アポ電 強盗殺人 容疑者の携帯電話は他人名義

アポ電 強盗殺人 容疑者の携帯電話は他人名義
東京 江東区のマンションで80歳の女性を縛って殺害したとして逮捕された3人は、他人名義の携帯電話を持っていたことが捜査関係者への取材でわかりました。逃走に使われた車も他人名義で、警視庁は、身元が特定されないように準備したとみて犯行グループの全容を解明する方針です。
先月28日、東京 江東区のマンションで、1人暮らしをしていた加藤邦子さん(80)が口や手足を縛られて死亡しているのが見つかり、警視庁は13日、川崎市の土木作業員、小松園竜飛容疑者(27)ら3人を強盗殺人などの疑いで逮捕しました。

これまでの調べで、加藤さんは家に現金がいくらあるか尋ねる「アポ電」の後に押し入られたとみられていますが、その後の調べで、3人が逮捕された際、他人名義の携帯電話を持っていたことが捜査関係者への取材でわかりました。

現場からは所沢ナンバーの軽自動車が神奈川県方面に逃走したことがわかっていますが、この車も他人名義だったということです。

警視庁は、身元が特定されないように他人名義の携帯電話などを準備したとみて犯行グループの全容を解明する方針です。

家に現金があるか尋ねる「アポ電」をかけた後に押し入る手口は、ことし1月と2月に渋谷区で相次いだ強盗事件と共通していて、警視庁は同一グループによる事件とみて関連を捜査しています。

各地で強盗事件

家に現金がいくらあるか尋ねる「アポ電」をかけたあとに住宅に押し入る強盗事件は、東京、大阪、神奈川、埼玉で起きています。

東京都内では、ことし1月と2月に渋谷区の初台と笹塚の高齢者夫婦の住宅で起きた強盗事件や、先月28日に江東区東陽のマンションで80歳の女性が縛られて殺害された強盗殺人事件では、いずれも事件の前に現金がいくらあるか尋ねる「アポ電」がかかっていました。

神奈川県内では、おととし11月、秦野市の住宅に押し入り当時80代の女性を殴って現金480万円を奪ったとして男2人が逮捕された事件では、数日前に警察官を名乗って現金を要求する電話があったということです。女性は不審に思って現金を渡すのは断りましたが、男らは家にある現金に目をつけて押し入ったとみられています。

また、去年3月にも横浜市保土ケ谷区の住宅に押し入り高齢の夫婦を粘着テープで縛って現金を奪おうとしたとして、男3人が逮捕されましたが、数日前に夫婦のおいを名乗って現金をだまし取ろうとする電話があったということです。

また、去年8月、大阪 門真市の住宅で77歳の男性を縛って現金を奪ったとして男3人が逮捕された事件でも、事件の前に警察官などを装った電話が複数回あったということです。男性は詐欺の電話だと見破り、「自宅に金の延べ棒がある」と異なる話をしたところ、押し入った男らは「金の延べ棒はどこだ」と脅してきたということです。

また、平成25年に埼玉県川口市で当時83歳の女性の自宅に押し入り現金120万円などを奪ったとして、強盗傷害などの疑いで逮捕された男らは、事件の前に息子を装って詐欺の電話をかけて被害者の家に多額の現金があることを確認したうえで、押し入ったということです。

警視庁は「アポ電に対する不安が広がっているが、不審な電話がかかってきたら警察に通報してほしい」と注意を呼びかけています。

きょうもアポ電の通報相次ぐ

事件を受けて、警視庁は「アポ電」がかかっている地域などをツイッターで公開し、注意を呼びかける取り組みを進めていますが、14日も都内では「アポ電」がかかってきたという通報が相次いでいます。

警視庁によりますと、14日午前中で把握しているだけで9つの区と7つの市で通報が相次いでいるということです。

警視庁は「電話に出てしまうとだまされてしまうので、家の鍵と同じように電話にもしっかり『鍵』をかける意識を持ってほしい。具体的には留守番電話を設定したり、自動通話録音機の設置などをしてもらい、それでも不審な電話がかかってきたらすぐに警察に通報してほしい」と注意を呼びかけています。

“リレー方式”で防犯カメラの映像をたどる

およそ2週間で容疑者逮捕となった今回の事件。容疑者3人を割り出す決め手になったのは、“リレー方式”で防犯カメラの映像をたどっていく捜査でした。

<マンションの防犯カメラ>
現場となったマンションの防犯カメラには、事件が起きた先月28日の午前10時半すぎから午前11時ごろにかけて、黒い服にマスク姿の3人組がマンションに入り、およそ30分後に一斉に逃げる姿が写っていました。

<目撃した男性インタ>
その後、午前11時15分ごろには、現場近くで飲食店を経営する30代の男性が、所沢ナンバーの白っぽい軽自動車が道路に止まっているのを目撃していて、その直後、脇道から走ってきた黒ずくめの3人組が飛び乗って逃げたと話しています。

