iPS細胞 パーキンソン病患者に臨床試験手術 世界初 京大

iPS細胞 パーキンソン病患者に臨床試験手術 世界初 京大
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体が動かなくなる難病のパーキンソン病の患者にヒトのiPS細胞から作り出した細胞を脳に移植する臨床試験の手術を、京都大学のグループが世界で初めて実施したと発表しました。グループは今後、さらに6人の患者に実施して安全性や有効性を確かめたうえで、保険が適用される一般的な治療法にすることを目指す計画です。
パーキンソン病は、国内におよそ15万人患者がいるとされ、ドーパミンという神経の伝達物質を作り出す脳の神経細胞が失われることで手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病です。

京都大学医学部附属病院の高橋良輔教授と、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らのグループは、パーキンソン病の患者を対象にヒトのiPS細胞を使った臨床試験を計画していました。

グループは9日、会見を開き、先月、京大病院で、50代の男性患者の脳にiPS細胞から作り出した細胞およそ240万個を移植する手術を行ったことを公表しました。

現時点で経過は良好で、iPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床試験は世界で初めてだということです。

グループは、今後、問題がなければこの患者にさらに240万個の細胞を移植するほか、新たに6人の患者に手術を行い、データを集めて安全性や効果を検証したうえで、保険が適用される一般的な治療法にするための国の承認を受けることを目指す計画です。

京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授は「患者さんに勇気と覚悟を持って参加してもらい感謝している。結果がすべてなので、これまで積み上げてきた研究の審判が下されると思うと厳粛な気持ちだ」と話していました。
パーキンソン病は、国内におよそ15万人患者がいるとされ、ドーパミンという神経の伝達物質を作り出す脳の神経細胞が失われることで手足が震えたり、体が動かなくなったりする難病です。

京都大学医学部附属病院の高橋良輔教授と、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らのグループは、パーキンソン病の患者を対象にヒトのiPS細胞を使った臨床試験を計画していました。

グループは9日、会見を開き、先月、京大病院で、50代の男性患者の脳にiPS細胞から作り出した細胞およそ240万個を移植する手術を行ったことを公表しました。

現時点で経過は良好で、iPS細胞を使ったパーキンソン病の臨床試験は世界で初めてだということです。

グループは、今後、問題がなければこの患者にさらに240万個の細胞を移植するほか、新たに6人の患者に手術を行い、データを集めて安全性や効果を検証したうえで、保険が適用される一般的な治療法にするための国の承認を受けることを目指す計画です。

京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授は「患者さんに勇気と覚悟を持って参加してもらい感謝している。結果がすべてなので、これまで積み上げてきた研究の審判が下されると思うと厳粛な気持ちだ」と話していました。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、多くは50歳以降に発症しますが若い時に発症するケースもある難病で、患者は1000人に1人から1.5人ほどで、国内の患者数はおよそ15万人とされています。

徐々に体が動かなくなって歩けなくなり、寝たきりになるケースも少なくありません。

パーキンソン病は、神経伝達物質であるドーパミンを産生するドーパミン神経細胞が異常を起こす病気です。

進行すると正常に働く神経細胞の数が減ってしまいます。

正常な神経細胞は作り出したドーパミンを別の神経に渡して脳の指令を伝えることで体を動かしています。

詳しい原因は解明されていませんが、この神経細胞が働かなくなることでドーパミンの量が少なくなり手足が震えたり体が動かなくなったりするとされています。

主な治療法としては、薬の服用や脳に電極を埋め込む外科手術でドーパミンの産生を促す方法がありますが、病気の進行を完全に抑えるのは難しいとされています。

移植手術の概要

今回の臨床試験は、iPS細胞から神経伝達物質であるドーパミンを産生する「ドーパミン神経細胞」の元となる細胞を作り出し、大脳の被殻と呼ばれる部分に移植するものです。

手術は、患者の頭部を専用の器具で固定して行われ、前頭部に直径1センチ余りの穴を開け、そこから針を挿入し、被殻に細胞を注入します。

移植する細胞はおよそ500万個を予定していますが、今回は1例目で安全性を確認しながら進めるため半分のおよそ240万個の細胞を移植しました。

今後、半年間、経過を観察して異常がないことが確認できれば、さらに240万個の細胞を移植することにしています。

計画ではさらに6人の患者に移植することを予定していて、それぞれ移植してから2年間データを集め、その後、第三者をまじえて安全性や効果を検証するということです。

患者「ついにここまできた」

パーキンソン病の患者およそ9000人が会員になっている「全国パーキンソン病友の会」の役員の平峯寿夫さん(70)は、12年前、58歳のときにパーキンソン病と診断されました。

当初は右半身に軽いしびれがある程度でしたが5年ほど前から症状が進行し、指先の細かい動きがしにくいほか、声も出しにくくなりかすれてきています。

特に好きだった家の近くの公園の散歩も少しずつできなくなり、今はバランスがうまくとれないことからゆっくりとしか歩くことができず、ほとんど散歩ができなくなりました。

パーキンソン病の症状について平峯さんは、「ついこの間まで当たり前にできていたことが思うようにいかなくなる。少しずつ薬の効きも悪くなって寝たきりになってしまう人もいます。今は根本的な治療法がないので、もどかしさを感じています」と話していました。

そのうえで、今回の発表について、「私たち患者はこの計画が公表された時から注目してきています。ついにここまできたなと感じています。実用化はまだ先で、私の治療には間に合わないかもしれませんが40代、50代など若い患者たちのためにもぜひこの臨床試験が成功してよい結果がでることを心待ちにしています」と話していました。

iPS臨床応用の状況

京都大学の山中伸弥教授が11年前に開発したヒトiPS細胞を使った再生医療の臨床応用は、4年前、世界で初めて神戸市にある理化学研究所などのチームが行いました。

対象は「加齢黄斑変性」という重い目の病気で、これまでに6人の患者に手術を行い、安全性や効果などを評価しています。今回の臨床試験はこれに続くものになります。

さらに、すでに臨床研究の手続きがすべて終わっているものがあります。大阪大学では、iPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞をシート状にして重い心臓病の患者の心臓に直接、貼り付けて治療する臨床研究を行うため、現在、細胞の培養を進めています。

また、京都大学の別のグループは血液の病気の患者にiPS細胞から作った血小板を投与する臨床研究を近く実施する予定です。

このほかにも手続きを進めている途中の研究があります。慶応大学のグループは、脊髄が傷ついて体を動かせなくなった患者に神経の元となる細胞を移植し、運動機能の回復を目指す臨床研究を行うため大学の委員会で審査が進められているほか、大阪大学でも目の角膜が傷ついた患者にiPS細胞から作った角膜の組織を移植する臨床研究の審査が大学で進められています。

さらに慶応大学の別のグループは大阪大学とは別の方法で、重い心臓病の患者にiPS細胞から作った心臓の筋肉の細胞を移植する臨床研究を実施することを目指して、準備を進めています。