8強果たした錦織 収穫と課題は

8強果たした錦織 収穫と課題は
テニスの四大大会、ウィンブルドン選手権で、錦織圭選手は、男子シングルスの日本選手として85年ぶりのベストフォーは逃したものの、10回目の挑戦で自身初のベストエイト進出を果たしました。ケガからの復活を目指す錦織選手にとって、今後の大会に向けて収穫を得た一方、課題を感じた大会ともなりました。
去年8月、サーブの練習中に右手首のけんを脱臼するけがをした錦織選手はその後、およそ5か月間、大会に出場しませんでした。

ことし1月に復帰したあとは多彩な攻撃や粘りといった本来の持ち味を徐々に取り戻し、5月に開幕した全仏オープンでは4年連続で4回戦に進出しました。

迎えたウィンブルドン選手権では、ケガからの復帰の過程でフォームの変更に取り組んでいたサーブが効果を発揮しました。右腕の振りをこれまでよりコンパクトにした新たなフォームは、トスをあげる位置やサーブの打点のばらつきが少なくなりました。

「打点が安定し、自分の力がうまくボールに伝わる、力の入りやすいフォームになった」という錦織選手のことばどおり、サーブに威力が増し、サービスエースを奪った数も1試合平均で去年の6本からことしは10本近くまで上がりました。

錦織選手は「今大会はサーブに助けられた部分がある。サーブがよくなってきていて、自分のテニスを少し見つけ出せたことが大きな収穫だ」と振り返りました。

収穫はサーブだけではありません。錦織選手がウィンブルドンでの戦いに苦しんできた理由の1つに芝のコートであることがあげられます。芝のコートは足元が滑りやすいため、持ち味のフットワークを生かしにくいためです。

錦織選手はけがからの復帰を目指す中で、フィジカルの強化にも努めてきた結果、今大会は軸のぶれない体からリターンやストローク戦で鋭いショットを繰り出し、「芝のコートではフットワークにいちばん苦戦していたが、それがよくなってきている。ストロークの打ち合いも我慢できるようになってきた」と手応えを感じていました。

その一方、準々決勝でジョコビッチ選手に敗れた後に錦織選手が課題にあげたのは、試合を通じてのテニスの「質」の差でした。象徴的だったのはセットカウント1対1で迎えた第3セット、2-2で迎えた第5ゲーム。相手のサービスゲームで錦織選手は一気に3つのポイントを重ね、ラブゲームでブレークするチャンスをつかみました。

この場面でジョコビッチ選手が精度の高いショットを見せた一方、錦織選手はミスが重なり、連続してポイントを失って、キープされてしまいました。

さらに、自身のサービスゲームとなった続くゲームではフォアハンドが乱れて逆にブレークされ、つかみかけた流れを手放してしまいました。

錦織選手は「3セット目のブレークのチャンスでゲームを取ることができていたら、自信もついてもっとプレーも変わっていたかもしれない。プレーの質を1試合通してずっと高いレベルでやらないといけない」と話し、勝負どころでのプレーの質を上げることを今後の課題に挙げました。

大会前、「100パーセントの自信はなく挑戦できる大会」と話していた錦織選手。大会を終えて「自信は戻ってきているので、今後、このままのテニスができれば世界ランキングも自然に戻ってくると思う。次につながる2週間になった」と振り返りました。

ウィンブルドンで、これまでと違った戦いぶりを見せてくれた錦織選手、大会での収穫と課題をもとに、次のハードコートシーズン、そして四大大会第4戦の全米オープンではどんな戦いを見せてくれるのか、期待が膨らみます。