サッカーW杯 課題はテロ対策

サッカーW杯 課題はテロ対策
今回のサッカーワールドカップでは、大会期間中、150万人以上の外国人がロシアを訪れると見込まれ、テロ対策が課題となっています。
今月28日、日本がポーランドと対戦する南部のボルゴグラードでは、ソチオリンピックを直前に控えた2013年、連続爆発テロ事件がおき、30人以上が死亡しました。

また去年4月、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄の車内でおきた爆発テロ事件では15人が犠牲になりました。

ロシアがシリア内戦に介入し、過激派組織IS=イスラミックステートに空爆を加えてきたことから、ISはロシアをテロの標的にすると脅しています。

このためロシア政府は、ワールドカップで試合が行われる11の都市で、鉄道や空港といった交通機関の施設の警備を強化しています。

このうち、首都モスクワでは、3万人以上の警察や治安部隊が重要施設などの警備に当たり、会場周辺では、試合の開催に合わせて大規模な交通規制も行われます。

ロシア政府の、テロ対策の切り札とされるのが「ファンID」と呼ばれるIDカードです。サッカーワールドカップとしてはロシア大会で初めて導入され、試合会場に入るには観戦チケットと「ファンID」の両方が必要となります。

「ファンID」は顔写真がついた本人証明書で、ロシア政府がICPO=国際刑事警察機構のデーターベースに照会し、テロ組織との関わりがないことを確認したうえで発行されます。「ファンID」と観戦チケットの両方をもつ観客は試合当日、会場周辺の公共交通機関が無料になるということで、駅やバス停などの混雑を緩和するとともに、テロの標的となりやすい人混みを少なくする狙いもあると見られます。

90年代以降モスクワなどで多くの犠牲者

ロシアでは1990年代以降、首都モスクワや南部のチェチェンなどで、たびたび、テロ事件が起き、多くの犠牲者が出ています。

1999年9月には、モスクワで2か所の高層アパートが相次いで爆破されて合わせて200人以上が死亡し、当時、首相だったプーチン氏はチェチェンの武装勢力によるテロ事件と断定して、チェチェンに軍を派遣しました。

2002年10月には、チェチェンの武装グループがモスクワ市内の劇場で、観客らを人質にとって立てこもり、治安部隊が突入した結果、およそ130人が犠牲になりました。

2004年は特にテロが多く、2月、モスクワの地下鉄の走行中の車両で自爆テロが起き、およそ40人が死亡したほか、8月には、モスクワ郊外のドモジェドボ国際空港を離陸した国内線の旅客機2機がほぼ同時に爆破され墜落し、乗客乗員90人全員が死亡しました。

さらに9月にはロシア南部の北オセチア共和国のベスランの学校で、武装グループが児童生徒など1200人以上を人質にとって立てこもり、治安部隊との銃撃戦のすえ、子どもを含む300人以上が命を落とす惨事になりました。

2009年11月にはモスクワからサンクトペテルブルクに向かう急行列車の線路脇で爆発が起き、28人が死亡しています。
2010年3月、モスクワの2か所の地下鉄の駅で連続して起きた自爆テロや、2011年1月、ドモジェドボ国際空港で起きた爆弾テロでは、北カフカス地方に拠点を置くイスラム過激派の武装勢力の指導者がそれぞれ犯行声明を出しました。

テロ事件は、今回のワールドカップで試合が行われる地方都市でも起きています。

今月28日、1次リーグで日本がポーランドと対戦する南部のボルゴグラードでは、ソチオリンピックの開幕を控えた2013年、路線バスや鉄道の駅を狙った連続爆弾テロが起きました。

また、プーチン大統領の出身地でもあるサンクトペテルブルクでは去年4月、地下鉄の車内で、12月にはスーパーの店内で突然、爆発が起き、大勢の死傷者が出ました。

ロシアの治安当局はワールドカップ開幕に向けてテロ対策を強化し、ことし1月から3月末までの3か月間に、ロシア全土で12のテログループを摘発、189人を拘束し、15人を殺害したとしています。