競技も時短!変わる運動会

競技も時短!変わる運動会
突然ですが、学校の運動会といえば、どんなシーンを思い浮かべますか?徒競走や騎馬戦などの競技、または、お昼のお弁当でしょうか。ところが、共働き世帯の増加や教員の働き方改革などを背景に運動会でも「時短」が進み、その内容が大きく様変わりしているのです。(ネットワーク報道部記者 飯田耕太 玉木香代子)
「運動会当日は早朝から弁当作り、場所取りなど親の負担が大きい」
「全地区公平に午前で終了するように統一して」

去年、愛知県安城市の小学校の保護者から市に寄せられた運動会についての意見です。運動会に伴う家庭の負担が大きいとして、時間を短縮して一律に午前中だけにするよう訴えたのです。

運動会を午前中だけにして

「運動会当日は早朝から弁当作り、場所取りなど親の負担が大きい」
「全地区公平に午前で終了するように統一して」

去年、愛知県安城市の小学校の保護者から市に寄せられた運動会についての意見です。運動会に伴う家庭の負担が大きいとして、時間を短縮して一律に午前中だけにするよう訴えたのです。

安城市のホームページ

これに対し、市の教育委員会は、統一した対応はできないとして、ことしのやり方については各学校の判断に委ねることにしました。

「午前開催」の学校相次ぐ

そして、今月、運動会シーズンが始まり、教育委員会に届いた各小学校の運動会のプログラムには、多くの学校が午前中だけの開催となっていました。その数は、21ある公立小学校のうち9校にのぼり、去年の4倍余りです。

そのうちの1つ、桜林小学校は今月19日、午前中だけの運動会を初めて開きました。ことし3月に開かれたPTAの会合で、学校側から午前中の運動会を打診していました。

その理由です。
5月といっても暑い中、長時間屋外にいれば児童が熱中症になるおそれがある。
今後正式な教科になる英語などの学習時間を確保するため、運動会の練習時間を少なくしたい。
運動場が狭く保護者に場所取りの負担がある。

この提案に保護者から特段の異論は出なかったということです。

児童・保護者・学校にとってもメリット?

では、どうやって、午前中だけで終わらせるのか、学校は大幅な見直しを迫られました。

まずは、開会式。去年より20分早い午前8時40分から始めました。
そして、これまでは式のあと児童がいったん自分の席に戻りましたが、ことしは席に戻らず、すぐに全校児童が参加して「大玉送り」をスタート。自分の席から再び集合したり、整列したりするのに時間がかかるためです。
さらに、競技の数も減らしました。

花形といえる「徒競走」を低学年だけに限定しました。高学年が足の速さを競うのは「学級対抗リレー」だけになりました。最終的に「綱引き」など5つの競技を無くしたのです。
競技や演技の合間の時間も少しずつ短くし、運動会は予定どおり、昼前に終わりました。そして、お昼ご飯は、自宅で食べるなど各家庭の対応に委ねられました。桜林小学校の藤田早苗教頭はこう振り返ります。

「当日はバタバタした部分もありましたが、子どもたちは『午後は習い事があるから短くなって良かった』とか、『あの種目は残してほしかったので残念だ』など反響はさまざまです。それでも、児童・保護者だけでなく、教師たちの働き方改革にもつながる取り組みなので、課題を洗い出し、来年以降も午前中だけの開催にしたい」

各地で時短の工夫

また、人気の競技を残しながら、その時間を短縮する取り組みも始まっています。
タワーマンションが建ち並ぶ東京・中央区の佃島小学校では児童数の増加に対応するため、今月26日の運動会で、「徒競走」のやり方を見直します。

まず、児童が走るコースの数をこれまでより1つ増やして6コースに。1回に走る児童の数が増え、時間の短縮につながりますが、その一方で、ゴールした順位の見極めが難しくなるという問題が生じます。
そこで、切り札となるのが、タブレット端末を使った「映像判定」です。順位を決める職員がゴール手前での走りを動画で録画するのです。判定に迷った場合も巻き戻して確認できるため、先にゴールしたのがどの児童か、正確に判断できると考えました。
去年、試験的に運動会に取り入れたところ順位でもめるケースがなかったということで、ことしも活用してコースを増やすことを決めました。この取り組みで競技時間を20分程度、短縮できるとしています。

佃島小学校の三木滋校長は、「児童数はこれからも増え続けるので、なんとか知恵を絞って運動会の短縮をさらに進めたい」と話しています。

急増する外国人児童に対応

一方、競技とは別に、増加する外国籍の児童に対応するため、運動会の演出を変える学校も出てきています。

横浜市の中華街からほど近い、市立の南吉田小学校には、全校児童およそ740人のうち、およそ3割が外国籍の子どもです。両親のどちらかが外国籍という子どもも含めるとおよそ半数を占めています。

そのため、毎年10月に開催している運動会では、子どもたちに母国語でプログラムを紹介してもらう「多言語放送」を行っています。
アナウンスの担当に選ばれた児童は9月半ばからおよそ1か月間、練習に取り組みます。去年は、6人の児童が英語、中国語、韓国語、タガログ語、ロシア語など6か国語で放送を行い、滞りなく進行することができたということです。

一人一人の多様性理解して

また、開会式にあわせて行う「世界の子ども聖火リレー」では子どもたちは浴衣やチャイナドレス、それに各国の民族衣装を身にまといます。それぞれのルーツのゆかりの姿でトーチを持ちながらグラウンドを走ってもらい、互いの文化を理解する機会として運動会を捉えてもらおうとしています。
南吉田小学校の藤本哲夫校長は、国際化に配慮した学校運営や運動会の在り方について、次のように話します。

「私が赴任してから7年、外国にルーツのある児童は倍近くに増え、今後も対応は欠かせません。いろいろな国や地域の慣習や価値観にふれ合うことができる環境を大切にして、一人一人が活躍できる学校づくりを進めたいと考えており、運動会はそれを示す重要な機会だ」

運動会は子どもたちが活躍する晴れの舞台であることは今も昔も変わりません。一方で社会の変化とともに、運動会の内容や演出も様変わりしています。その変化をどう捉えるのか、さまざまな見方があると思いますが、子どもたちをとりまく環境や時代を映す鏡として、運動会を見つめてみてはいかがでしょうか。