B型肝炎の給付金減額 患者側が逆転敗訴 福岡高裁

B型肝炎の給付金減額 患者側が逆転敗訴 福岡高裁
B型肝炎の患者が発症から20年を超えると国の給付金が減額されるのは不当だとして、再発した時期を基準にすべきだと訴えた裁判で、福岡高等裁判所は「再発した肝炎が以前と異なるとはいえない」として、1審とは逆に訴えを退ける判決を言い渡しました。
国によるB型肝炎の救済策では、慢性肝炎になった患者には1250万円の給付金が支払われますが、民法では賠償を請求する権利が20年で消滅することを踏まえ、発症から20年を超えると最大で300万円に減額されます。

福岡県の60代の男性2人は、幼いころの予防接種で注射器を使い回されたことによりB型肝炎ウイルスに感染し、20年以上前に慢性肝炎を発症しましたが、再発したのは20年以内で、その時期を基準にすべきだと訴えました。

1審の福岡地方裁判所は訴えを認め、国に対して1300万円余りをそれぞれに支払うよう命じ、国が控訴していました。

15日の2審の判決で、福岡高等裁判所の山之内紀行裁判長は、「慢性肝炎は、肝機能が良くなったり悪くなったりするのを繰り返すことが多い」と指摘しました。

そのうえで「一度、症状が治まっても、B型肝炎ウイルスへの反応であることに変わりなく、再発した慢性肝炎が、以前のものと質的に異なるとはいえない。賠償を求める権利は消滅している」として1審の判決を取り消し、訴えを退けました。

原告側 上告の意向

判決を受け、小宮和彦弁護団長は「極めて冷酷で不当な判決だ。全国には同様の患者もいるので、この判決に屈することなく、損害賠償の請求権が20年たつと消滅する『除斥』を適用しないよう求めていきたい」と述べ、最高裁判所に上告する意向を示しました。

原告の1人で福岡市に住む平野裕之さん(60)は「きょうでこの裁判は終わるものだと信じて疑いませんでした。判決を聞いて、そんなバカなと思いました。裁判所に対して、かなり失望したのが本音です」と話しました。

もう1人の原告の60代の男性は「いい判決を聞けると思ったので本当に残念です。裁判所に言いたいことは、いいかげんにしてほしいということ以外ありません。われわれの苦しみを知らないのかと思いました。最高裁判所では人間味のある判決をお願いしたいです」と話しました。

厚労省「国の主張認められた」

判決について、厚生労働省B型肝炎訴訟対策室は「国の主張が認められたと承知している。今後も、集団予防接種などの注射器の連続使用によるB型肝炎ウイルスの肝炎被害の対策を推進してまいりたい」とコメントしています。

B型肝炎の経緯と訴訟

B型肝炎は、ウイルスに感染すると慢性肝炎や肝硬変、さらに重症化すると肝臓がんになって死に至る場合もあります。

厚生労働省によりますと、国内には、昭和23年から昭和63年までの間に行われた集団予防接種の注射器の使い回しによって、最大で40万人以上がB型肝炎ウイルスに持続感染したとされています。

患者などが起こした裁判では、平成23年、国と原告団が和解の基本合意を結び、国の給付金は、肝臓がんや重い肝硬変などで3600万円、慢性肝炎の場合は1250万円などとなり、裁判で給付対象だと認められれば和解を行うことになっています。

一方、基本合意では、慢性肝炎の発症から20年が経過した患者については、給付金を最大で300万円に減額するとされました。
民法で損害賠償を請求できる権利が20年経過すると消滅するとされているからです。

このことをめぐって、全国各地で訴えが起こされていて、今回の裁判では、再発から20年以内の場合、裁判所が損害が発生した基準を、1度目の発症と捉えるのか、再発した時点とするのか判断が注目されていました。