気づいたら減っていた…。もはやひと事ではありません。

気づいたら減っていた…。もはやひと事ではありません。
「減便で30分近くバスが来なくなる時間帯ができて不便になった」「減便で早いバスに乗らないと大学の授業に間に合わない」。最近、SNS上でよく見る路線バス減便・廃線への影響の声。しかも、これらの投稿を詳しく見てみると、地方ではなく、東京など首都圏での影響でした。調べてみると、この問題、どこに住む人にとっても、もはやひと事ではないようです。
(宮崎局記者 牧野慎太朗・ネットワーク報道部記者 後藤岳彦・首都圏放送センターディレクター 北條泰成)

“あれ、バス減った?” 首都圏でも続々とー

「バス減便、遅刻しそー」。
「路線バスの減便あちこちで聞く、うちの近所でも」。

こうしたSNSの投稿をきっかけに取材をしてみると、全国で路線バスが大変なことになっていました。

そこで、急きょ、NHKでも特設サイト「路線バス問題」を立ち上げて、バス好き記者とディレクターが継続取材中。するとまたまた見つけてしまいました。気になる投稿をー。
「ダイヤ改正があり、若干、減便したようだ。減便前より車内の混雑がひどくなった」。
「かなり利用者が多く黒字路線だと思うが減便され、朝の通勤時間帯は混雑が増した」。
「乗れない乗客を何度か目撃したことも。私はタクシーを使うこともある」。

一見、これまでの投稿と変わりなさそうですが、詳しく見てみると、実は、投稿している人たちの多くが東京など首都圏在住者たち。

どうやら路線バスの減便・廃止は、地方だけでなく、東京や首都圏各地でも相次いでいるようです。早速、投稿者の一人に聞いてみました。

利用者多くても減便?

まず、話を聞かせてもらったのは、都内在住で埼玉県内の大学のキャンパスにも通う大学生。

週に数回、電車とバスを乗り継いで大学に通っていますが、ことしの春、突然、駅からのバスが減便。

ダイヤ改正で、以前は朝夕には15分に1本程度あったバスの便が、今では30分に1本程度に。

一方で乗客は以前と変わらず多いため、ラッシュ時間帯には、バスに乗り切れず、次のバスを待つ人の姿をよく見るようになったといいます。

この大学生もバス停に並ぶために20分程度早く家をでなければならなくなりました。

乗る人が多いのになぜ減便?その困惑を次のように語ってくれました。

「減便をせざるをえない会社側の理由もあるのだろうし、そのこと自体はやむをえないと感じる一方で疑問も。乗る人はけっこう多くて、ひどい時にはバスを待ったのに乗車もできず、さらに待たされるということも起きるほどで、すごく不便になった。せめて、混雑時間帯だけでも、もとの便数に戻してほしいと感じる」。

都心でも減便 土日はさらに大変

「わずか10分の違いでも積もり積もって…」。

都内の大学に通い、23区内に住む別の大学生も困っていました。

バスと電車を使って、大学まで通っているということですが、やはりバスが減便。

通学で使っていた時間帯の便も減り、以前より10分ほど早い便に乗らなければならくなったといいます。

「10分程度ならたいした影響ではないと思われるかもしれませんが、朝夕の10分は影響が大きい。早めに家をでてバス停に並ぶ時間に加え、電車の乗り継ぎなどの時間も考えると、通学時間トータルの影響で見ると、30分にも1時間にもなることもある」と、その影響の大きさを、記者の心を見透かしたように、こう話してくれました。

さらに週末や祝日になると、もっと大変な状況になっているところもあるようです。

「1日に5本になった。都心から20分のベッドタウンでありえない」という書き込みもありました。

確かに記者の同僚などからも、土日にバスの便が減り、通勤が大変になったという声もよく聞きます。

その理由、バス会社に聞いてみるとー

大都市部で利用者は多いはずなのに、なぜ減便?ずばり、その理由を首都圏にあるバス会社に聞いてみました。

大手バス会社は、おおむねつぎのような回答でした。

「お客様の利用実態に応じた効率的なダイヤの見直しです」。

いまいちピンとこなかったので、「全国的に深刻化している『運転手不足』や『利用者の減少』などが理由では?」とぶつけてみましたが、きっぱりと否定。あくまでも「利用実態に応じた見直しです」とのことでした。
ただ、中小のバス会社の中には、その理由に「運転手不足」「利用者の減少」をあげるところもありました。

実際、東京や埼玉、神奈川などのバス会社を取材してみると、ここ数年、減便や路線の休止などに踏み切るところが少なくありませんでした。

ただ、やはり都心部は限定的で、それ以外の地域で相次いでいました。

大阪では中心部でも 大幅減便も

一方、大阪では中心部でも大幅な減便計画が発表され、SNSには驚きの声の投稿が相次いでいます。

「阪急バスの加島行き、本数大幅減便とのことで驚き」。
「自分の路線は果たして大丈夫かと心配です」。

大阪の大手バス会社「阪急バス」は12月から大阪中心部の梅田と加島駅を結ぶ便を大幅に減便。さらに一部の路線を廃止するなどとしています。
そしてその理由には「運転手要員不足の深刻化」「利用者の減少」をあげています。

大都市中心部での路線バスの減便・廃止は、大阪だけでなく福岡や仙台などでもー。

“赤字路線”や“過疎地域”が減便・廃止の対象になるというのはもはや過去の話で、いまや“大都市中心部”“黒字路線”であっても、その対象となってしまうということです。

つまり、路線バスの減便・廃止問題は、どこに住む人にとっても、もはやひと事ではなくなりつつあるのです。

もはやひと事ではありません

路線バスが減便・廃止されれば、私たちの生活への影響は必至です。

引き続き、さまざまな角度から取材を進めていきたいと思います。

そして皆さんへ一つ報告があります。

多くの方が特設サイト「路線バス問題」に関心を寄せてくださったことなどもあり、この問題をテーマにした番組も決定。

皆さんのSNSでのつぶやきを取材の参考にさせてもらうとともに、引き続き、一緒にこの問題を考えていきたいと思います。