ついに“よっちゃんイカ”にも

ついに“よっちゃんイカ”にも
子どもたちの楽しみが、また一つ無くなることになりそうです。駄菓子屋で人気の“よっちゃんイカ”。イカの風味とさっぱりとした酸味が食欲をそそる駄菓子です。中でも「当たりくじ付き」は、もうひとつゲット出来るかどうか、運試しに挑もうという子どもたちのあいだで絶大な人気を誇っていました。ところが「当たりくじ付き」の販売が5月で終了することになったのです。駄菓子の“定番”に何が起きたのか?
(函館放送局記者 永田真澄 青森放送局記者 高橋謙吾)
“よっちゃんイカ”は、山梨県中央市にある海産物加工販売会社「よっちゃん食品工業」が製造販売している「カットよっちゃん」の通称です。

10グラム入りで1個30円。

ことし4月末。この会社では、当たりくじ付きの「カットよっちゃん(当たり付き)」の販売を5月いっぱいで終了することを発表しました。

当たりくじ付きは、袋の内側に「当たり」と表示されていると、もう1つもらえる商品。ロングセラーの一つです。

なぜ、販売を終了してしまうのか。

会社に取材すると「厳しい原料事情がある」というのです。

“よっちゃんイカ”の原料となるイカ。

実は最近、不漁の影響で価格が高騰しているのです。

厳しい原料事情が…

よっちゃん食品工業のHPより
“よっちゃんイカ”は、山梨県中央市にある海産物加工販売会社「よっちゃん食品工業」が製造販売している「カットよっちゃん」の通称です。

10グラム入りで1個30円。

ことし4月末。この会社では、当たりくじ付きの「カットよっちゃん(当たり付き)」の販売を5月いっぱいで終了することを発表しました。

当たりくじ付きは、袋の内側に「当たり」と表示されていると、もう1つもらえる商品。ロングセラーの一つです。

なぜ、販売を終了してしまうのか。

会社に取材すると「厳しい原料事情がある」というのです。

“よっちゃんイカ”の原料となるイカ。

実は最近、不漁の影響で価格が高騰しているのです。

深刻な不漁で神頼みも…

イカの中でも代表的なスルメイカは深刻な不漁に見舞われています。

イカの水揚げ量が日本一の青森県八戸港。5月から主力のスルメイカの今シーズンの漁が始まりました。

この日、市内の神社に集まったイカ釣り漁船の乗組員たち。漁の安全と豊漁を祈りました。
船団のリーダーを務める大橋社さんは「おととし、去年と2年続けてまったくダメ。神様にお願いするしかない」と話していました。

農林水産省のまとめによりますと、全国で最も水揚げが多い「スルメイカ」の水揚げ量は、統計が残る1956年(昭和31年)以降、おととし、去年と2年連続で過去最低を更新しました。去年までの30年に限ると、最も多かった1996年(平成8年)の44万4000トンに対し、去年はわずか6万1000トン。およそ7分の1にまで落ち込みました。
水産の専門家によりますと海水温の変化により資源量が減ってしまったことが主な原因と見られています。

さらに大橋さんたち、イカ漁師の頭を悩ませているのが、外国船の存在です。

数百隻にもなる漁船が、日本の排他的経済水域で違法な操業を繰り返し、大量のスルメイカを漁獲していくというのです。

大橋さんたちは、イカの不漁の原因は外国船による違法操業も影響しているのではないかと見ています。

大橋さんは「先を見ると本当は悲観的ですが、漁に出る以上は頑張って大漁してきたいと思います」と心を奮い立たせていました。

「さきいか」も「いかめし」も値上げ

北海道の函館市。函館市とその周辺の地域は、およそ120のイカの加工会社がひしめく全国有数の“イカのまち”です。

晩酌のおともとして定番の「さきいか」。珍味の「イカの塩辛」…。

イカの不漁の影響で「値上げ」の波が押し寄せています。

市内のスーパーによると、店頭の塩辛の価格は、不漁となる前のおよそ1.5倍に、さきいかは2倍近くまで跳ね上がったといいます。

さらに、市内の小中学校の給食でも、原料の高騰で、地元産のイカの使用量は昨年度、一昨年度ともゼロ。

全国漁業協同組合連合会のまとめでは、スルメイカの去年1年間の平均の取り引き価格は、3年前と比べると1.8倍余りに値上がりしました。

庶民の味だったイカは、手を出しにくい“高級品”になりつつあるのです。

さらに、影響は国内産のスルメイカだけにとどまりません。

函館市に近い森町でつくられるイカの胴体に米を詰め込み、甘く煮込んだ全国的にも有名な駅弁「いかめし」も去年、1個650円だった価格を20%値上げしました。
実はこの「いかめし」。主にニュージーランド産の輸入したイカを使っていましたが、ニュージーランドでも不漁に見舞われ、やむをえずアルゼンチン産に切り替えたところ、そのアルゼンチンまでも不漁となり、仕入れ価格がほぼ倍にまで高騰したそうです。

業者に打撃、経営破綻も

「高いイカを消費者は買ってくれない」。函館市周辺で取材するなかで、加工業者から何度も聞かされた言葉です。

庶民的な食材として長く親しまれてきただけに、イカは安くないと買ってもらえない。値上げすると客が離れてしまうというのです。

こうした事情からなかなか値上げに踏み切れず、事業をあきらめざるをえないといった業者も出てきました。

去年3月、函館市で数十年続いてきた老舗のイカ加工業者が経営破綻に追い込まれました。原料のイカが十分手に入らなくなって操業ができず、資金繰りに行き詰まったことが原因といいます。

さらに、ことしに入ると、漁船向けのバッテリーなどを扱っていた会社が破産。イカに加え、サケやスケトウダラなどの不漁の影響で漁船の出漁回数が減ったり、漁業者が廃業したりして、バッテリーの需要が落ち込んだことが原因のひとつだということです。
窮地に立つ加工業者の苦悩はアンケートからも浮き彫りになっています。

北海道がイカを扱う市内とその周辺の加工会社を対象に行った調査では、回答のあった42社のうち6割にあたる25社が「前の年より売り上げが減少した」と回答しました。

また、3分の1が、操業日数を減らしたり、工場の稼働時間を短くしたりするなど、生産態勢の縮小を余儀なくされているということです。

庶民に身近な食材だったはずのイカ。専門家によりますと、ここ数年、資源量が減少し、卵を産む親のイカの数も減っていることから、今シーズン、急激に資源が回復することは期待できず、不漁はさらに長期化するおそれもあるということです。

イカのまちに広がる不安。その影響はひたひたと食卓にも及び始めています。