乳児死亡 「虐待疑い」と通告も認定されず調査終了

乳児死亡 「虐待疑い」と通告も認定されず調査終了
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12年前、東京・新宿区で生後11か月の女の子に暴行を加えて死亡させたとして義理の父親が逮捕された事件で、当時、女の子が搬送された病院が「虐待の疑いがある」と都の児童相談センターに通告していたことがわかりました。しかし虐待かどうかの調査中に女の子が死亡し、支援の必要がなくなったため、虐待と認定せず調査を終了したということです。
平成18年12月、東京・新宿区のマンションで、生後11か月の櫻井亜衣ちゃんに暴行を加え、その後、死亡させたとして、警視庁は、義理の父親で、神奈川県相模原市の堀田伸輔容疑者(42)を傷害致死の疑いで逮捕しました。

当時、亜衣ちゃんは病院に搬送されましたが、その際、病院が、けがの状況などから、「虐待の疑いがある」と都の児童相談センターに通告していたことがわかりました。

このため児童相談センターは、病院や母親から聞き取りを行いましたが、2か月余りして女の子が死亡し、支援の必要がなくなったことや当時、警察が立件しなかったことから、虐待とは認定せずに調査を終了し、その後の検証も行わなかったということです。

現在は、死亡した事例などについても再発防止につなげるため、自治体が検証することになっています。

児童相談センターは「当時の対応は適切だったと考えている」としていますが、詳しい経緯を調べることにしています。

小池知事「真剣に受け止め検証を」

東京都の小池知事は9日の記者会見で、12年前、東京・新宿区で生後11か月の女の子に暴行を加えて死亡させたとして義理の父親が逮捕された事件について、「児童虐待は決して許されるものではなく、亡くなったお子さんに心からご冥福をお祈りしたい」と述べました。

そのうえで、「12年前に、保護者から『養育が困難だ』という相談を受けた児童相談所の措置で、乳児院で預かっていた。施設から家庭に戻る際には、児童福祉司などが親子の交流の様子や生活基盤を調査するなど手順をきちんと踏んで進めたということだが、いずれにせよ、今回の件も真剣に受け止め、今後しっかり検証していきたい」と述べました。

虐待を見抜く医療 現状は

虐待による子どものけがに詳しい前橋赤十字病院の溝口史剛医師によりますと、虐待死が疑われるのは、今回の事件のように頭のけがが原因のケースが多いということです。

頭に重傷を負った子どもが病院に運ばれてきた場合、まず、CT検査で頭蓋骨の骨折や脳の腫れなどがあるか調べたうえで、どの程度の強さの衝撃や揺れが頭に加えられたのか、医学的に検証するということです。

そのうえで、けがをした状況についての親の説明が、けがの状態と矛盾しないか確認し、虐待が疑われる場合は警察や児童相談所に連絡するということです。

これまでの研究の積み重ねで、医療現場で虐待死が見逃されることは、今回の事件当時よりも減ってきているということですが、医学だけでは加害者の特定までは難しく、警察の捜査に委ねられるため、事件化されるのは今も一部にとどまっているということです。

溝口医師は「虐待だと断定できなくても、ひとりの子どもが虐待が疑われる状況で死亡した事実は重い。虐待で命を落とす子どもをなくすためには、疑いにとどまる事例でも虐待だったとしたらと仮定して積極的に再発防止の検証を行うべきだ」と指摘しています。