外国人材法案 地方からは期待や懸念

外国人材法案 地方からは期待や懸念
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外国人材の受け入れを拡大するための今回の法案、地方からは期待や懸念の声が聞かれます。

さぬきうどんの業界では

外国人材の受け入れ拡大に香川県特産のさぬきうどんの業界からも期待の声が聞かれます。

香川県の県民食とも言えるさぬきうどんですが、ここ数年、人手不足から廃業する店も出ていて、一部の店では外国人材に頼り始めています。このうち、高松市香川町のうどん店ではおととしからベトナム人の技能実習生を受け入れていて、今は4人がうどんを打ったり、天ぷらを揚げたりする作業をしています。

こうした県内のうどん店およそ100店を含む、全国の製麺業者で作る協同組合は、今回の法改正で設けられる在留資格「特定技能1号」による外国人の受け入れを要望しています。

高松市のうどん店の平山陽一主任は「人手が少ない中で外国人の雇用が安定して見込めるのであればいいことだと思う。法改正でさらに戦力として働いてもらえると助かる」と話していました。

冷凍マグロ日本一の現場では

冷凍マグロの水揚げが日本一の静岡県にある焼津市の水産加工会社は、外国人材の受け入れ拡大を前向きに受け止めています。

この会社では冷凍マグロをカットする人手が足りず、派遣の外国人労働者およそ20人に加えて4年前から技能実習生を受け入れています。しかし技能実習制度では2年目以降、実習生が従事できる職種や作業が限定されていて、魚をカットする仕事は対象外となるため、やむを得ず1年ごとに実習生を入れ替えています。

実習に来る外国人には1年の期間限定であることを事前に伝えたうえで1年間きちんと働いてもらえるよう住まいや通勤に使う自転車、家財道具などを会社側が用意しています。

そうした努力で実習生を確保しているものの、冷凍マグロを1センチ単位で正確にカットするには高い技術が求められるため、実習生はカットを任せられずマグロを箱に詰めたりする補助的な業務で1年を終えるということです。

ことし10月に妻と10か月の幼い息子を母国の中国に残して技能実習生として来日した劉毅さんは(36)外国人材の受け入れ拡大について「もっと長く雇用してほしいし工場にとっても、われわれにとってもメリットがあると思う。可能なら、妻と息子と一緒に日本で暮らしたい」と話していました。

また、水産加工会社の社長は「期間が短くて技術を学べないと実習生もかわいそうだ。新たな制度は詳細がまだ分からないが働ける期間が長いほど外国人労働者にとってもうちの会社にとってもプラスだと思う」と話していました。

離島の老人福祉施設では

若者の流出が続く長崎県の離島にある壱岐市では外国人材の受け入れが拡大されても人手不足の解消にはつながらないのではないかという声も出ています。

長崎県の離島にある壱岐市では、65歳以上の高齢者が4割近くを占め、高校を卒業した生徒のおよそ9割が進学や就職で市外へ出ていくため人手不足の解消が大きな課題となっています。このため、市内にある特別養護老人ホーム「壱岐のこころ」では、去年4月から地元の専門学校に通うインドやネパールからの留学生をアルバイトとして雇い始め、現在、留学生11人が働いています。

留学生はいずれも日本の介護福祉士の資格取得を目指していて、老人ホームではお年寄りの食事の配ぜんなどの仕事をしています。

施設の主任を務める目良恵子さんは、外国人材の受け入れ拡大について「日本全国を見ても介護人材は少なく、特に離島の場合は若い人がなかなか島内に定着しないので、すごくいいことだ」と歓迎しています。

一方で、目良さんは、今後について、「アルバイトの外国人留学生も東京や福岡で就職するというのがほとんどで、いまの若い子は、日本人でもそうだが、『都会に行きたい』という思いはある。やはり厳しい部分が続くのではないか」と話し、条件が不利な離島では人手不足の解消にはつながらないのではないかと懸念を示しました。

さらに、目良さんは、「外国人の一生懸命勉強して『学ぼう』という姿勢が利用者にも伝わり、私たちも学ばせてもらう部分が多々ある。そういう海外の方を受け入れる体制を整えるために、国にはしっかりしたビジョンを立ててほしい」と指摘していました。