外国人材受け入れ拡大法が成立 具体的な支援策など課題山積

外国人材受け入れ拡大法が成立 具体的な支援策など課題山積
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外国人材の受け入れを拡大するため、来年4月から新たな在留資格を設ける改正出入国管理法は、成立しました。ただ、新たな制度の詳細は決まっておらず、外国人を受け入れる仕事の分野や人数のほか、外国人への具体的な支援策などが課題になります。
来年4月からの外国人材の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格を設ける改正出入国管理法と、出入国在留管理庁を新設する改正法務省設置法は、8日午前4時すぎ参議院本会議で成立しました。

新たな在留資格のうち、「特定技能1号」は、特定の分野で、相当程度の技能を持つと認められた外国人に与えられ、在留期間は、最長で通算5年で、家族の同伴は認めないとしています。

また、「特定技能2号」は、「1号」を上回る「熟練した技能」を持つと認められた外国人に与えられ、在留期間に上限を設けず、長期の滞在や家族の同伴も可能になるとしています。

しかし、新たな制度の詳細は明記されておらず、今後、定めることになっています。例えば、受け入れの対象として介護業や建設業など14業種が検討されていますが、政府は、実際に受け入れる仕事の分野や受け入れる人数の上限などを、月内にまとめる分野別の運用方針に示すとしています。

また、外国人との共生に向けた職場や自治体での支援策や、日本語教育の在り方なども月内にまとめる「総合的対応策」に盛り込むとしています。

さらに、外国人が都市部に集中して地方の人手不足が解消しないといった懸念をどう払拭(ふっしょく)するかや、悪質なブローカー対策なども課題になります。

一方、審議を通じて明らかになった技能実習制度をめぐる問題を踏まえ、今の制度をどのように改善していくかも問われることになりそうです。

成立までの流れ

外国人材の受け入れ拡大は、ことし6月に政府が決定した「骨太の方針」に示されました。人手不足を克服するため、新たな在留資格を設けて、拡大を図る方針が盛り込まれました。

8月には、法務省が、来年度予算案の概算要求で、入国管理局を格上げして、来年4月に出入国在留管理庁を創設する方針を打ち出しました。

そして、先月はじめに、新たな在留資格を設ける出入国管理法の改正案と出入国在留管理庁を創設する法務省設置法の改正案が国会に提出されました。

法案は、先月13日に衆議院本会議で審議入り。委員会では、およそ17時間の審議が行われました。参議院では先月28日から審議が始まりました。

委員会では、衆議院を上回るおよそ20時間の審議が行われ、7日未明の本会議で可決・成立しました。

受け入れの上限 分野別の運用方針で

国会では、何人の外国人を受け入れるのか、その上限をめぐって、議論になりました。

政府は、来年4月の新たな制度の導入で、向こう5年間で、介護業や建設業など14の業種で、最大34万5000人余りとする見込み数を示しました。そのうえで今月中にまとめる予定の仕事の分野別の運用方針に、5年間の見込み数を明記して、上限として運用するとしています。

社会保険は国内限定適用

会社員が加入する健康保険や「協会けんぽ」は、扶養する家族も居住地や国籍にかかわらず保険が適用されます。

このため、国会では、外国人の加入が増えれば、医療費の財政負担が増大するのではないかといった懸念が出されました。

厚生労働省は、原則として、適用の対象を日本国内に居住する3親等以内の扶養家族に絞ることを検討しています。

また、サラリーマンが加入する厚生年金についても、扶養されている配偶者が年金を受給できるのは、日本国内に住んでいる場合に限定する方向で検討しています。

暮らしの支援 今月中に総合的対応策

外国人の地域での暮らしをどう支援するかをめぐっては、与野党双方から、対策の充実を求める意見が相次ぎました。

政府は、外国人がふだんの暮らしで悩みを抱えることも予想されるとして、今月中に、相談窓口の設置やガイドブックの作成など、総合的な対応策をまとめることにしています。

技能実習制度も議論

これまでの審議で、技能実習制度をめぐる問題も議論されました。失踪した技能実習生に関する法務省が集計した資料に誤りがあったため、山下法務大臣は謝罪しました。

また、7日は、去年までの3年間に、69人の実習生が死亡していることも明らかになりました。

野党側は、「技能実習制度は新たな制度の土台になる」として、実習生をめぐるさまざまな問題の解決を求めました。

一方、政府は「野党の指摘を重く受け止める」としながらも、新たな制度とは別のものだなどとして、議論がすれ違う場面も目立ちました。

施行前に国会に報告

法律の衆議院通過にあたって、大島衆議院議長は、立憲民主党など野党側と会談した際、政府に対し、新たな制度の全体像を来年4月の施行前に、国会に報告させることなどを提案しました。

安倍総理大臣も、7日参議院法務委員会で「大島議長の指摘を重く受け止めたい」と述べていて、来年の通常国会で4月までに制度の全体像が国会に示される見通しです。

法務相「しっかり準備進める」

山下法務大臣は、記者団に対し「これから分野別の運用方針などを作らなければならないが、国民の期待に応えられるよう、しっかりした制度にしたい。法律の施行が来年4月1日なので、それまでにしっかり準備を進めていきたい。また、外国人の受け入れについての様々な指摘についてもしっかりと取り組んでいきたい」と述べました。