伊方原発 運転停止求める仮処分 きょう判断 山口地裁岩国支部

伊方原発 運転停止求める仮処分 きょう判断 山口地裁岩国支部
愛媛県にある伊方原子力発電所3号機の運転を止めるよう山口県の住民が求めている仮処分について、15日、山口地方裁判所岩国支部が判断を示します。伊方原発3号機は、去年10月に再稼働していて、裁判所の判断が注目されます。
伊方原発3号機から50キロ圏内にある山口県南東部の島の住民3人は、おととし、四国電力に対して伊方原発3号機を運転しないよう求める仮処分を申し立てました。

審理では、原発からどれだけ近くに地震を起こす活断層があるのかや、およそ130キロ離れた阿蘇山で想定される巨大噴火による影響の大きさなどが争われました。

山口地方裁判所岩国支部は、15日午前、住民の申し立てを認めるかどうか判断を示すことになっています。

伊方原発3号機は、おととし、広島高等裁判所の仮処分の決定で運転できなくなりましたが、その後、広島高裁の別の裁判長が一転して運転を認めたため、去年10月に再稼働しました。

こうした中で山口地裁岩国支部がどのような判断を示すのか、注目されます。

仮処分の争点は

山口地裁岩国支部では、主に活断層による地震や火山の噴火に対する安全性が争点となりました。

最大の争点は、四国から近畿にかけてのびる活断層の「中央構造線断層帯」で地震が起きた場合の四国電力の想定が妥当かどうかです。

四国電力は、中央構造線断層帯は原発の北側、およそ8キロ離れた沖合にあるとしています。

そして政府の地震調査委員会の想定でも示されているとおり断層のタイプは「横ずれ」で、長さ480キロにわたって連動して揺れたとしても十分に耐えられると結論づけて、原子力規制委員会も了承しました。

これに対して住民側は、地質学者らによる最新の研究結果を根拠に、断層のタイプは「正断層」で、伊方原発から600メートルの位置に断層があると考えられ、揺れの大きさが過小に評価されていると主張しました。

さらに、伊方原発から西に130キロの位置にある熊本県の阿蘇山で巨大噴火が起きた場合にどの程度の影響を受けるかも争われました。

住民側は「過去の巨大噴火では火砕流が九州だけでなく中国地方や四国の一部にも到達していたとみられ、今の場所は原発には適さない」と主張しました。

一方、四国電力は、「周辺の火山の噴火状況や地下のマグマだまりの状況から原発の運転期間中に巨大噴火が起きる可能性は極めて低く、過去の巨大噴火でも火砕流は到達していない」などと主張しました。

伊方原発3号機をめぐる経緯

四国電力の伊方原子力発電所3号機は8年前に起きた福島第一原発の事故の1か月後に定期検査のため運転を停止しました。

その後、事故を教訓とした新しい規制基準が設けられ、4年前の平成27年に原子力規制委員会の審査に合格しました。

そして、愛媛県や地元の伊方町の同意を得て運転停止から5年余りたった3年前の平成28年に再稼働し、おととし10月に定期検査に入るまで1年余り運転を続けました。

こうした中、原発の周辺地域の愛媛、広島、大分、それに山口の住民が、それぞれの裁判所に運転の停止を求める仮処分の申し立てを相次いで行いました。

このうち、広島高等裁判所は、おととし12月、熊本県にある阿蘇山の噴火の危険性を指摘して去年9月までの期限つきで運転しないよう命じる決定を出し、四国電力は伊方原発3号機を再稼働できなくなりました。

四国電力は異議を申し立て、去年9月、広島高裁の別の裁判長が、「巨大な噴火の可能性が根拠をもって示されているとは認められない」などとしておととしの決定を取り消し、運転を認めました。

これを受けて四国電力は、去年10月に伊方原発を再稼働させ、11月には営業運転を再開しました。

広島高裁が運転を認めたあと、大分地裁や高松高裁でも裁判所の判断が示されましたが、いずれも住民の申し立てが退けられています。