米 エルサレム首都認定でパレスチナで衝突 100人余けが

米 エルサレム首都認定でパレスチナで衝突 100人余けが
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アメリカがエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに対し、パレスチナ暫定自治区では7日、各地で抗議デモが拡大してイスラエル軍との衝突に発展し、パレスチナ人100人余りがけがをするなど治安が悪化しています。
アメリカのトランプ大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したことに対し、同じくエルサレムを将来、国家を樹立する際の首都と位置づけるパレスチナ側は強く反発していて、すべての政治勢力が抗議デモを呼びかけています。

7日、パレスチナ暫定自治区のうち、ヨルダン川西岸では、主要都市のラマラで、抗議集会が開かれたのに続いて、パレスチナ人の若者数百人がイスラエル軍の検問所に向けて一斉に石を投げ、これに対して軍はゴム弾を発射したり、催涙ガスを使ったりして衝突に発展しました。

また、ガザ地区では、デモ隊がイスラエルとの境界付近に展開しているイスラエル軍に向けて石を投げ、これを軍が催涙ガスを使って強制排除するなど、治安が悪化しています。

衝突は自治区内の各地に広がり、パレスチナの赤十字組織にあたる赤新月社によりますと、これまでにパレスチナ人、合わせて104人がけがをしました。

一方、イスラエルが特に厳重な警戒態勢を敷くエルサレムでは、小規模な抗議デモがありましたが、大きな混乱はありませんでした。

このほか、ガザ地区の武装組織がイスラエル領内に向けて短距離のロケット弾を数発発射し、「トランプ大統領への反撃だ」との声明を出したのに対し、イスラエル軍は戦車が砲弾数発を発射しましたが、双方とも被害は無かったもようです。

8日は、イスラム教の金曜の集団礼拝に合わせてエルサレムでも抗議デモが拡大する可能性があり、治安のさらなる悪化が懸念されています。

米国務長官「米国民の意志を実行」

アメリカのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したことについて、ティラーソン国務長官は訪問先のオーストリアで7日、「トランプ大統領は、単にアメリカ国民の意志を実行しているだけだ」と述べ、判断は正当だと強調しました。

また、ホワイトハウスのサンダース報道官は定例の記者会見で、アメリカ議会が1995年にアメリカ大使館をエルサレムに移転するよう求める法案を可決していることに触れ、「今回の決定はトランプ大統領の勇気ある、大胆な行動であると同時に、議会が長く求めてきたものだ」などと述べました。

トランプ大統領の今回の判断ををめぐっては、パレスチナやイスラム諸国が強く反発しているほか、ヨーロッパなどからも批判や懸念の声が相次いでいて、トランプ政権としては、正当性を内外にアピールし、反米感情をできるだけ抑えたいという思惑がありそうです。

中東や欧州各地で抗議の波

アメリカがエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに対し、中東やヨーロッパの各地では抗議の波が広がっています。

このうち、イスラエルの隣国ヨルダンの首都アンマンでは7日、大勢の市民がパレスチナの旗や「決断を拒否する。侮辱的な決断だ」などと書かれたポスターを掲げ、抗議デモを行いました。
参加した男性は「これは国際法に反することであり、アラブ全体の利益や地域の平和に反するアメリカの立場を強調するものだ」と非難しました。

また、トルコでは首都アンカラやイスタンブールで抗議デモが行われ、このうちアンカラのアメリカ大使館前には大勢の市民が押し寄せ、「殺人者アメリカは中東から出ていけ」などとシュプレヒコールをあげていました。
デモに参加した男性は、「アメリカの認識を非難するために集まった。エルサレムはイスラム教信者が礼拝を行う方向を示す神聖な場所だ」と非難しました。

ツイッター上には、ドイツの首都ベルリンのアメリカ大使館前で市民らが、トランプ大統領の顔にバツを書いた写真を掲げている写真が掲載されているほか、フランスのパリでは、イスラエルのネタニヤフ首相が訪問をするのに合わせて9日にデモが予定されています。

EU上級代表「暗い時代へ」

EU=ヨーロッパ連合のモゲリーニ上級代表は、7日に開いた記者会見で、「トランプ大統領の発表はわれわれを今よりも暗い時代へと引き戻しかねないものだ」と批判するとともに、中東情勢の悪化に強い懸念を示しました。そのうえで「唯一の現実的な解決策は、2国家共存の原則に基づいてエルサレムをイスラエルと将来のパレスチナ国家の双方の首都とすることだ」と述べました。

また、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスが民衆蜂起を呼びかけたことについて「緊張を高める行為や暴力は事態を悪化させるだけだ」と述べて、自制を呼びかけました。

モゲリーニ上級代表は8日にヨルダンのサファディ外相と会談するほか、週明けの11日にはEUの外相会議にイスラエルのネタニヤフ首相を招く予定で、今回の問題についてアラブ側とイスラエル側の双方と意見を交わすものと見られます。

米副大統領補佐官 日本の議員に理解求める

アメリカのローズ副大統領補佐官は7日、ワシントンで自民党の河井総裁外交特別補佐と会談しました。河井氏によりますと、この中で、ローズ氏はトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したことについて、「歴代の大統領ができなかった歴史的な決断だった」と述べ、正当性を強調しました。一方で「中東和平の実現を支援するアメリカの決意に変化はない」と述べ、理解を求めたということです。