑い”診断も 一時保護解除
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千葉県野田市で小学4年生の女の子が虐待を受けた末に死亡し両親が起訴された事件で、女の子が以前、児童相談所に一時保護された際、父親から性的虐待を受けている疑いがあると医師から診断されていたことがわかりました。

児童相談所は診断のおよそ2週間後に一時保護を解除しており、県は当時の対応について検証を進めています。
この事件ではことし1月、小学4年生だった栗原心愛さん(10)に暴行を加えて死亡させたとして父親の勇一郎被告(41)は傷害致死などの罪で起訴されています。

女の子はおととし11月、小学校のアンケートに父親の暴力を訴え、児童相談所に一時保護されましたが、その際、医師が、父親から暴力に加えて性的虐待を受けている疑いがあるとする診断結果をまとめていたことがわかりました。

関係者によりますと女の子は医師らに対し、父親から受けた虐待の1つとして「急にズボンを下ろされ、下着も脱げたことがあった」と訴えていたということです。

女の子は一時保護の際、PTSDの疑いがあると診断されていたこともわかっていますが、児童相談所は診断のおよそ2週間後に一時保護を解除し、その後、両親のもとに戻す決定をしました。

この事件をめぐっては、千葉県の第三者委員会が当時の児童相談所の対応について検証を進めています。

県の幹部はNHKの取材に対し「性的虐待が疑われる行為が確認されたのが1回だけだったため、当時、関係者の間では重くは受け止められなかったようだ。女の子の尊厳に関わることなので、県から積極的に明らかにすることはできなかった」と話しています。

千葉県のこれまでの対応

この事件を受けて、千葉県は児童相談所の対応の問題点などを検証するため、学識経験者や弁護士などをメンバーとする第三者委員会を立ちあげ、これまでに2回、会合が開かれています。

第三者委員会では、児童相談所が女の子の一時保護を解除し、両親のもとに戻す判断をした経緯について検証するとともに、児童相談所に当時の対応などの記録が十分に残っていない背景についても調べるとしています。

ただ、会合は非公開で、議論の内容も個人情報の保護などを理由に公表されていないほか、報告書がまとまる時期についても県は「期限を区切ることで拙速な議論になることは避けたい」などとして見通しを示していません。

一方、県は今月、第三者委員会が進める検証作業とは別に再発防止に向けた緊急対策案をまとめました。

このなかでは、虐待の疑いがある児童を一時保護する施設の定員を拡大することや、急増する虐待の相談に十分に対応するため、児童相談所の職員を2年間で100人余り増やすことなどが盛り込まれています。

また、今回の事件で問題とされた関係機関との情報共有や児童相談所の意思決定の在り方などについては、第三者委員会の議論も踏まえて改善策を検討するとしています。

専門家「児童相談所の対応信じられない」

東京都の児童相談所で児童心理司として20年近く勤務した経験がある家族問題カウンセラーの山脇由貴子さんは「児童への性的虐待は、疑いがわかっただけでもすぐに保護して、絶対に家に帰してはいけないというのが基本中の基本だ。PTSDの疑いもあった中で、一時保護を解除したのは信じられない」と話しています。

また、千葉県が「性的虐待が疑われる行為が確認されたのは1回だけだった」と説明していることについては「性的虐待はすごくつらい体験なので、記憶を維持できずに忘れてしまう子どももたくさんいる。本人が言ったのが1回だったからと言って、本当に1回きりだったかどうかはわからない」と指摘しました。

そのうえで、児童相談所の一連の対応について「女の子を父親のもとに返すという結論ありきだったとしか思えない。父親の脅しが怖くて『とにかくこの父親と早く縁を切りたい』と思っていたのではないか。千葉県の第三者委員会の検証では、児童相談所の対応のどこが問題だったのか具体的に明らかにして、しっかり教訓になるようにしてほしい」と話しています。