五輪新競技「スケボー」新参記者の目に映った鮮烈な魅力

五輪新競技「スケボー」新参記者の目に映った鮮烈な魅力
東京オリンピックの新競技「スケートボード」。若者に人気の都市型の新しい競技を指す「アーバンスポーツ」の1つです。平野歩夢選手の活躍で沸いた日本選手権は参加者のほとんどが10代で、なんと優勝した選手の中には10歳の小学生の女の子もいました。日本の最年少出場記録を塗り替えるかもしれない新時代のオリンピック競技「スケートボード」を、初めて取材した27歳の山崎航記者が新鮮な目で、その魅力に迫ります。

「あどけなさ」と「大人」が同居

「10代前半の選手がたくさんいる。それどころか10歳未満の子までいる」。
それが、選手のエントリーリストを見た時の最初の衝撃でした。

スケートボードが若者に人気のスポーツ「アーバンスポーツ」の1つであることは認識していましたが、小学生や中学生が当たり前のように出場していることには驚きました。

特に女子選手の年齢層は非常に低く、開催された2種目で決勝に進出した合わせて16人の女子選手のうち、半分以上の9人が12歳以下でした。

「もはやこれは若いを通り越して幼いというのではないか」とさえ思いました。

しかし競技が始まると、彼らの姿はトップアスリートそのものでした。

すり鉢状のコースでジャンプなどの技を競う「パーク」の女子で優勝した10歳の開心那選手も、階段や手すりなどが設置された街なかのようなコースで技を競う「ストリート」の女子で優勝した13歳の中山楓奈選手も、ここいちばんの集中力や技の難易度の高さには目を見張るものがありました。

競技終了後のテレビ局や新聞社からの取材にもしっかりと受け答えをする選手が多く、同じ年代の小中学生と比べても大人びていました。

それでも競技以外の時間では、誰がエレベータへ先に乗るかで競争したり集まってスマホで自撮りをしたりと、そこにあったのは普通の小中学生の姿でした。

トップアスリートという「大人」の姿とあどけなさが残る「子ども」の姿。

その両面を持っているのがスケートボードの選手だなと思いました。

もとは「遊び」 ライバルとも「楽しむ」

若い選手ばかりだからこそ生み出されるアーバンスポーツならではの大会の雰囲気も感じました。

選手たちは一緒に本番に臨んでいるほかの選手の姿をスマートフォンで撮影し、お互いに見せ合っていました。

競技中にもかかわらず、ライバルたちにアドバイスを送ったり、みんなで集まって談笑したり、そしてライバルがいい演技をすればハイタッチで祝福したり、どこか牧歌的で競技を楽しんでいる雰囲気を感じました。

また、ほかの選手のボードが競技中に割れてしまって使えなくなったときには別の選手が自分の板を貸してあげる姿も見られ、そうした爽やかなスポーツマンシップも印象的でした。

もともとは街なかでの「遊び」が競技になったスケートボードには、競争以上に楽しむということが重視されているようでした。

注目の10歳 なるか84年ぶり最年少記録

そんな若い選手たちが集まった今大会。
特に私が注目したのはパークの女子で優勝した開心那選手(10)です。

スケートボードの前の端だけを使ってバランスを取る「ノーズライド」や、ボードを足から1度離して回転させて再び着地する「フリップ」など、年上の選手でも難しい技を次々と決め、今大会で唯一の小学生での優勝者となりました。

この開選手、もしも東京オリンピックに出場した場合には、ある記録を作ることになります。

それは「日本選手のオリンピックの最年少出場」です。

JOC=日本オリンピック委員会によりますと、夏冬合わせてこれまでの日本選手の最年少出場は、1936年にドイツで開かれた冬のオリンピックにフィギュアスケートで出場した稲田悦子さん(当時12)でした。

開選手が来年の東京オリンピックに出場することになれば11歳での出場になり、84年ぶりに最年少出場の記録を更新することになります。

開選手は今回の日本選手権の結果によって強化選手の候補に選ばれました。

今後開かれる海外の大会で選考レースに勝ち残れれば、オリンピックへの出場権を得ることができるのです。

それでも開選手は出場だけで満足するつもりはありません。

表彰式のあとの記者会見では「東京オリンピックでは上位の成績を残したい」と強く語ってくれ、その姿には期待を抱かざるをえませんでした。

東京オリンピックで採用された新時代のスポーツ「スケートボード」。

来年、10代の若い選手たちが世界のライバルたちと熱戦を繰り広げる姿を日本で見てみたいと思いました。