日米の新たな貿易交渉 日本の思惑は

日米の新たな貿易交渉 日本の思惑は
日本時間の16日、ワシントンで始まる日本とアメリカの間の新たな貿易交渉について、日本政府はまず「TAG=物品貿易協定」の締結を目指すとしています。
日本政府によりますと「TAG」は、「『T』rade『A』greementon『g』oods」の略称です。

お互いが輸出入するモノ(goods)にかけている関税の削減や撤廃などに絞り込んだ点が特徴で、日本政府は、これまで日本が結んできた包括的なFTA=自由貿易協定とは異なると説明してきました。

一方、アメリカは、先月、公表した「大統領経済報告」で、日本とのあいだで幅広い分野を対象とするFTAの締結を目指す考えを示しています。

FTAは、「『F』ree『T』rade『A』greement」の略称で、モノだけでなく、通信や金融などのサービス分野の規制撤廃や投資のルール作りなども対象です。

日本としては、モノの分野を中心にほかの分野の交渉は最小限にとどめて、議論を進めたい考えですが、アメリカは日本車の輸入台数を制限する数量規制や、意図的な通貨安への誘導を防ぐ為替条項などを議題にあげる可能性もあり、交渉する対象をどの範囲とするのかが、大きな焦点となりそうです。

焦点は自動車と農産物

日本とアメリカの貿易交渉のうち、モノの分野では自動車と農産物の扱いが焦点となります。

トランプ大統領はこれまで、年間7兆円を超える日本との貿易赤字を問題視し、特に日本からアメリカに輸出される自動車が赤字の原因になっているとして、日本車に高い関税をかけて輸入を制限する措置を導入する構えを見せてきました。

去年9月の日米首脳会談で、安倍総理大臣とトランプ大統領は交渉中に関税を引き上げないことで合意しましたが、日本政府内には、アメリカが再び関税の引き上げを持ち出して譲歩を迫ってくるのではないかという懸念が根強くあります。

さらに、去年、アメリカがカナダとメキシコと合意した新しい貿易協定では、アメリカ国内の自動車産業を守るため、輸入車の台数に上限を設けることや、一定の割合以上の部品をアメリカで生産することを関税削減の条件としていて、日本政府も、同じ要求を突きつけてくることを警戒しています。

また、農産物をめぐっても、アメリカは日本に大幅な関税の引き下げなどを求めてくる可能性があります。

これはアメリカ国内の農業関係者からの厳しい声が影響しています。アメリカが離脱したTPP=環太平洋パートナーシップ協定や、日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定の発効で、アメリカ以外の国から日本に輸入される関税が引き下げられ、アメリカの農業関係者は競争上不利な状況になっています。

農業関係者は、アメリカ政府に貿易交渉で有利な条件を勝ち取るよう迫っていて、アメリカ政府が日本にTPP以上の譲歩を求めてくるかどうかも、注目されます。

牛肉輸入 豪州・カナダ産増加

日本への牛肉の輸入量は、ステーキブームなどもあって、このところ増加しています。去年1年間の輸入量は前年より6%増えて60万7000トン余りと、17年ぶりに60万トンを超えました。

輸入国別では、オーストラリアが前の年より8%増えて31万1000トン余り、アメリカが3%増加しておよそ24万7000トンと続き、この2か国で90%以上を占めています。

TPPの発効で、アメリカ産牛肉よりも関税が下がっているオーストラリア産の増加が顕著になっています。

一方、2か国より輸入量の規模は少ないものの、同じくTPPに参加しているカナダからの輸入量が2万1000トン余りと去年より13%以上増加していて、農林水産省では「関税が下がったことはプラスになっている」としています。

チーズの輸入量

チーズの輸入量は、年々消費が伸びていることから、増加傾向が続いています。

2017年度の輸入量は27万6000トン余りと過去最高を更新しました。最も多い輸入国はオーストラリアで、8万2000トン余りと全体の30%を占め、ニュージーランドがおよそ6万3000トン、アメリカが3万2000トン余りで続いています。

また、ヨーロッパからは、オランダから2万8000トン、デンマークやドイツ、フランスなどで1万トン規模の輸入量があります。

チーズの輸入をさらに後押ししようとしているのが自由貿易協定の発効です。

去年12月に発効したTPP、ことし2月に発効した日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPAによって、オーストラリアやニュージーランド、EU加盟国からの輸入チーズは一部で関税が削減されたことでさらに増加することが見込まれます。

一方、アメリカはTPPから脱退したため、関税削減の恩恵が受けられず、競争上、不利な条件に置かれています。