北朝鮮が共同連絡事務所から撤収

北朝鮮が共同連絡事務所から撤収
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韓国政府は、去年9月に北朝鮮に設置された、南北双方の当局者が常駐する連絡事務所から、22日午前、北朝鮮側が人員を引き上げたと発表しました。北朝鮮としては、先月の米朝首脳会談が物別れに終わったことを受けて、仲介役を果たすとする韓国に対して、アメリカへの働きかけを行うよう圧力をかけるねらいがあるとみられます。
これは、韓国統一省のチョン・ヘソン(千海成)次官が、22日午後、緊急の記者会見を行い、発表したものです。

それによりますと、南北双方の当局者が常駐して実務協議や民間交流の支援などを行う目的で去年9月に北朝鮮のケソン(開城)工業団地に設置された共同連絡事務所から、22日午前、北朝鮮側が人員を引き上げたということです。

チョン次官は、北朝鮮は「上層部の指示に従って撤収する。実務的な問題は、今後、通知する」と伝えてきたと説明し、遺憾の意を表明しました。

そのうえで、早期に北朝鮮側の人員が戻り、通常の運営が行われることを望むと強調し、韓国側は連絡事務所での業務を続ける方針を示しました。

また、韓国大統領府は22日午後、NSC=国家安全保障会議を開き、今後の対策などについて話し合ったと発表しました。

北朝鮮は、先月の2回目の米朝首脳会談が物別れに終わって以降、米朝の仲介役を果たすとする韓国への批判も強めていました。

このため、今回の措置は、韓国に対し、制裁の緩和などに向けてアメリカへの働きかけを行うよう圧力をかけるねらいがあるとみられます。

共同連絡事務所とは

韓国と北朝鮮の共同連絡事務所は、去年4月の南北首脳会談の共同宣言に基づき、その5か月後に北朝鮮南西部のケソン工業団地に設置されました。

南北が常に接触できる窓口ができたのは、これが初めてで、南北の高官が共同で所長を務めたほか、双方合わせておよそ50人が24時間駐在していました。

これまで、連絡事務所では、南北の鉄道と道路を連結する着工式についての実務協議や、2032年夏のオリンピック・パラリンピックの共同開催に向けて体育当局者による会談などが行われてきました。

北朝鮮に対する国際的な制裁があるために南北の経済協力を進めるのが難しい中、韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権にとって、連絡事務所は融和ムードを維持する役割を果たしてきました。

一方で、連絡事務所をめぐっては、国連安全保障理事会の専門家パネルが、事務所を設置するために330トン余りの石油精製品を北側に持ち込んだことについて、安保理に報告しなかったのは不適切だったという見解を示したこともありました。