<近くの防犯カメラには>
さらに、近くに設置された防犯カメラの映像には、午前11時18分ごろ、白っぽい色の軽自動車が西の方角へ走り去っていく様子が写っていました。

<“リレー方式”防カメ捜査>
殺人などの凶悪事件を捜査する警視庁の捜査1課にある「初動班」などは、周辺の防犯カメラ映像を集めて点と点をたすきのようにつなぐ“リレー方式”で捜査を進めました。その結果、事件の後、車は木場方面に向かい、神奈川県内を走行していたことがわかりました。そして、行方を捜査していたところ、13日、3人とも神奈川県内にいるところを確保されたということです。

<着替える姿を捉え顔特定>
捜査関係者によりますと、防犯カメラの映像を解析した結果、途中で車内にいる男らの服装が変わっていて、移動しながら着替えたとみられるということです。当初は顔をマスクで隠すなど特定が難しい状況でしたが、その後の映像から3人が浮かび上がってきたということです。

小松園容疑者

小松園容疑者は、川崎市の中学校を卒業したあと、左官業の会社で職人として働きながら、職人の技能を競う全国大会にも出場して入賞するなど技術のある職人として認められていました。

数年前には地元の仲間などと総合格闘技のチームを作り、格闘家として試合にも出場していたということです。

しかし、2、3年ほど前に地元を離れてからは仲間たちとも疎遠になり、最近は格闘技を続けている様子もなく、知人に借金の頼み事をしていたということです。

小中学校の同級生だったという男性は「半年くらい前に会いましたが、みんなが大人になって落ち着いていく中で、1人だけ大人びてなくて浮いているように見えました。よく“お金が足りない”と言っていて、後輩から借金をしていて結構な額になっていると聞きました」と話していました。

中学校の先輩だという男性は「小中学校のころから“やんちゃ”でしたが、やってはいけないことの分別のつかない人間ではなく、仲間思いで男気があると思っていたので驚いています。格闘技をするようになって、『不良のような人から俺のところで働かないかと誘われた』という話を聞いたことがあり、次第に悪い人たちとつながったのかもしれません」と話していました。

小松園容疑者 格闘技の試合

小松園容疑者は、3年前に地元の仲間などを集めて格闘技チームを立ち上げ、代表を務めていて、初めて出場した試合では、チーム名が書かれた旗とともに堂々とした姿で入場していました。

3年前の平成28年に行われた試合では、黒いユニフォームに赤色のグローブをつけて出場し、ゴングが鳴るやいなやいきおいをつけてパンチやハイキックを繰り出しながら一気に間合いを詰め、相手を押し倒すと、激しい連打を浴びせて最後は首を腕で締め上げてギブアップさせていました。

試合後のマイクパフォーマンスでは、「応援してくれてありがとうございます。立ち上げたチームでどんどんいろいろな試合に出ていきます」と力強く話していました。

しかし、もともと格闘技の経験がなかったため、その後、試合ではなかなか結果を残せず、さらにチーム内でトラブルが起き、辞める人もいたということです。

須江容疑者

実家近くに住む人などによりますと、逮捕された須江拓貴容疑者(22)は、長野県佐久市の出身で、地元の高校を中退したあと、建設関係の仕事に就いていたということです。

小学校の卒業文集では、10年後の自分について「プロ野球選手になっている」と夢を記していました。文集には、須江容疑者の父親が「自分の考え方、行動の責任、積み重ねた事、その全ての中で考えてやっていってほしい」とメッセージを添えていました。

しかし、父親は8年ほど前、自宅近くの交差点で車にはねられ、亡くなったということです。

須江容疑者は、そのあとから自宅前の道路で仲間たちと騒いだり、バイクを改造したりする姿が近所の人たちにたびたび目撃されていました。

近くに住む女性は「地元ではやんちゃだと知られていました。バイク仲間と自宅に帰ってきたときは、大きい音を響かせて迷惑していました」と話していました。

近所の人たちともあいさつすることはなく、どんな人柄かもわからなかったということで、ことし1月に自宅近くで姿を見かけた男性は、体格がよく、怖い印象だったと話していました。

酒井容疑者

近所の住民たちによりますと、逮捕された酒井佑太容疑者(22)は、長野県上田市の出身で、小学校では少年野球に参加し、中学校でも途中まで野球部で活動していたということです。

中学校の卒業アルバムでは、修学旅行で広島県を訪れた感想として「命の大切さを被爆者の話を聞いたりしてとても貴重な体験ができた」とつづっていたほか、地元での職場体験を振り返って「働くことの大変さ、つらさが分かった。学んだことをしっかりと今後の生活に役立てたい」と記していました。

一方で、小さいころからいたずらをして近所の人に怒られたこともあったということです。

その後、進学した長野県内の高校を中退し、ときおりバイクで走り回る姿が目撃されていました。

近くに住む70代の女性は「高校を中退したということで、近所を歩いている姿は見かけたとがありますが、そんなに悪いイメージを持っていなかったので、事件のことを聞いてびっくりしています」と話していました。