成年後見制度の欠格条項 憲法違反か判断せず訴え棄却 大阪地裁

成年後見制度の欠格条項 憲法違反か判断せず訴え棄却 大阪地裁
大阪 吹田市の臨時職員だった知的障害のある男性が、成年後見制度を利用すると公務員の仕事が続けられなくなる法律の規定が憲法に違反すると訴えた裁判で、大阪地方裁判所はこの規定の是非について判断を示さないまま訴えを退けました。
この裁判は、大阪 吹田市の元臨時職員で、知的障害のある塩田和人さん(53)が起こしていたものです。

平成23年に、父親の病気をきっかけに成年後見制度を利用するようになりましたが、後見人や保佐人をつけた人は公務員になることができないと定めた「欠格条項」という法律の規定で、雇用契約が更新されなかったと訴えていました。

そして欠格条項は法の下の平等などを保障した憲法に違反すると主張して、臨時職員への復職や損害賠償などを吹田市に求めていました。

13日の判決で、大阪地方裁判所の内藤裕之裁判長は「契約が更新されなかったのは、あくまで任用期間が終わったためだ」として、欠格条項の是非について判断を示さないまま訴えを退けました。

欠格条項をめぐっては、障害者に成年後見制度の利用をためらわせる要因になっているとして、見直しを求める声が高まっていて、政府は地方公務員法などこの規定がある188の法律から一括して削除する法案を国会に提出しています。

支援者から判決批判の声

大阪地方裁判所の前には多くの原告の支援者が集まり、判決が言い渡されると、弁護士が硬い表情で「不当判決」と書かれた紙を示しました。支援者たちからは「裁判長の不当判決を許さないぞ」とか、「塩田さんを吹田市へ復職させよ」などと判決を批判する声が上がっていました。

原告側は控訴の意向

判決について、原告の塩田和人さんは会見で、「残念で、怒っています。吹田市で働けるように頑張ります」述べ、控訴する意向を示しました。

また、弁護団の長岡健太郎弁護士は「判決は裁判で争われたことの実態をとらえておらず、不当だ。塩田さんのように障害がありながら公務員として働く人が、成年後見制度の利用をためらう状況が変わらないものとなる。国には、制度の見直しを速やかに行ってほしい」と話していました。

成年後見と欠格条項

今回の裁判で原告が強く訴えていたのは、働く能力があっても成年後見制度を利用した場合に、公務員など一部の職業には就けなくなるという理不尽さです。

成年後見制度は、家庭裁判所から選任された人が、認知症や知的障害がある人などを支援する制度です。親族や弁護士、司法書士などが、支援が必要な度合いに応じて、「後見人」「保佐人」「補助人」として、財産の管理などに当たります。

社会の高齢化などを背景に、制度を利用する人は年々増えていて、最高裁判所によりますと、おととしの年末時点での利用者は21万人にのぼっています。

ところが、この制度を利用して「後見人」や「保佐人」の支援を受ける人は、公務員や会社役員、医師などの仕事に就けないことが、法律で決められています。

成年後見制度は、物事を判断する能力が十分ではないとして利用されることから、職業や資格に必要な能力も十分ではないとみなされるためです。

こうした決まりは、「欠格条項」と呼ばれ、地方公務員法のほか、国家公務員法、医師法、自衛隊法、それに警備業法など188の法律に規定されています。

この欠格条項に対し、利用者や有識者からは成年後見制度の利用をためらう要因の一つとなっているとして、見直しを求める声があがっています。

こうした声を受け、政府は去年3月、一括して削除する法案を国会に提出しましたが、いまも審議入りを待っている状態で、欠格条項は残ったままになっています。