新成人が復興への思い新たに「経験を次の世代に」

新成人が復興への思い新たに「経験を次の世代に」
東日本大震災の被災地では多くの自治体で13日、成人式が開かれ、震災当時は小学校卒業間際の6年生だった新成人たちが復興への思いを新たにしました。
このうち、宮城県石巻市の石巻専修大学の体育館で開かれた成人式では、およそ1000人が参加し、冒頭に黙とうをして犠牲者を追悼しました。

そして、亀山市長が「石巻はいまだ復興のさなかで、若い力と柔軟な考えが必要です。何事も前向きに考え羽ばたかれることを期待します」と祝辞を述べました。

続いて新成人を代表して、小松茉弥さんが「私たちは小学校生活を終える直前に震災が発生し、たくさんのものを失いましたが多くの教訓を得ることができました。この経験を次の世代に伝えていくことが私たちの使命です」と誓いのことばを述べました。

このあと中学校の恩師たちのビデオレターが紹介され「間借りや仮設の校舎で大変でしたがたくさんの楽しい思い出があると思います。あの日々を思い出し、元気に過ごしてください」などとメッセージが寄せられました。

新成人の1人は「地元に貢献できるような大人になりたいと思います」と話していました。

2つの卒業証書胸に

石巻市で成人式を迎えた大学生、森田将弘さんは学校や自宅が被災したうえ、自宅の近所に住んでいた祖母の勝又英子さんが(72)今も行方不明となっています。

震災の後、森田さんは家族とともに親戚のいる神戸市に避難しました。

3日間のみ通った神戸市内の小学校を卒業し、その後、市内の中学校に入学して、それぞれ野球に打ち込むことで震災の苦しい記憶を紛らわせていたといいます。

一方、石巻に残る多くの友達には別れを告げることなく地元を離れたことに申し訳なさを感じていたということで、中学校入学直後に通っていた門脇小学校に「今の僕に何ができるか分からないけど精いっぱい生きていく。卒業証書は僕が自分で受け取りに行きます」などとつづった作文を送りました。

この作文を見た当時の教員らが森田さんのための卒業式を企画し、震災の年の夏に2つ目の卒業証書を受け取りました。

震災のよくとしには石巻に戻り、現在は2つの卒業証書を胸にスポーツトレーナーを目指して、大学で勉強しています。

震災後、つらいときでも続けた野球が夢を後押ししています。

13日の成人式には地元の同級生と一緒に式に臨み、森田さんは「成人式を終えて身が引き締まる思いです。震災で苦しいことを乗り越えた先に絶対にいいことがあるということを学ぶことができた。社会に出てもたくさん苦しいことはあると思うが絶対いいことがあると信じ、乗り越えていきたい」と話していました。