トランプ大統領 ダボス会議出席を取りやめ

トランプ大統領 ダボス会議出席を取りやめ
アメリカのトランプ大統領は、与野党の対立による政府機関の一部閉鎖が続いていることを受けて、今月22日からスイスで行われる世界経済フォーラムの年次総会、ダボス会議への出席を取りやめるとツイッターに投稿しました。
アメリカでは、メキシコとの国境沿いの壁の建設費をめぐる与野党の対立で、新たな予算案が成立せず、政府機関の一部閉鎖が続いています。

トランプ大統領は10日、「国境の安全に関する民主党の妥協しない姿勢や、国家の安全の重要性を踏まえ、ダボス会議への出席を取りやめる」とツイッターに投稿し、予定していたダボス会議への出席をやめる考えを示しました。

トランプ大統領の判断には、政府機関の一部閉鎖がさらに長引いたとしても民主党との協議で一歩も譲らない姿勢を示すねらいがあるとみられます。

経済指標発表の延期相次ぐ

アメリカの政府機関の一部閉鎖の影響で、商務省が担当している経済指標の発表が延期される事態が相次いでいます。

このうち貿易統計は8日の発表が延期され、トランプ政権が問題視している貿易赤字の最新の状況が明らかになっていません。中国との貿易協議は3月1日に交渉の期限を迎えることに加え、日本やEU=ヨーロッパ連合との貿易交渉も控えていますが、話し合いの前提になる情報が入手できない状況になっています。

このほか、製造業の受注や建設支出、新築住宅の販売などに関する経済指標の発表が延期になっています。

アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会は、金融政策を判断する前提となるさまざまな経済指標を確認できない事態となっていて、アメリカ経済の減速が懸念される中、機動的な政策運営が妨げられるおそれも指摘されています。

空港では保安検査に影響

政府機関の一部の閉鎖によって、アメリカ各地の空港では保安検査などを行うTSA=運輸保安局の職員の欠勤が相次いでいて、旅行者に影響が出ています。

運輸保安局によりますと、政府機関の一部が閉鎖されたあと、全米の空港の保安検査場などで働く政府の職員、数百人が、給料が支払われないため欠勤しているということです。

このため、運輸保安局は、保安検査場での待ち時間が通常よりも長くなるおそれがあるとして、余裕を持って空港へ来るよう呼びかけています。

1か月間に平均200万人以上が利用する、ニューヨークのラガーディア空港では10日、一部の保安検査場にある5つのレーンのうち2つのレーンが閉められていたほか、早めに空港に来る旅行者の姿がありました。

アメリカ南部ノースカロライナ州に向かう女性は、「いつもと同じように空港に来ては、飛行機に乗れないかもしれないと思い、早めに来ました。政府機関の閉鎖をやめてほしいです」と話していました。

パイロットでつくる全米最大の組合は声明で、「飛行機の運航に影響を及ぼすおそれがある」として、すぐに政府機関の閉鎖を解除するよう求めています。

公園や博物館で休館や公開中止相次ぐ

アメリカの政府機関の一部閉鎖によって職員が出勤していないため、国が管理する公園や博物館で、施設の休館や公開中止が相次いでいます。

このうち、アメリカ建国の地として知られる東部フィラデルフィアにある「インディペンデンス国立歴史公園」では、アメリカの独立宣言が採択された議事堂や独立の際に鳴らされた鐘が展示されている施設が休館となり見学できなくなっています。

ドイツから来た友人とともに訪れた地元の女性は、「遠くから来た友人にアメリカ独立の地を案内しようと思いましたが、閉鎖されていて残念です。政府閉鎖が終わるよう、願うしかないです」と話していました。

また、中西部シカゴから来た男性は、「歴史的な場所が見学できず、がっかりしました。不法移民対策は必要ですが、国境の壁は必要ないと思います。大統領と民主党の間で解決策を見つけて、閉鎖を終わらせてほしい」と話していました。

一方、清掃に当たる職員が自宅待機となった影響で、国立公園の周辺では、ごみ箱からごみが回収されないところも出ています。

このため、各地でボランティアが清掃を始めており、このうち、首都ワシントンの連邦議会近くの広場「ナショナルモール」などでは、イスラム教徒の若者のグループが先週からごみ箱からあふれたごみを回収しています。このグループの代表は「国立公園がごみであふれているのを見過ごすわけにいかない。多くの人が清掃に加わってほしい」とコメントしています。

影響は意外なところにも

アメリカの政府機関の一部閉鎖が続いていることで、影響は意外なところにも広がっています。

NASA=アメリカ航空宇宙局やNOAA=アメリカ海洋大気局など政府機関には多くの研究者が所属していますが自宅待機になり、出張も認められない状態になっています。

このため、今週開かれているアメリカ天文学会や、アメリカ気象学会に出席できなくなっていて、その人数は合わせて500人以上に上っています。

気象学会に参加した大学などの研究者たちは、出席できないNOAAに所属する研究者について、ツイッターで「#We Miss NOAA」、「NOAAの人たちがいなくてさみしい」というハッシュタグを付けてツイートし、今の状況を悲しんでいます。

政府機関のメールアドレスも使えないため、連絡を取ることさえ難しくなっているということで、アメリカ天文学会は「壊滅的ではないが、学会に有害な影響が出ている」と訴えています。

このほか、全米でブームになっているクラフトビールの販売にも影響が出ています。

ニューヨーク・ブルックリンにある小規模なビール醸造所、「インターボロー・スピリッツ・アンド・エールズ」は、3年前から味や品質にこだわった独自のビールを製造してきました。この醸造所は新たに開発した味のビールを地元、ニューヨーク州以外にも売り出そうとしていますが、許可を得られていません。別の州で販売するために必要な書類を発行する連邦政府の担当部署が閉鎖されているためです。会社はビールの販路を広げようとしていますが、出ばなをくじかれた状態となっています。

醸造所を経営するローラ・ダークスさんは、「さまざまな新しい味のクラフトビールを開発して売り出そうとしているが、州の外で売れなくなると、原材料代や従業員の給料の支払いが滞ることになり、生産や販売の計画変更を余儀なくされるかもしれない。政府の閉鎖がこんなに長引いて、自分たちに影響するとは思っていなかった。政府閉鎖は不必要なことで、早く解決してほしい」と話しています。

ワシントンのホテルは閑古鳥

アメリカの政府機関の一部閉鎖は首都ワシントンの経済活動にも影響を与えています。

ワシントン中心部にある連邦政府の職員の利用が多いホテルでは、10日現在、11室ある客室のうち、予約が入っているのは1部屋だけで、10部屋が空室となっています。

先月から政府機関が一部閉鎖され、ワシントンで予定されていた会議などが開催されなくなると、ホテルには地方から出張してくる予定だった職員の予約のキャンセルが相次いだということです。

これまではオフシーズンでも客室の半分は常に埋まっていたということで、ホテルでは従業員の労働時間を減らしたり、暖房を切ったりするなど、影響を抑えるための対応に追われています。

ホテルの支配人は「政府機関の閉鎖はホテルの営業に深刻な影響を与えています。トランプ大統領にはお願いなのでできるだけ早く政府機関を再開してほしい」と話していました。