福島第一原発3号機 燃料プールから核燃料の取り出し開始

福島第一原発3号機 燃料プールから核燃料の取り出し開始
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東京電力福島第一原子力発電所3号機で、使用済み燃料プールに残された核燃料を取り出す作業が、15日午前9時前から始まりました。メルトダウンを起こした原子炉建屋から核燃料を取り出すのは初めてで、当初の計画より4年4か月遅れての作業開始となりました。
福島第一原発3号機では、事故で溶け落ちた燃料デブリのほかにも、使用済み燃料プールに強い放射線を出す使用済み核燃料が514体、未使用の燃料が52体の合わせて566体が残されています。

15日は午前9時前から、1体目の未使用の燃料をプールから燃料取扱器と呼ばれる装置でつり上げる作業が始まりました。

作業はすべて遠隔操作で行われ、核燃料は水素爆発の影響でプールに落ちた、がれきに引っ掛からないよう確認しながらゆっくりとつり上げられ、そのまま水中で10メートルほどの距離をおよそ1時間かけて移動し、運搬用の容器に収められました。

15日は3体から4体が容器に移される予定で、今後、原発の敷地内にある専用のプールに運ばれます。

メルトダウンを起こした原子炉建屋から核燃料を取り出すのは初めてです。

燃料プールがある3号機の建屋の最上階は、水素爆発でがれきが散乱し、非常に高い放射線量が計測されたため、東京電力はがれきの撤去や作業員の被ばくを防ぐ除染などを行って、新たに大型のクレーンを設置するなど準備を進めてきました。

こうした準備や準備中の相次ぐトラブルで、作業の開始は当初の計画より4年4か月遅れ、東京電力は来年度までに終えたいとしています。
福島第一原発構内の新事務本館と呼ばれる建物にはプレスルームが設けられ、遠隔操作室や燃料プール内の映像が映し出されました。

燃料プールの映像では、画面の上から燃料取扱器の一部が位置を調整しながらゆっくりと下りてきて燃料集合体の「ハンドル」と呼ばれる取っ手のような部分をつかんでつり上げていきました。

映像では、燃料ラックと呼ばれる核燃料を収めるケースの上にまだ細かいがれきが残っていることがわかります。

核燃料のつり上げは、がれきによる引っかかりがないかなどを確認しながら、1分当たり60センチから1メートル50センチのゆっくりとした速度で行われています。

核燃料を包むカバーには、白っぽい傷のようなあとがあり、プールに落ちた小さながれきとこすれてついたものと見られていますが、東京電力は、燃料の健全性に問題はないとしています。

福島第一原発 磯貝所長「安全第一に取り組む」

東京電力福島第一原子力発電所の磯貝智彦所長は「訓練の成果もあって、作業は今のところ順調に進んでいる。廃炉作業の中での新たなスタートとして、2020年度の核燃料取り出し完了に向けて、責任を持って安全第一に取り組むとともに、情報発信にも努めていく」と述べました。

作業の開始が当初の計画より4年4か月遅れたことについては、「初めての遠隔操作やケーブルをめぐるトラブルで、地元の人たちなどに心配をかけ、大変申し訳なく思っている。新たな設備を扱う際に品質管理をしっかりと行っていく必要があるという教訓を踏まえて、今後の対策に生かしていきたい」と話していました。

周辺住民の声は

周辺に帰ってきた住民からは、安全な作業の実施や適切な情報提供を求める声が聞かれました。

4年前に避難指示が解除された楢葉町に住む70歳の女性は「時間がかかってもいいので、とにかく安全に確実に作業を進めてほしい。8年前の原発事故では、情報がなく混乱したので、もし事故が起きたら住民にすぐに知らせてほしい」と話していました。

同じく楢葉町に住む77歳の女性は「8年前の原発事故では、住み慣れた家も解体し、精神的に本当につらい思いをしました。事故がないように、安全に作業を進めてほしい」と話していました。

2年前に大部分で避難指示が解除された富岡町に住む76歳の男性は「作業が早く進んで、廃炉の問題が一日も早く解決してほしい」と話していました。