両陛下 きょうから最後の地方訪問 伊勢神宮に参拝

両陛下 きょうから最後の地方訪問 伊勢神宮に参拝
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天皇皇后両陛下は、今月30日の天皇陛下の退位を前に、皇室とゆかりが深い伊勢神宮に参拝する儀式に臨むため、17日から3日間の日程で、三重県を訪問されます。天皇皇后として最後の地方訪問になります。
両陛下は17日午後、新幹線と私鉄を乗り継いで三重県に入り、伊勢市の宇治山田駅で地元の人たちの歓迎にこたえられます。

このあと、車で宇治橋を渡って伊勢神宮の内宮に入り、内宮にある行在所に宿泊されます。行在所では、伊勢神宮の祭主を務めている長女の黒田清子さんが両陛下を迎えることになっています。

両陛下は18日は、天皇陛下の退位に関する儀式として、午前に伊勢神宮の外宮に、午後に内宮に、それぞれ参拝されます。

そして、志摩市に移動して賢島のホテルに宿泊し、19日に東京に戻られます。

両陛下の伊勢神宮の参拝は、社殿などをつくり替えてご神体を移す、20年に1度の「式年遷宮」を受けて、5年前に参拝されて以来で、これが天皇皇后として最後の地方訪問になります。

今回の訪問では皇位継承の象徴とされ、来月1日に皇太子さまが受け継がれる三種の神器の剣と曲玉が、5年前の参拝以来、皇居から持ち出されます。

三種の神器とは

「三種の神器」は、皇位とともに歴代の天皇に伝わる宝物で、鏡と剣、曲玉があります。

天皇陛下も即位に伴ってこれらを受け継がれ、皇太子さまも即位する来月1日に受け継がれます。

三種の神器のうち、本体が皇居にあるのは曲玉だけです。剣は本体が愛知県の熱田神宮にあり、分身にあたる「形代」が、天皇皇后両陛下のお住まいの御所にある「剣璽の間」という部屋に、曲玉とともに置かれています。

また、鏡は本体が三重県の伊勢神宮にあり、皇居の宮中三殿の中央にある「賢所」に「形代」がまつられています。

三種の神器は、ふだんは毎年11月23日に行われる宮中祭祀(さいし)の新嘗祭(にいなめさい)以外で使われることはありません。

しかし、天皇陛下の伊勢神宮の参拝にあたっては、皇居の外に持ち出されることがあり、前回は5年前、社殿などをつくり替えてご神体を移す20年に1度の「式年遷宮」を受けて、天皇陛下が皇后さまとともに参拝された際に持ち出されました。

伊勢神宮と皇室の関係

伊勢神宮は古くから皇室とゆかりが深いことで知られています。

伊勢神宮の内宮には、皇室の祖先とされる「天照大神」がまつられ、歴代の天皇に伝わる「三種の神器」の1つの「鏡」が「ご神体」となっています。

飛鳥時代のころから600年以上にわたって、未婚の女性皇族が「斎王」という天皇の代理として、伊勢神宮に仕える役割を担っていました。

伊勢神宮の主な祭りをつかさどる「神宮祭主」は、戦後、皇族の出身者が務めていて、おととしからは天皇皇后両陛下の長女の黒田清子さんが務めています。

皇位の継承や結婚など皇室の重要な節目には、天皇や皇族による参拝が行われています。両陛下は昭和34年の結婚の直後に参拝し、結婚を報告したほか、平成2年には「即位の礼」と「大嘗祭(だいじょうさい)」が終わったことを伝えるなど、これまでにお二人で8回参拝されています。

皇太子さまも平成5年、雅子さまとともに結婚を報告したほか、即位後もことし秋に「即位の礼」と「大嘗祭」が行われたあと、お二人で参拝される予定です。

このほか、伊勢神宮で飼育されている馬、「神馬」が天皇陛下からおくられたり、毎年10月の「神嘗祭」に、天皇陛下が皇居で育てられた水稲が供えられたりするなど、皇室と伊勢神宮は古くからの深い関わりを保ち続けています。

国民とのふれあいを大切にされた両陛下

天皇陛下は全国各地に足を運び、国民と直接ふれあうことを大切にされてきました。

即位後15年で皇后さまとともに、全国47すべての都道府県を訪ね、おととしには2巡目の訪問を終えられました。

天皇皇后両陛下は毎年、各地で開かれる全国植樹祭、国体=国民体育大会、それに全国豊かな海づくり大会の3つの恒例行事などにあわせて、各地を訪問されてきました。

訪問先では中心となる行事だけでなく、各地の福祉施設や伝統文化、それに産業などを視察し、地元の人たちと交流されました。

一方で、両陛下は先の戦争の犠牲者を悼んで、「慰霊の旅」にも出かけられました。戦後50年となった平成7年には、被爆地の長崎と広島、それに住民を巻き込んで激しい地上戦が行われた沖縄などを訪問し、その後の節目の年などにも各地を訪れ、犠牲者の慰霊に臨まれました。

また、大規模な災害が起きるたびに被災地に足を運び、困難な状況にある人たちに心を寄せられてきました。

平成7年の阪神・淡路大震災では、発生から2週間後に余震の続く現地を訪れ、被災者を見舞ったほか、平成23年の東日本大震災では、7週連続で東北3県の被災地などを訪ねられました。

さらに両陛下の地方への訪問は、全国の島々にもおよび、去年は日本の最も西に位置する沖縄県の与那国島や、北海道北部の利尻島に足を運ぶなど、これまでお二人で訪ねられた島の数は50余りに上ります。

両陛下はお住まいの御所で、大きな日本地図上にピンを刺して、これまで訪れた場所に印をつけられています。去年、公開された映像では、皇太子夫妻の時に訪れた場所には青色のピン、天皇皇后として訪ねられた場所には赤色のピンが刺されています。

北海道から沖縄まで数多くのピンが刺され、各地への訪問を大切にされてきた両陛下の歩みがみてとれます。両陛下が、天皇皇后として訪問された市区町村の数は562に上ります。

天皇陛下は3年前の8月、ビデオメッセージで、象徴としての務めについてお気持ちを表す中で、「日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」と話されました。

そして、旅の中で国内のどこにおいても地域を愛し、共同体を地道に支える市井の人々がいることを認識したと振り返り、「この認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなしえたことは、幸せなことでした」と述べられました。