地震被害からの復旧一向に進まず 北海道 厚真町

地震被害からの復旧一向に進まず 北海道 厚真町
北海道の地震から3か月がたちましたが、大規模な土砂崩れが起きた厚真町では崩れた土砂やがれきの量が多く、処分先の確保や工事の見積もりなどに時間がかかり、住宅地や農地などの復旧作業が一向に進んでいません。農地については土砂の撤去の完了までに数年かかる可能性もあり、被災者の間で不安が募っています。
9月の地震で厚真町とその周辺では、およそ3800か所の広範囲で土砂崩れが発生し、国土交通省の調査で崩壊で発生した土砂の量はおよそ3000万トンと推定されています。

町と北海道は、土砂の撤去などで国から補助を受けるのに必要な「災害査定」を進めていますが、これまでに査定を終えたのは道路と河川で67.3%、農地や農業施設で79.7%にとどまり、査定が終わったか所でも復旧作業はほとんど進んでいません。

住宅地については、公費による被災家屋の解体を求める町への申請がこれまでに114件寄せられていますが、まだ1件も査定が行われていないということです。

町によりますと、土砂やがれきの量が多く、撤去したあとの処分先の確保や工事の見積もりなどに時間がかかっているほか、査定に必要な測量業務などを監督できる技術職員の数も不足しているということです。

農地については撤去が完了するまでに数年かかる可能性もあるということで、被災者の間で不安が募っています。

厚真町の宮坂尚市朗町長は「復旧が進まない現状に町民から批判を受けてしかるべきだと思う。住民から理解を得られるよう地域ごとの復興スケジュールを早めに示したい」と話しています。

農機具小屋が倒壊 調査も行われず

厚真町高丘地区の農家、松平功さん(77)の自宅のそばには地震で全壊した3棟の農機具小屋が当時のままの状態で残っています。

松平さんは地震の翌月にこれらの建物の解体や撤去を町に申請しましたが、3か月たっても作業はおろか町による調査すら行われていません。

このまま解体や撤去が進まないと、来年の農作業に向けた準備にも影響が出かねないと不安を感じています。

松平さんは「これまで余震が起きるたびに建物が崩れないか心配で近づくこともできなかった。もう3か月もたつので早く作業に取りかかってほしい」と話しています。

専門家「自治体職員でチーム作り対応を」

災害の復旧事業に詳しい首都大学東京の中林一樹名誉教授は「あれだけの大量の土砂を仮置きしたり、最終処分したりする場所を確保するには、民有地を買い取るなどの土地問題が絡む可能性もある。町は工事が止まる冬の間にこうした課題を解決し、土砂の運搬などについて民間業者と入念に計画を立てておく必要がある」と指摘しています。

そのうえで「国は東日本大震災で同じような経験を積んだ自治体の職員を被災地に派遣し、専門のチームを作って対応する必要があるのではないか」と話しています。