「生徒どうしで」「歴史総合」「公共」 高校の学習が変わる

「生徒どうしで」「歴史総合」「公共」 高校の学習が変わる
おおむね10年に一度改訂される高校の学習指導要領の案が公表されました。思考力などを高めるため生徒どうしで話し合う「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる学習方法が、すべての教科で導入されるほか、社会では日本と世界の近現代史を学ぶ「歴史総合」という新たな必修科目が設けられるなど学ぶ内容が大きく見直されます。
学校で教える内容や量を定めた学習指導要領について、文部科学省は、4年後に高校に導入する改訂案を公表しました。教える量は、今の指導要領と変わりませんが、内容は大幅に見直されます。

地理歴史では、これまで必修科目だった「世界史」が廃止され、日本と世界の近現代史を中心に学ぶ「歴史総合」が、新たに必修科目となります。

また公民では、社会の構成員として自立することを目指す「公共」という新たな必修科目が設けられます。

今回の改訂では、教師が一方的に教えず、生徒どうしが議論や調べ学習などを通じて思考力や判断力を養う「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる学習方法がすべての教科で導入されます。文部科学省は、知識の暗記に偏りがちだった高校教育を転換し、生徒の「考える力」を高めることが狙いだと説明しています。

今の大学入試センター試験も一体的に見直され、2021年1月に始まる共通テストでは、思考力や表現力などを問う記述式の問題も導入されます。

今回の改訂案について、教育政策に詳しい名古屋大学大学院の中嶋哲彦教授は、「これまでの学校が知識・技術に偏重していて、考える授業は、学校に必要だと思う。一方新たな指導要領は学習方法まで細かく書かれているが、高校は、生徒の学力差も大きい。どのように教えるかは学校現場それぞれで取り組んでいくべきだ」と話しています。

どう変わる(1)地理歴史・公民

地理歴史・公民は、「世界史」と「現代社会」が廃止され、新たに「地理総合」と「歴史総合」、そして「公共」の3つの必修科目となります。「歴史総合」は日本と世界の近現代史を融合させて学ぶ科目で、今に通じる国際的な課題を考察するのが狙いです。「公共」は、選挙権が18歳となったことをうけ、生徒が社会に参画する主体として自立することを目指します。

どう変わる(2)国語

「国語総合」が廃止され、新たに「現代の国語」と古典などを学ぶ「言語文化」の2つの科目が必修になります。

どう変わる(3)英語

英語は、書く、話す力を中心に伝える力を強化するため、スピーチやディベートなどに力を入れます。

どう変わる(4)理数

理科と数学を融合した新たな選択科目「理数探究」では、生徒が主体的に研究テーマを決めて、実験や調査を行うとしています。

「思考力」「表現力」どう育てる?

今回の指導要領が狙いとする思考力や表現力を育てる試みは、すでに一部の高校で始まっています。

東京・練馬区の東京学芸大学附属国際中等教育学校ででは、世界と日本の近現代史を中心に生徒たちに歴史をさまざまな角度から考えさせる授業に取り組んでいます。

1936年に始まったスペイン内戦を扱うことにした3人の生徒のグループ。生徒たちは、ソ連が支援した人民戦線政府とドイツとイタリアの支援を得たフランコ率いる軍部の争いについて、当時不干渉政策をとったフランスの立場から議論しました。

これによりスペイン内戦が、なぜ引き起こされ支援した各国にどんな思惑があったかを考えさせます。

議論した内容は一枚の紙にまとめられ、授業の最後に発表されました。

女子生徒の1人は、「みんなで話し合うと新しいアイデアの発見があるので楽しいです」と話していました。

担当した来栖真梨枝教諭は、「どんな教科でも、自分の知識や情報を活用したり表現したりする力が、さらに重要になると思います」と話していました。

学習指導要領の変遷

学習指導要領は、学校で教える内容や目標を定めた基準で、小学校、中学校、高校とそれぞれ作られ、おおむね10年ごとに改訂されます。

高校では、授業時間数や教える内容が最も多かったのは、昭和45年の改訂です。しかし授業についていけない生徒が増え、「新幹線授業」とか、「詰め込み教育」と批判されると内容は徐々に削減されます。

平成11年の改訂では、考える力を育てるため、「総合的な学習の時間」が新たに導入された一方、教える内容は、さらに大幅に減らされました。

しかし、その後の国際学力調査で日本の順位が下がると、「ゆとり教育」と批判をうけ、文部科学省は、前回の改訂から再び教える量を増やす「脱ゆとり」にかじをきりました。