OPEC総会 原油価格下がる中で減産に踏み切るか焦点

OPEC総会 原油価格下がる中で減産に踏み切るか焦点
サウジアラビアなど主な産油国で作るOPEC=石油輸出国機構は、6日、来年の生産量を決める総会を開きます。国際的な原油価格は、原油が余るとの見方から値下がりに転じていて、高値を維持したい産油国が減産に踏み切るかが焦点です。
OPECの総会は、オーストリアのウィーンにある本部で6日に開かれます。

OPECに加盟する産油国は、アメリカがイランへの経済制裁再開を発表し原油不足への不安が広がったことを受けて、生産を増やしてきました。しかし、先月の制裁発動後も、イランからの輸出が限定的ながら続いていることや、景気の先行きが不透明で原油の需要が減るという見通しもあることから、逆に「原油が余る」という見方が強まっていて、国際的な原油価格はことし10月のピーク時より、およそ30%値下がりしています。

このため総会では、原油の高値維持のため、来年の生産量をことしより減らすかどうか、議論します。

総会が開かれるウィーンには前日から加盟国の代表が集まって事前の調整を進めていて、OPEC第2の産油国イラクのガドバン石油相は、減産に踏み切るのかという記者団の問いかけに対し、「具体的な話はまだ早いが、そうなることを願う。われわれは前向きだ」と述べました。

ただ、アメリカのトランプ大統領は、OPEC最大の産油国サウジアラビアなどに対し、原油価格を下げるよう繰り返し求めていて、総会前日の5日にもツイッターに「OPECには原油の供給を制限せず、現状のままにしておいてほしい。世界は原油高は見たくもないし、その必要もない!」と書き込んで圧力を強めています。

このためOPECが減産に踏み切れるのか不透明だという見方も出ています。

原油価格の動向は、日本のガソリンや灯油の価格にも影響を与えるだけに、産油国の判断が注目されます。
原油価格は、去年1月から、OPEC=石油輸出国機構とロシアなど主な産油国が共に生産量を減らす協調減産に踏み切った結果、値上がりが続いてきました。

一段と高値になったのは、トランプ政権がイランへの経済制裁を再開すると表明したことし5月です。有数の産油国イランへの経済制裁で、原油は供給不足に陥ると受け止められ、ニューヨーク原油市場では国際的な原油取引の指標となるWTIの先物価格がおよそ3年5か月ぶりに1バレル=70ドル台を突破しました。

ことし6月、これ以上の値上がりは石油離れを加速しかねないと考えたOPECと非加盟のロシアなどは協調減産を緩めて原油の生産量を増やすことで合意しました。それでも、日本などの消費国がイランとの取り引きをやめると表明し、イラン産原油は市場から締め出されるとの見方が広がると、原油価格は高値が続いて、ことし10月にはおよそ3年11か月ぶりの水準の1バレル=76ドル90セントまで値上がりしました。

しかし、その後、原油価格は一転して値下がりします。サウジアラビアやロシアがイラン産の減少分を補おうと増産したことに加え、アメリカがシェールオイルの生産を増やしたため、原油の供給不安は後退しました。

さらにアメリカがイランへの経済制裁発動の際に、日本など消費国への制裁適用を当面、除外すると決めたため、市場から締め出されるはずだったイラン産原油の輸出は限定的ながら続いていて、今度は「原油が余る」との見方が強まったのです。原油価格は、10月のピークから2か月たらずで1バレル=50ドル台を切る水準まで値下がりし、一気に30%以上、下落しました。

こうした状況を受けて、OPECを主導するサウジアラビアは、現在、減産にかじを切ろうとしています。ただ、トルコで起きたジャーナリスト殺害事件などで国際社会から批判を受けるサウジアラビアが、サウジアラビアを擁護する姿勢のトランプ大統領の意向に反して減産に踏み切るのか疑問だという声もあります。また、総会直前には、古参の加盟国であるカタールが来月からの脱退を表明し、OPECの原油市場に対する影響力の低下は避けられないと指摘されており、OPECは難しい情勢の中で総会を開催することになります。
イランでは、アメリカのトランプ政権がイランへの経済制裁を再開し、原油の禁輸措置に踏み切ると発表したことし5月以降、原油の輸出量が大幅に減少しています。日本や韓国などの消費国が原油の取り引きを停止したためです。

イギリスの調査会社によりますと、イラン産原油の輸出量は、ことし5月に1日あたり250万バレルあったのが、先月には110万バレルと半分以下にまで減りました。

トランプ政権は、先月の制裁発動の際、日本や中国、インドなど8つの国などについては、一時的に、制裁の対象から除外すると発表しました。これを受け、日本などはイラン産原油の取り引きを再開させる方針ですが、以前よりも取り引き量を減らすことが求められているうえ、除外される期限も来年5月までの180日間になる見通しです。このためイラン産原油の輸出量は、今後も低い水準にとどまると見込まれています。

こうした中、イランのザンギャネ石油相は先月、地元メディアのインタビューに、「一部の国が石油市場に介入して供給量を増やすことで、イランに不利益をもたらそうとしている」と述べ、サウジアラビアなどがイラン産の原油が減っている間に市場シェアを奪おうとしていると強い警戒感を示しました。

イランとしては、今回のOPEC=石油輸出国機構の総会で、輸出の減少分を各国が補うことを理由に増産を決めないよう強く求めていく方針です。
トランプ大統領は、これまで繰り返し、「原油価格の値上がりは、減産を続けるOPECに原因がある」と主張して、増産を迫ってきました。

トランプ大統領は、ことし5月、イラン核合意から一方的に離脱して経済制裁を再開すると発表。イラン産原油の供給が減ることへの懸念から、原油価格は上昇しました。これを受け、ことし6月、OPECが生産量を増やすことで合意すると、トランプ大統領はツイッターに、「OPECが大幅に生産を増やすと期待している。価格を低くする必要がある!」と投稿しました。

その後、トランプ政権が、日本などの消費国に対して、イラン産原油の輸入を完全に停止するよう求め、イランの原油輸出を断ち切る構えを見せると、原油価格は一段と上昇しました。

ただトランプ政権は先月、経済制裁を発動させる際、イランと原油の取り引きのある日本や中国、インドなど8つの国や地域を一時的に制裁の対象から除外すると発表しました。議会の中間選挙を間近に控え、支持離れを招きかねないガソリン価格の高騰などを避けたいという思惑があったとみられています。

さらに、サウジアラビア人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が殺害された事件をめぐって、アメリカのCIA=中央情報局がムハンマド皇太子の指示があったと結論づけたと伝えられるなか、トランプ大統領は、皇太子の関与の有無を明確にせずサウジアラビアを擁護する姿勢を示しました。

2020年の大統領選挙を見据えるトランプ大統領としては、多額の軍事装備品を購入するなどアメリカに大きな経済効果をもたらすサウジアラビアとの対立は避けたいという事情があります。

また、サウジアラビアを擁護する姿勢を示した翌日、トランプ大統領はツイッターに、「原油価格が下がっている。すばらしい!アメリカや世界にとって減税のようなものだ。サウジアラビアに感謝する。さらに低くしよう」と書き込んでいます。これには、ムハンマド皇太子の責任を追及しない代わりに、原油の減産に踏み切らないよう、サウジアラビア側にくぎを刺す狙いがあったのではないか、という見方も出ています。