妊婦や子育てママ 24時間支援します!

妊婦や子育てママ 24時間支援します!
妊娠中、おなかが張って心配…。赤ちゃんが泣きやまないけど母乳やミルクは足りているのか…。妊婦や母親には常に不安がつきまといます。そこで、妊婦や子育て中の母親を24時間態勢で支援しようという試みが行われました。どのような取り組みなんでしょうか?

ママたちの相談先は…

奈良県橿原市に住む30代の母親。娘は生後7か月(取材当時)。初めての子育てで、わからないことも多いといいます。そんな時の相談先が、大手電機メーカー、富士通のコールセンターです。

看護師たちが24時間対応

コールセンターには、大手電機メーカーの雇用する看護師や助産師が24時間常駐。いつでも相談に応じます。
「離乳食をそろそろ2回食に進めたいと思っていますが、どのタイミングで始めたらいいですか?」(30代母親)
「お子様がほしがって食べていたら、2回食にしていい時期です。でも、2回にすると食事の準備などでお母さんの負担も増えるので、時間や気持ちに余裕がある時に始めてくださいね」(看護師)

子育て経験のある看護師が、母親の目線にたったアドバイスをしていました。
母親は「気になっていることをずっとひきずって考えるよりも、その場で解決できてすごく助かります」と話していました。

産学官が新たな形で連携

この電話相談のサービス、大手電機メーカーが、奈良県橿原市と県立医科大学に協力を求め、ことし3月までの4か月間行った実証実験です。
対象は、橿原市の妊婦と出産後1年までの母親およそ120人。
母親からの相談を受ける最初の窓口は大手電機メーカーのコールセンター。もちろんパパも相談出来ます。

相談内容は、大手電機メーカーが開発した専用のシステムを活用し、大学の付属病院と橿原市がリアルタイムで共有。その情報をもとに、病院や市は、それぞれの立場から支援を行います。
産学官の3者で連携し、妊産婦を見守るこうした仕組みは、全国で初めてだということです。
相談内容は、大手電機メーカーが開発した専用のシステムを活用し、大学の付属病院と橿原市がリアルタイムで共有。その情報をもとに、病院や市は、それぞれの立場から支援を行います。
産学官の3者で連携し、妊産婦を見守るこうした仕組みは、全国で初めてだということです。

妊産婦支援がビジネスチャンス?!

なぜ大手電機メーカーが妊産婦の支援に乗り出したのでしょうか。
それは、自治体では対応が難しい夜間などの相談を一手に引き受けることが、ビジネスにつながると考えたためです。

この企業では、すでに高齢者の電話相談などを事業化。全国60の自治体から受注し、利益を上げています。こうしたノウハウを妊産婦の支援にも生かせると考えました。
「核家族化が進み近所のつながりも薄れているため、いまの親たちは子育てについて気軽に相談できる人が少ない。非常に不安を抱えている。これが1つのビジネスチャンスになりうるんではないか」(富士通 西田隆司さん)

相談の8割は夜間・早朝に

実証実験は成功でした。相談の8割は夜間や早朝に集中。
「子どもが夜中に高熱を出したが、病院に行くべきか…」
「夫が協力してくれず、子育てに疲れて眠れない…」という午前3時すぎの相談もありました。24時間対応の窓口が生かされました。

医療機関にもメリット

医療機関にも利点がありました。その一例が、妊娠8か月の女性からの相談。つわりが続き、食事が十分にとれないため赤ちゃんの栄養不足が心配だといいます。

こうした情報を、奈良県立医科大学の付属病院の医師たちはチェックしています。
相談の4日後、女性が妊婦健診のため付属病院を訪れました。医師は、事前に内容を把握しているため医師の方から声をかけます。
「まだつわりある?悪くなっている感じですか?」(医師)
「ましにはなっています」(妊婦)

検査の結果、順調に育っているので心配はいらないと伝えられました。「自分から先生には聞きづらい面があるので、先生の方から言ってもらえてすごくありがたかった」(妊婦)

奈良県立医科大学産婦人科の小林浩教授は、コールセンターとの連携で医療の質が高まると期待しています。

「妊娠中はさまざまな体の具合や心の変化があるが、医師がすべて見守るのは難しい。コールセンターのベテランの看護師や助産師が話をすいあげてくれると、患者さんのケアが非常にうまくいく」

行政は別の視点で情報活用

行政は別の視点で情報を活用しています。着目しているのが相談の頻度や時間帯。ママたちが心理的に追い詰められていないかなどを知る手がかりにするのです。必要に応じて保健師が自宅を訪問して支援します。
「365日24時間の対応は小さな自治体では難しい。民間の力を借りて、悩みが小さいうちに不安を解消していく。その積み重ねで虐待の予防にもつながるのではないかと考えている」(橿原市健康増進課 川田靖代課長)

サービスを全国展開へ

実証実験では、妊産婦の8割がサービスに満足していると回答しました。大手電機メーカーでは、今後、このサービスを全国の自治体などに売り込み、利用料を受け取ってビジネスとして展開したいとしています。

「企業は、病院や行政が連携するための中心的な役割を果たせる。ビジネスモデルとして確立できればこういった仕組みを継続できる」

妊産婦の支援をビジネスに。企業の発想が、ママたちにとって頼もしい支えになるかもしれません。