米議会「ねじれ」 トランプ氏 難しい政権運営に

米議会「ねじれ」 トランプ氏 難しい政権運営に
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アメリカ議会の中間選挙について、上院はトランプ大統領の与党・共和党が多数派を維持する一方で、下院は野党・民主党が多数派を奪還することになりました。上院と下院で多数派が異なる「ねじれ」の状態が続き、トランプ大統領の公約の実現が一層厳しくなるとみられ、難しい政権運営を迫られそうです。
アメリカ議会の中間選挙は上院100議席のうち35議席と下院の435議席すべてが改選され、6日投開票が行われました。

アメリカABCテレビによりますと、上院では改選されない議席も合わせて共和党が51議席、民主党が45議席を獲得し、共和党が多数派を維持することになりました。

一方、下院については共和党が201議席、民主党が223議席を獲得し、民主党が多数派を奪還することになりました。

下院の開票作業はまだ続いていますが、ABCテレビは、民主党が最終的には2年前より32議席から36議席まで伸ばす勢いだと伝えています。

選挙戦で、民主党はトランプ大統領が強硬な移民政策などを掲げて社会の分断をあおっていると訴えたほか、有権者の関心が高い医療保険制度などを前面に押し出し、トランプ大統領の政策や言動に反発する有権者を取り込んだものとみられます。

結果を受けて、トランプ大統領はツイッターに、「すばらしい成功を収めた。皆さん、ありがとう」と投稿し強気の姿勢を崩していません。

今回の選挙で、今後2年間は議会の上院と下院で多数派が異なる「ねじれ」の状態が続くことになり、メキシコとの国境の壁の建設や、オバマ前政権が導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアの撤廃などトランプ大統領の公約の実現は一層厳しくなるとみられます。

また、下院で民主党が多数派となることでいわゆる「ロシア疑惑」などをめぐり、民主党が議会での追及を強め、トランプ大統領にとって不利な情報が明るみになる可能性もあり、難しい政権運営を迫られそうです。

内政が行き詰まれば、トランプ大統領は外交や貿易政策でみずからの指導力をアピールするため、一段と厳しい姿勢で臨むことも予想され、日本などにどのような影響が出るのか注目されます。

結果への受け止めは?

トランプ大統領にとって下院での敗北は打撃となったことは間違いありません。
しかし、ツイッターでは「大きな勝利だ」と強気な姿勢を見せました。

背景には、上院では多数派を維持し、さらなる議席の上積みも期待できる状況となったことがあります。トランプ大統領は選挙戦終盤、上院の接戦州に絞った選挙運動を展開しており、その戦略が功を奏したと見ることもできます。

一方、下院を奪還した民主党側は、大きな勝利だと受け止めています。そしてこの勝利は、対立をあおったトランプ大統領に国民がノーを突きつけた結果だとして、「もうこれ以上の分断はたくさんだ」と、国民に融和を訴えました。

共和党が下院で敗北したわけは?

アメリカ経済が好調な中、共和党が下院で多数派を奪還された背景には、この2年間のトランプ大統領の政権運営を見た国民の多くが、このまま国が同じ方向に進むことを望まなかった結果だと言えます。

トランプ大統領の国民の分断をあおるような言動への根強い批判が影響した面も大きいと見られます。

特に#MeToo運動を背景とした、女性候補者によるいわゆる「ピンクウェーブ」は、民主党の議席増に直結しました。

ただ、中間選挙は歴史的に見ても政権与党への反発や批判が現れやすい選挙です。与党側が議席を大きく減らすケースが多く、加えて今回は、再選を目指さなかった共和党議員の数が民主党よりも多かったこともあり、下院はもともと民主党に有利だったという側面もあります。

議会のねじれの影響は?

下院で民主党が多数派となることでトランプ大統領が意図する予算案や法案が、これまでよりも通りにくくなる見通しです。トランプ大統領は議会で民主党の理解が得られず、政策が前に進まなくなれば、責任は民主党にあると強く非難し、より対決姿勢を強める可能性もあります。そうなるとますます党派間の分断が進み、「決められない政治」が続くことになります。さらに議会下院には、「弾劾の訴追」を行う権限があり、トランプ大統領の弾劾に向けた手続きが進む可能性があるうえ、民主党側が議会の調査権を使い、ロシア疑惑をはじめとした政権の疑惑を追及し、内政が停滞する可能性もあります。

日本との関係に変化は?

下院で多数派を取られたとはいえ、トランプ大統領が民主党側に妥協し、看板として掲げる「アメリカ第1」の政策を曲げることは考えにくいのが実情です。日本に対しても、貿易赤字の削減を迫る姿勢に変化はないと見られます。今後、内政面では議会で法案や予算案が通りにくくなることから、大統領の権限で実行しやすい外交や通商政策により力を入れる可能性が指摘されています。トランプ大統領としては、2年後の大統領選挙での再選を視野に、外交や通商政策で「アメリカ第1」を貫いていく姿勢を引き続きアピールし、より保護主義的な姿勢を国民に示していくものと見られます。