スーダン 大統領失脚もデモ継続 混乱収束するか不透明

スーダン 大統領失脚もデモ継続 混乱収束するか不透明
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反政府デモが続いていたアフリカのスーダンで軍がクーデターに踏み切り、30年にわたって権力を握ってきたバシール大統領が失脚しました。一方で、軍主導の統治が当面続く方針に反発して、デモの継続が呼びかけられていて、混乱が収束するのか不透明な情勢です。
スーダンでは、パンや燃料の値上げをきっかけに去年12月からバシール大統領の退陣を求めるデモが続いていましたが、11日、軍を率いるイブンオウフ国防相が国営テレビで演説し、バシール大統領を含む現政権の主要メンバーを解任したと発表しました。

バシール大統領は軍事クーデターをきっかけに、30年にわたって権力を握り、2000年代には、西部のダルフール地方での紛争で住民の殺害を命じた大量虐殺の疑いなどで国際刑事裁判所から逮捕状が出され、欧米からは「独裁者」と呼ばれてきました。

しかし、自身もクーデターで失脚した形で、現在、軍によって拘束されているということです。

一方、イブンオウフ国防相は2年後に選挙を実施するとしながらも、それまでの間、憲法を停止し、軍が主導する評議会が国を統治する方針を明らかにしました。

これについて、抗議デモを組織してきた団体は「抑圧が続いてしまう」と反発し、デモの継続を呼びかけていて、混乱が収束するのか、不透明な情勢です。

アフリカで相次ぐ長期政権崩壊

アフリカでは、市民の不満を背景にしたデモをきっかけに、長期政権の崩壊が続いています。

北アフリカのアルジェリアでは、20年にわたって政権の座につき、高齢で健康不安もささやかれていたブーテフリカ大統領の続投に抗議するデモが発生。デモは広がりを見せ、ブーテフリカ政権の後ろ盾となってきた軍の参謀総長も退陣を要求し、今月2日、辞任に追い込まれました。

そして今回、アルジェリアに近い、スーダンでも、市民のデモが広がり、これに軍が応じる形で、30年にわたってトップの座についてきたバシール大統領を拘束し、長期政権が崩壊しました。

いずれも、社会的な不満を背景にした市民のデモがきっかけになっており、2011年ごろから中東を中心に長期政権の崩壊を引き起こした民主化運動「アラブの春」になぞらえ、現地メディアなどは、「アフリカでの第2のアラブの春だ」と伝えています。

ただ「アラブの春」を経験した国は、その多くが混乱に陥りました。シリアでは内戦が始まり、リビアでは国が東西に分裂し、軍事衝突の危険が高まっています。

またエジプトでは、選挙で選ばれた大統領を軍が事実上のクーデターで解任し、今は、軍のトップを務めていたシシ氏が大統領を務めています。

アルジェリアやスーダンでも、権力をめぐる争いが激しくなることも懸念され、今後、権力の移行を平和的に行うことができるかが大きな課題です。

首都駐在のNGO「祝砲や花火の音」

スーダンでの学校建設などの支援のため首都ハルツームに駐在しているNGO、JVC=日本国際ボランティアセンターの今中航さんはNHKの電話取材に対し、「大規模なデモが行われた4月6日以降は、軍や治安機関による銃声などが聞こえることもありましたが、きょうは朝から祝砲や花火の音が聞こえます。人々はみな街に出て、国旗を持ったり車のクラクションを鳴らしたりして大統領の退陣を喜んでいる様子です。テレビは朝からずっとデモの様子を放送していますが、今は大きな混乱はありません」と現地の状況について話しました。

現地のJVCの事務所には今中さんを含む日本人2人が駐在していますが、いずれも必要に応じて自宅に待機するなどの安全対策をとっていて、情報収集を続けているということです。

JVCではスーダン南部の南コルドファン州で現地の住民に対して学校の建設や井戸の修理などの支援を行っているということです。

米国務省副報道官 早期の権力移行が必要

アフリカのスーダンで30年にわたって権力を握ってきたバシール大統領が失脚したことについて、アメリカ国務省のパラディーノ副報道官は11日の記者会見で「スーダン国民にとって歴史的な瞬間だ。人々が声をあげた」と述べたうえで、状況を注視する考えを示しました。

また、スーダンのイブンオウフ国防相が2年後に選挙を実施するとしながらも、それまでの間、軍が主導する評議会が国を統治する方針を示していることについては「誰が国を率いるかはスーダン国民が決めるべきだ。スーダン国民は市民主導の移行を求めてきており、それは2年よりも早く行われるべきだ」と述べて、早期の権力の移行が必要との認識を示しました。

アフリカ連合 軍の動きに反対する姿勢

スーダンを含むアフリカ大陸のすべての国が加盟するAU=アフリカ連合のマハマト委員長は11日、声明を発表し、「AUは、軍事的な権力の奪取がスーダンの直面する課題やスーダンの国民の願いに対する適切な対応策ではないことを確信している」として、軍の動きに反対する姿勢を鮮明にしました。

また声明では、「民主主義やよい統治といった国民の願いが実現されるため、すべての当事者が参加する対話に乗り出すよう呼びかける」としたうえで、混乱の広がりを避けるため当事者が自制して行動するよう求めました。

国連事務総長 軍部だけで権力移行に懸念

国連のグテーレス事務総長は、報道官を通じて声明を発表し、すべての関係者に最大限の自制を呼びかけたうえで、「スーダンの国民の民主主義への願いはすべての当事者が参加する移行プロセスによって実現される」として、軍部だけで権力の移行を進めることに懸念を示しました。

中国 新政権とも関係維持の考え

これまで中国が友好関係を築いてきたバシール大統領が失脚したことについて、中国外務省の陸慷報道官は12日の記者会見で「情勢の進展に注目しているが、われわれの原則は他国の内政に干渉しないということだ」と述べるにとどめました。

そのうえで、「中国とスーダンは伝統的な友好関係にあり、両国民の友情は深い。情勢がどのように変化しようと友好と協力関係の発展に向け、引き続き努力していきたい」と述べて、軍主導の新しい政権との間でも良好な両国関係を維持したい考えを示しました。