この冬 多発!ドライバー困らす『白信号』

この冬 多発!ドライバー困らす『白信号』
この冬、記録的な雪や強い寒波に見舞われた日本。雪の多い地域では道路の信号にまつわるある問題が続出しました。雪で信号機が白く覆われ、赤信号なのか青信号なのかわからない「白信号」なる現象が多発、ドライバーを困らせたのです。(青森局記者 天間暁子/ネットワーク報道部記者 野町かずみ 田辺幹夫 大窪奈緒子)
この冬、雪国で多くのドライバーたちが悩まされた白信号。ネット上でも、“困った”という投稿が相次ぎました。
「信号機に雪が付着して、全く見えない箇所が沢山」「信号雪でなんにも見えない。色わからん」
「信号機が雪で見えなくなっていた。気がついて止まったが、3台くらい通過した。雪付着対策が必要じゃないかな」

相次ぐ “白信号で困った”

この冬、雪国で多くのドライバーたちが悩まされた白信号。ネット上でも、“困った”という投稿が相次ぎました。
「信号機に雪が付着して、全く見えない箇所が沢山」「信号雪でなんにも見えない。色わからん」
「信号機が雪で見えなくなっていた。気がついて止まったが、3台くらい通過した。雪付着対策が必要じゃないかな」

理由は省エネLED信号機の普及

白信号が目立ってきたのはわりと最近のことです。理由はLEDを使った信号機の普及。メーカーによりますと、LEDを使った信号機は電気を効率よく光に変えているため、電球を使った信号と違って発熱量が少ないのが特徴です。このため、信号表面の温度が上がらなくなり、雪が付着して白信号になってしまうのです。

全国の信号機 半数以上がLED

2月中旬に青森県弘前市で撮影された2枚の写真を比較するとよくわかります。左はすべて白信号ですが、右はほぼ見えています。右側は電球を使った古い信号機です。

警察庁によると、LEDを使った信号は、省エネや寿命が長いといったメリットから、平成6年に愛知県と徳島県で初めて導入されて以降全国で普及が進められていて、平成29年3月の時点で、全国に約127万灯ある車両用の信号灯器のうち約55%がLEDで占められています。こうした中で記録的な雪と強力な寒波に見舞われたこの冬、LED信号機が各地で白信号になりドライバーを困らせたのです。

青森県の悩み

こうした白信号に早くから悩んでいたのが雪国・青森県。平成15年からLED信号機の導入が本格的に始まりました。例年11月ごろから3月ごろまで、多くの地域が雪に覆われる青森。
上から降る雪は信号機のフードに積もりはじめ、その範囲をじわじわと広げます。さらに地吹雪などが起きると下から雪が舞い上がり、フードに関係なく雪が付着します。いったん表面が覆われると、その上に雪が次々と付着し、最後には光が見えなくなってしまうのです。

対策は “人海戦術”。「見えにくい」という通報があれば警察官や委託業者が出動して、柄の長いブラシで地上から手作業で信号機の雪を落としたり、天気予報で吹雪になりそうな時はパトロールしながら事前に信号機の雪を落として回ったりしています。

青森県警察本部によりますと、白信号が原因による交通事故がどのくらいあるかは「わかりません」とのこと。というのも吹雪などが起きると前方の視界全体が不良になってしまうため、直接の因果関係が証明しにくいからだそうです。
警察は、「車を運転していて信号機の色が判断できない場合は、雪で一時停止の線や標識も見えにくい場合もあるので、自分で周りの状況をよく確認し、左右を確認しながらゆっくりと進むことが大切だ」と話しています。

雪に強いLED信号機開発に補助金も

手をこまねいているだけではありません。
青森県では全国に先駆けて、県と県警、学術機関が連携し、4年前にワーキンググループを発足させ、独自に補助金も出して雪国仕様のLED信号機の開発に取り組んでいます。
2月26日には新たに考案された対策の研究発表会が青森市で開かれ、表面に雪が付着しにくいカバーや振動や衝撃で雪を落とすアイデアなどが紹介されました。

青森県はこれまでの研究成果を踏まえ、次の冬には対策を施したLED信号機を公道に試験的に設置して効果を確かめる予定です。

雪が付かない “フラットおじぎ” 型

信号機メーカーによる開発はどこまで進んでいるのでしょうか?
「コイト電工」の最新型は、信号機のフードもなくし、信号の表面の凹凸もなくして、平らな「フラット型」にするとともに、信号機自体は、20度ほど下に傾ける作りにしています。こうすることで信号機の上に雪が積もりにくくなり、信号そのものにも雪が付着しづらい効果があるということで、雪国での導入を期待しているということです。

こちら “とんがり”型

「京三製作所」は、LEDの部分をすっぽり覆う透明カバー付きの信号を開発しました。雪が積もりにくいようにカバーの上の部分をとがらせたうえで、下半分が半球状になっていて、雪が付着しにくいようにしているということです。
この会社では、他にも電熱線で雪を溶かす方法や、特殊な塗料を塗って雪を滑り落とすなど、さまざまな方法を試しましたが「絶対に雪が付着しないという決定打は、まだ見つかっていない」ということで、現段階では表面をフラットにした信号機がベストだということです。

“赤信号絶対死守” 型も

“危険回避”重視の特徴ある信号機も登場しています。メーカーの「信号電材」は、赤信号のカバー部分にだけ電熱線を取り付けました。すべてに電熱線を取り付けると消費電力が無視できず、かといって赤信号がわからなくなるのは避けたい、そこで生まれたのが “赤信号絶対死守型”信号機です。この信号機、山形県で採用されているということです。

こうしてみると現段階ではどのメーカーも雪対策には苦労しているようです。

地域にあった信号機の開発を

着雪について詳しい防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの佐藤研吾研究員は「通常、さらさらした乾いた雪は信号に着きにくく、水分を含んだ湿った雪ほど厚く着き、信号が見えにくくなります。ただ、乾いた雪でも熱でとかすと水分で逆につきやすくなる可能性もある。完全に雪が着かないようにすることは理論的には難しい」と話しています。
そのうえで「雪の質や風の強さなど地方ごとの気象条件を分析して、その土地に合った信号機を見極めて開発・設置することが必要ではないか」と話しています。

この冬、各地で被害をもたらし同時に様々な課題を浮き彫りにした大雪と寒波。命を守る信号機の進歩に期待したいですね。