「二刀流」平野歩夢 東京五輪への挑戦 世界との戦いへ

「二刀流」平野歩夢 東京五輪への挑戦 世界との戦いへ
スノーボードさながらの高く滞空時間の長いジャンプを持ち味に、スケートボードの日本選手権で優勝した平野歩夢選手。東京オリンピック出場に向けた挑戦は、舞台を日本から世界へ移すことになりました。

スノボとの違いなんの いきなり大技成功

平野選手は去年11月、都内でスケートボードでの東京オリンピック出場に挑戦する意欲を示し、それから、すり鉢状のコースで競うパークの練習に本格的に打ち込みました。

平野選手はスノーボードとスケートボードの違いについて「まず足がボードにくっついているのとくっついていないのが全く違う。ボードを縦に回すのが、スノーボードにない難しさだ」と話します。

最初に臨んだ3月の日本オープンでは、スノーボードで見せたような高いジャンプと、ジャンプしながら背中向きに1回転半回る大技「バックサイド540」を成功させるなどして、いきなり3位に入り周囲を驚かせました。

固いコース けがとの闘い

好発進となった平野選手のスケートボードへの挑戦は、スノーボードとは違うリスクを抱えたものでした。
それがけがとの闘いです。

スケートボードのコースはコンクリート製などで固く、雪とは違います。

高いジャンプをしたりスピードがついたりするほど、転倒した際のけがの危険が高まります。

平野選手は今回の日本選手権の5日ほど前に、スケートボード中に左手をねんざしたことを明らかにしました。

このため大会の公式練習中も、転倒した時に左手をかばうしぐさやテーピングを気にする場面が何度も見られました。

平野選手は決勝を前に「左手はグラブする(板をつかむの意味)のが精いっぱいで、ほかにも細かい傷が日に日に積み重なるような、そういった練習が多かった。意地でもつかみにいってます」と話し、この大会への決意を示しました。

「意地」の理由は…東京五輪

平野選手の決意の理由は、日本選手権と日本オープンの成績を基に日本ローラースポーツ連盟が今年度の強化選手を選び、海外の大会に派遣するためです。

スケートボードで東京オリンピックに出場するためには、国際競技団体が指定する大会で成績をあげてポイントを積み重ねることが求められています。

このため、これまでスケートボードで実績のない平野選手にとっては、強化選手となって海外の大きな大会に出場することが極めて重要になるのです。

大技連発 けが乗り越え五輪へ一歩

そして臨んだ日本選手権の決勝。
ここでも平野選手は「バックサイド540」を成功させ、ジャンプしながら足で板を1回転させて手でつかむ大技「キックフリップインディー」も成功させました。

この時に板をつかんだのは、けがをしていた左手。
試合後、平野選手は「アドレナリンが出ていたため痛みを感じなかった」と笑顔で答えていたのが印象的でした。

さらに「トラック」と呼ばれる車輪の軸でコースの縁を滑る技も安定し、重要な大会での優勝と強化選手を勝ち取りました。

世界の強豪との戦いへ ここから正念場

平野選手が出場できる海外の大会は、早ければことし6月にアメリカで行われるプロ大会になりそうです。

日本ローラースポーツ連盟の西川隆ヘッドコーチは「平野選手は、練習を重ねることによって迷いの部分が少しは解消されてきているのではないか」と評価しました。

一方で「スケートボードの種目の中で男子のパークはいちばん世界との差が大きい。平野選手は、まずは大会で世界の強豪と一緒に滑り、足りないところと勝っているところを見つけることが、いちばん大事だ」と話しました。

また、スケートボードの関係者は「平野選手はジャンプの滞空時間と高さは “ピカイチ” だが、さまざまな技の組み合わせや独創性を成長させないといけない。今後は練習する環境が重要になり、難しいコースも含めてたくさんのコースで滑ることが必要だ」と指摘します。

平野選手もそれを認識しており、「僕がずっとスノーボードをやってきたように、ずっとスケートボードをやってきた人たちと戦うのですごい不利な状況で挑んでいる。技術的にも感覚的にも今は世界について行けるレベルではないので、少しずつスキルのレベルを上げていく練習を積み重ねて行ければいい。人が跳べない高さなど、自分にしかできない迫力のある滑りを追求していく」と話し、世界の強豪たち相手にも前向きに挑んでいく考えです。

日本史上5人目の夏と冬のオリンピック出場に向けた平野選手の挑戦に今後も期待がかかります。