発達障害のある子どもたちが旅客機の搭乗体験 成田

発達障害のある子どもたちが旅客機の搭乗体験 成田
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慣れない環境のもとではパニックなどを起こす不安があるとして空の旅を諦めていた発達障害のある子どもとその保護者に、旅客機の搭乗手続きなどを体験してもらう取り組みが国内では初めて成田空港で行われました。
発達障害の子どもの中には、慣れない環境に置かれると緊張したりパニックになったりする子どももいて、空港や旅客機の利用には不安があるとして空の旅を諦める家族が少なくありません。

今回の取り組みは、成田空港会社と全日空が発達障害のある人などで作る団体の呼びかけに応じて国内の空港では初めて行い、合わせて54人の子どもとその保護者が参加しました。

発達障害の子どもを安心させるためには、丁寧に説明しリラックスしてもらうことが大切だということで、搭乗前の保安検査では、航空会社のスタッフが「危険なものが紛れ込んでいないか見つける大切な作業です。驚かないで検査を受けてください」と伝えていました。

また、旅客機に乗ってもらう体験では客室乗務員がシートベルトのつけ方やトイレの使い方について説明したあと、実際に空港内で機体を走らせました。客室乗務員は優しく声をかけながら、子どもたちが揺れに不安を感じることのないよう気を配っていました。

三重県から参加した38歳の母親は「スタッフがサポートしてくれてよかった。今後、空の旅も旅行の選択肢にしたい」と話していました。

全日空の客室乗務員、庄賀里佳さんは「わかりやすい説明などを心がけ、発達障害のある人や家族に出かける喜びを感じてもらいたいです」と話していました。

空港での課題と支援の動き

今回の搭乗体験を呼びかけた発達障害のある人などで作る団体「日本発達障害ネットワーク」によりますと、発達障害のある人は、ふだんとは異なる慣れない場所に来ると緊張したり、パニックを起こしたりする場合があるということです。

日頃から使っている鉄道やバスなどについては問題なく利用できる一方で、空港を訪れて旅客機に乗る機会は少ないため、耳慣れないアナウンスや複雑な搭乗手続きに不安があるとして空の旅を諦める家族も少なくありません。また、空港側に発達障害についての理解が浸透せず、適切なサポートを行う態勢が整っていないことも課題の1つとして挙げられています。

こうした中、成田空港会社などでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは国内外からさまざまな人が空港を訪れることを見据えて、誰にでも快適に過ごしてもらえる環境作りを進めようと、スタッフが参加した勉強会を開催するなどして発達障害のある人の支援に乗り出しました。

今回の取り組みはその一環で、成田空港内には幅1メートル50センチ、高さ1メートル80センチの箱形のスペースを設け、旅客機に乗る前の家族が落ち着いて過ごせる場所も確保しました。成田空港会社では、こうした設備を今後、増やすことも検討していきたいとしています。

日本発達障害ネットワークの橋口亜希子事務局長は「発達障害のある人は、慣れない空港でも搭乗手続きの流れを予習したりスタッフが丁寧にサポートしたりすれば、落ち着いて旅行に行くことができるようになる。全国の空港で今回のような取り組みを進めてほしい」と話しています。

参加した親子は

東京 北区に住む高梨仁美さん(32)と長男の侑希人くん(7)は、今回の取り組みへの参加をきっかけに空の旅に挑戦したいと考えています。

発達障害のある侑希人くんは、自分の気持ちを言葉で説明するのが苦手なうえ、慣れない環境では、じっとしていられないこともあるということで、仁美さんは、周りの人に迷惑をかけてしまうのではないかと、これまで、旅客機を使った家族旅行は諦めていました。

しかし、空港や旅客機に慣れることで、侑希人くんの可能性を広げたいと取り組みに参加することになり、13日は、航空会社などから送られてきたしおりを見て搭乗手続きの流れや機内での過ごし方を親子で一緒に予習しました。

14日の侑希人くんは、空港の保安検査場を通過するのに戸惑う表情を見せましたが、スタッフから検査の方法について丁寧に説明を受け、安心した様子でした。このあと、静かに過ごせる箱形のスペースに入ってみたり、子どものために準備された遊び場で滑り台を滑ったりしてリラックスしていました。

一方、機内での搭乗体験では、狭い座席に緊張し、周囲を気にするようなところもありましたが、客室乗務員から飲み物やおもちゃをもらい次第に慣れていきました。

体験を終えた母親の仁美さんは「スタッフの優しい対応もあり、息子も落ち着いていたと思います。本人よりも自分が壁を作り諦めていたところもあるので、次はぜひ、実際の空の旅に挑戦したい」と話していました。