“アポ電”強盗殺人 男3人逮捕 同種事件の関連を捜査

“アポ電”強盗殺人 男3人逮捕 同種事件の関連を捜査
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先月、東京 江東区のマンションで80歳の女性が手足を縛られて死亡しているのが見つかった事件で、警視庁は男3人が部屋に押し入って女性を殺害したとして、強盗殺人の疑いで逮捕しました。今回の事件は家に現金がいくらあるか尋ねる「アポ電」の後に押し入るなど、都内で相次ぐ強盗事件と手口が共通していて、警視庁は同一グループによる事件とみて関連を捜査しています。調べに対し3人は
「身に覚えがない」などと容疑を否認しているということです。
逮捕されたのは、住所不定、無職の須江拓貴容疑者(22)、川崎市の土木作業員、小松園竜飛容疑者(27)、住所不定、無職の酒井佑太容疑者(22)です。

先月28日、東京 江東区東陽のマンションの部屋で、1人暮らしをしていた加藤邦子さん(80)が粘着テープなどで口や手足を縛られて死亡しているのが見つかりました。

マンションの防犯カメラには黒い服にマスク姿の3人組が建物に入り、およそ30分後に出て行く姿が写っていたほか、軽自動車に乗り込んで逃げる姿が目撃されています。

警視庁は3人組が事件に関わったとみて捜査した結果、13日、3人を神奈川県内で見つけ、強盗殺人の疑いで逮捕しました。

調べに対し3人は「身に覚えがない」などと供述しているということです。

加藤さんの家には事件の前、振り込め詐欺の手口で家に現金がいくらあるか尋ねる「アポ電」と呼ばれる不審な電話がかかっていました。

ことし1月と2月に渋谷区の初台と笹塚の高齢者夫婦の住宅で起きた強盗事件でも事件の前に「アポ電」がかかっていて、警視庁は今回と手口が共通していることから同一グループによる事件とみて関連を捜査しています。

類似の事件 相次ぐ

東京都内では振り込め詐欺の手口で家に現金がいくらあるか尋ねる「アポ電」と呼ばれる不審な電話のあと、高齢者夫婦の住宅に押し入る強盗事件が相次いでいます。

ことし1月11日には渋谷区初台の住宅に3人組が押し入り、90代の夫を殴ってけがをさせたうえ、現金2000万円や宝飾品などを奪って逃げました。
この家には事件の2日前に息子を装って「仕事でトラブルになりお金が必要だ」と言って、家にある現金の額を聞き出す不審な電話があったということです。

先月1日には渋谷区笹塚の住宅に3人組が押し入り、80代の夫と70代の妻を結束バンドで縛ったうえ、現金400万円を奪って逃げました。
ここにも事前に息子を装った男から家に現金が置いてあるか尋ねる不審な電話があったということです。

そして先月28日に東京 江東区東陽のマンションの部屋で、1人暮らしの加藤邦子さん(80)が粘着テープなどで縛られて死亡しているのが見つかった事件でも、事件の前に家にある現金の額を尋ねる不審な電話がかかっていたということです。

警視庁は「アポ電」の後に押し入り、手足を縛るなど、手口が似ていることから、江東区の事件と渋谷の2つの事件との関連を捜査しています。

亡くなった加藤さん「明るく前向き」

加藤さんは看護師を長年つとめた後、歌やダンスなど、さまざまな活動に参加する日々を送っていました。

12年ほど前には歌のサークルを立ち上げ、練習や発表会は欠かさず参加し、中心的な役割を担っていました。
平成25年の発表会ではプッチーニ作曲のオペラ、「トゥーランドット」の1曲を体全体で表現しながら歌う姿が動画で残されていました。しかし2、3年前に体調を崩し、活動に参加できなくなっていました。

サークルのメンバーは事件を知って集まり、加藤さんが最後の発表会で歌ったモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の1曲をみんなで歌ったほか、今月開かれた発表会では、サークルの代表の男性が加藤さんが好きだった紫色のポケットチーフを胸元に入れてイタリアの曲を歌いました。

サークルの代表の70代の男性は「加藤さんは紫色が好きでしたのでチーフを入れて歌いました。悲しい結果になったので、そういうことを皆さん心に思いながら歌ったのではないかと思います」と話していました。

歌の講師をつとめる洗足学園音楽大学の名誉教授、捻金正雄さん(71)は「加藤さんは明るく前向きで練習も熱心でした。発表会のときに衣装などを貸し借りする中心的な役割も担い、お姉さん的な存在でした。事件に巻き込まれたと知って悲しいし、悔しいです。信じられません」と話していました。

逮捕の決め手は防犯カメラ捜査

警視庁は、防犯カメラの捜査で3人を割り出したということです。

現場となったマンションの防犯カメラには、事件が起きた先月28日の午前10時半すぎから午前11時ごろにかけて、黒い服にマスク姿の3人組がマンションに入り、およそ30分後に一斉に逃げる姿が写っていました。

その後、午前11時15分ごろには、現場近くで飲食店を経営する30代の男性が見慣れない車が道路に止まっているのを目撃していて、その直後、黒ずくめの3人組が脇道から走ってきて軽自動車に飛び乗って逃げたと話しています。

さらに近くに設置された防犯カメラの映像には、午前11時18分ごろ、白っぽい色の軽自動車が西の方角へ走り去っていく様子が確認できます。

この車は、先月1日、渋谷区笹塚の高齢者夫婦の住宅で現金400万円が奪われた事件で使われた車と、道路を走った際に残る通行記録が同じだったということです。

捜査関係者によりますと、事件の後、車は神奈川県内を走行していたことがわかっていて、警視庁が行方を捜査していたところ、13日、3人とも神奈川県内にいるところを確保されたということです。

現場近くに住む人は

容疑者が逮捕されたことを受けて地域の町内会長は「女性は何も悪いことをしていないのに殺害されて無念でしたが、早く捕まってよかったです。住んでいる人たちも不安な日々が続いていましたがようやく平穏な日常に戻れると思います。この地域では早い時期から防犯カメラの設置を進めてきましたが、高齢者が多い地域なのでアポ電にも引き続き注意を呼びかけていきたい」と話していました。

また、加藤さんが参加していた歌のサークルの女性は「加藤さんはおしゃれですてきなマダムで、病気と精いっぱい闘っていました。それだけに犯人は許せませんが、捕まったことで少しは報われると思います。犯人は真実を話してほしい」と話していました。