中国「圧力に屈せず」 貿易摩擦めぐる米との対立激化

中国「圧力に屈せず」 貿易摩擦めぐる米との対立激化
アメリカのトランプ政権が、中国からのすべての輸入品に関税を上乗せする手続きを始めたことについて、中国側が反発を強めています。中国外務省の報道官は、13日、「中国は外国の圧力に屈したことはない」と述べて、アメリカに対抗する姿勢を鮮明にし、貿易摩擦をめぐる対立が激しくなっています。
トランプ政権は、貿易交渉で中国と折り合いがつかなかったため、中国からの2000億ドル分の輸入品の関税を引き上げたほか、まだ関税を上乗せしていないおよそ3000億ドル分の関税を引き上げてすべての輸入品を対象にする構えを示しています。

これについて中国外務省の耿爽報道官は、13日の記者会見で、「追加関税はいかなる問題も解決できない。中国は外国の圧力に屈したことはない。合法で正当なみずからの権益を守る決意と能力がある」と述べ、関税で圧力をかけて譲歩を迫るアメリカへの対抗姿勢を鮮明にしました。

一方、中国は、先週、アメリカが、2000億ドルの輸入品の関税を引き上げたことへの報復措置をまだ発表していません。これについて耿報道官は「中国は報復措置を取らざるをえない。具体的な内容は注視しておいてほしい」と述べるにとどめました。

中国は貿易交渉を決着させるためには、アメリカがすべての追加関税を撤廃するほか、合意文書は国家の尊厳が守られるようにバランスを取るべきだと主張し、一方的な妥協はしないという立場を強調しています。

今後の手続きなどは

トランプ政権は、中国との貿易交渉を続けていく方針ですが、3000億ドル分の輸入品に対する追加関税を、中国に圧力をかける交渉戦術のカードとして、活用していくねらいがあるものと見られます。

アメリカ通商代表部は、中国からの輸入品のうち、まだ関税を課していない、およそ3000億ドル分の関税引き上げに向けた手続きを始めました。13日には、具体的な税率や対象品目それに関税引き上げに必要な手続きの日程などを、明らかにするものと見られます。

まず税率です。これまで、2500億ドル分の輸入品に対しては、25%の高い関税が上乗せされています。次の3000億ドル分には、初めから25%の高い関税を課すのか、それとも段階的に引き上げるのかが焦点です。

次に、対象品目です。まだ関税が課されていない輸入品が対象となるため、これまで除外されていて、アメリカ企業が中国で生産している製品、例えばアップルのiPhoneや、有名ブランドのスポーツシューズ、洋服などが含まれる可能性があります。

またアメリカの子どもたちに人気のおもちゃなども対象になる可能性があります。対象のおよそ40%が消費者向けの生活に身近な製品になるとみられ、アメリカ経済をけん引する消費への影響もこれまで以上に大きくなるおそれがあります。

最後に今後の日程です。対象品目のリストを公表したあと、アメリカ通商代表部は通商法301条に基づいて、産業界などから意見を聞く、公聴会を開くことになります。

前回、2000億ドルの輸入品に関税をかけた時には、当初は6031品目が対象でしたが、産業界からの要望などを踏まえ300品目ほどが除外され、5745品目になりました。

公聴会をへて、最終的に、どの品目を対象に入れ、どの品目を除外するかや、実際に発動する日が決まります。前回は、手続きを始めてから実際に発動するまで、2か月余りかかりました。トランプ政権は、先週の中国との交渉は歩み寄りがなかったものの交渉を続けていく方針です。

ホワイトハウスのクドロー国家経済会議委員長は、12日、アメリカのFOXテレビのインタビューで、「米中の交渉は、今後も続く。来月の末に日本でG20サミットがある。トランプ大統領と習近平国家主席が会う公算がかなり高いだろう」と話しています。

G20サミットに合わせて、米中の首脳会談を開くことも見据え、3000億ドル分の輸入品に対する追加関税を、中国に圧力をかける交渉戦術のカードとして、活用していくねらいがあるものと見られます。

米の平均家庭で年間2294ドル負担増

トランプ政権が残るおよそ3000億ドル分の中国からの輸入品の関税を25%に引き上げれば、販売価格の値上がりなどを通じてアメリカの平均的な家庭では日本円にして、年間、25万円の負担増になるという推計があります。

アメリカの調査会社「トレード・パートナーシップ」の推計によりますと、今月10日に実施された中国からの2000億ドルの輸入品の関税引き上げで、平均的な4人家族の場合、年間の支出が767ドル(日本円で8万4000円)増えるということです。

また、93万人余りが仕事を失い雇用にも影響が出るとしています。

さらに、アメリカ政府が13日に発表した、残る3000億ドル分に25%の関税が上乗せされれば、負担は、年間2294ドル(およそ25万円)に増え、215万人の雇用に影響が出るということです。

これは、対象になる品目に衣料品などが加わって生活用品全般に影響が広がっていくためです。

また、NRF=全米小売業協会は、今月5日に出した声明の中で、「関税で引き上げられた分は、中国ではなく、結局、アメリカの事業者や消費者が支払うことになる。突然の関税引き上げは、準備が十分でない中小企業を中心に、アメリカ経済に深刻な影響を及ぼすだろう。交渉によって、アメリカ国民を懲らしめるのはばかげている」と交渉に強い懸念を示しています。

小売店からも不安の声

関税の上乗せ措置に中国からの輸入品を扱うアメリカ国内の小売店の経営者などからは、不安の声が聞かれました。

ニューヨークのマンハッタンで海外から輸入した絹や綿などの生地を販売するアザム・クワジャさんは、「これまで安かった中国製の生地が、“貿易戦争”によって、高くなってしまった」と嘆いていました。

クワジャさんの店では、1000を超える生地のおよそ8割が中国からの輸入品で、去年、トランプ政権が関税を引き上げたときには、関税の上乗せ分を販売価格に転嫁しました。今回、さらに関税が引き上げられたため、店では中国からの輸入を一時、中断することにしています。

クワジャさんは「今後、何が起こるのか、どのくらい生地の値段が上がるのか分からない」と不安そうに話していました。

また、今後の店の経営について「さらに商品の値段を上げれば、売り上げは落ちるだろう。そうなれば、店の経営は厳しくなり、閉店するか移転するか考えなければならないかもしれない」と話していました。

店を訪れていた洋服のデザイナーの男性も、「トランプ大統領は関税を引き上げるべきではない。生地の値段が上がってデザイナーたちを苦しめている」と不満そうに話していました。