COP24 削減目標の引き上げ必要の声相次ぐ

地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP24」で、途上国の政府代表らから各国の温室効果ガスの削減目標をさらに引き上げなければ、「パリ協定」の目標は達成できないという声が相次ぎ、各国が危機感を共有して目標の引き上げに向けた道筋を示せるかが焦点となっています。
ポーランドのカトヴィツェで開かれている「COP24」では、6日、各国に対して、温室効果ガスの削減目標の引き上げを促す「タラノア対話」と呼ばれる会合が開かれました。

この中で、国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」の議長が演説し、現在、各国が国連に提出している削減目標を足し上げても世界の平均気温はおよそ3度上昇してしまうことを踏まえ、「平均気温はすでに産業革命前と比べて1度上昇した。『パリ協定』では、1.5度に抑えることを目指しており各国は、いますぐ行動を起こす必要がある」と強調しました。

これを受けて、マーシャル諸島の代表が「すべての国が削減目標を引き上げなければ、わが国は海面の上昇で存亡の危機にひんする」と述べるなど、危機感をあらわにする途上国の訴えが相次ぎました。

「パリ協定」では、2020年以降、各国が削減目標を5年ごとに見直すことになっていますが、目標を引き上げるかどうかは各国に委ねられています。

「タラノア対話」は、11日からは閣僚級でも行われ、各国が途上国の危機感を共有し、目標の引き上げに向けた道筋を示せるかが焦点となっています。

引き上げ議論にブラジル影響か

「COP24」の会場では各国が温室効果ガスの削減目標をさらに引き上げなければ、「パリ協定」の目標は達成できないという危機感が高まる一方で、南米最大の温室効果ガス排出国ブラジルでも、来年、アメリカのトランプ政権同様、対策に後ろ向きとされる新政権が誕生することで、目標の引き上げに向けた議論にも影響がでるのではないかという懸念が高まっています。

ブラジルでは、過激な発言から「ブラジルのトランプ氏」とも呼ばれる、ボルソナロ氏が来年の大統領就任に向けて、二酸化炭素を吸収する世界最大の熱帯雨林・アマゾン地域の開発を進める方針を示しています。

こうした中、「COP24」の会場では、ブラジルの環境NGOが会見を開き、「アマゾンの熱帯雨林を開発すれば、二酸化炭素の吸収量が減り、ブラジルだけでなく、世界の温暖化対策に大きく影響してしまう。『パリ協定』の目標の達成も難しくなる」とボルソナロ氏の方針を批判しました。

そのうえで、「新政府の方針にかかわらず、われわれは、これまでどおり、NGOとして削減目標の引き上げにつながる環境作りに貢献していきたい」と決意を述べました。

ブラジルの新政権の方針を巡っては各国からも「アメリカに続いてブラジルが温暖化対策に後ろ向きになればドミノ現象が起きてパリ協定が形骸化する可能性がある」という懸念の声が相次いでいます。

国に対策強化求める訴訟相次ぐ

「パリ協定」の目標を達成するために各国政府や企業に対し、削減目標の引き上げなど温暖化対策の強化を求める動きは、市民の間でも広がっています。

イギリスの大学などの調査では、温暖化の影響で、生命や財産が脅かされているとして政府や電力会社など、温室効果ガスを大量に排出している企業を相手取った訴訟が世界20か国以上で起きていて、その数は合わせて1000件以上に上ります。

このうち、ヨーロッパなど世界各地で訴訟を起こしている市民や、NGOの代表らがCOP24の会場で会見を開き、EU=ヨーロッパ連合を訴えているスウェーデンの先住民族の女性は国民の生活を守るために、EUは温暖化対策を強化する義務があると強調しました。

市民とともに訴訟を起こしているNGO、「CAN EUROPE」のベンデル・トリオ代表は、「人々の生活が実際に脅かされている。ただ声をあげるだけでなく、裁判を通して政府に圧力をかけることが必要だ」と話していました。