米のイスラエル首都宣言 強まるパレスチナの反発 抗議デモも

米のイスラエル首都宣言 強まるパレスチナの反発 抗議デモも
アメリカのトランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したことに対し、パレスチナの指導者のアッバス議長は「イスラエルが国際社会の決定を無視して続けている占領政策に免罪符を与えるものだ」と厳しく非難しました。パレスチナ側はこのあとも、各地で抗議デモを呼びかけており、治安部隊との衝突も懸念されています。
トランプ大統領は、日本時間の7日未明、中東のエルサレムを公式にイスラエルの首都と認めると宣言しました。

これに対し、同じエルサレムを将来の独立国家の首都と位置づけるパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長はテレビ演説を行い、「イスラエルが国際社会の決定を無視して続けている占領や入植地の政策に免罪符を与えるものだ。アメリカが和平交渉を仲介する役割をみずから放棄したことを意味する」と述べて厳しく非難しました。

パレスチナのすべての政治勢力は、6日から3日間を「怒りの日」として抗議行動を呼びかけていて、日本時間の7日午後7時から抗議デモが計画されているヨルダン川西岸の主要都市ラマラの広場には、パレスチナの人々がパレスチナの旗を持って集まりました。

参加者たちは「トランプ大統領は愚かな決定を行ったが、エルサレムは何があっても絶対に渡さない」とか、「もはやイスラエルとの和平交渉はおしまいだ」とアメリカへの怒りをあらわにしていました。

8日は、金曜のイスラム教の集団礼拝に合わせて抗議デモが拡大することも予想され、イスラエルが厳重な警戒態勢を敷くエルサレムなどでは治安部隊との衝突も懸念されています。

資源エネルギー庁 産油国の情勢を注視

アメリカのトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認め、アメリカ大使館を移転する方針を表明したことで、中東情勢が悪化すれば、原油の供給などに影響が懸念されるとして、資源エネルギー庁は今後の動向を注視することにしています。

今回のトランプ大統領の表明に対しては、イスラム諸国が強い反発を示していて、今後、抗議行動が広がることも予想されています。
こうした動きが過熱すれば、日本の最大の原油輸入先であるサウジアラビアをはじめ、中東の産油国で国内情勢が不安定化するおそれもあります。

このため資源エネルギー庁は、中東に職員を派遣するなどして情報収集を強化し、産油国の国内情勢など今後の動向を注視することにしています。

ガザ地区を実効支配 ハマス「民衆蜂起を」

パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの最高幹部、ハニーヤ氏が7日、記者会見を開き「アメリカの決定は恥ずべきものであり、宣戦布告だ」と強く非難しました。

そのうえで「われわれはきょう、歴史的な転換点に立っている。政治的な段階は終わって新たな段階に入った。民衆蜂起を起こすよう求める」と述べ、イスラエル側との和平交渉の再開は不可能になったという認識を示したうえで、パレスチナの人々に対して、8日に予定しているイスラム教の集団礼拝に合わせた抗議デモへの参加を呼びかけました。

ハマスは数万人以上とされる軍事部門を抱えているものの、イスラエルによるガザ地区の経済封鎖を受けて苦境に追い込まれ、従来の強硬姿勢を軟化させていましたが、今回のアメリカの決定によって、姿勢を再び硬化させないか懸念されています。

中国 トランプ大統領の対応を暗に批判

中国外務省の耿爽報道官は、7日の記者会見で「対話を通じてエルサレムの最終的な地位の問題を解決することは国際社会の普遍的な共通認識だ」などと述べ、直接的な言及は避けながらもトランプ大統領の対応を暗に批判しました。
そのうえで「東エルサレムを首都として完全な主権を持ち、独立したパレスチナ国家を支持する。中国は関係各国が中立で客観的な立場に立ち、パレスチナとイスラエルの早期の交渉再開と地域の平和と安定を守るために努力を尽くすよう呼びかける」と強調しました。

トルコ大統領「全く理解できない」

アメリカのトランプ大統領の決定について、トルコのエルドアン大統領は7日、首都アンカラで大勢の支持者を前に演説し、「アメリカとイスラエルだけが国連安保理の決議に違反している。トランプ大統領が何をしようとしているのか全く理解できない」と述べ、厳しく批判しました。
そのうえで「決定は、この地域を火の海に放り込むようなものだ。政治指導者は争いを生むのではなく、平和を作るためにあるべきだ」と述べ、情勢が著しく不安定化すると強い懸念を示しました。

カナダ大統領「われわれは移転しない」

カナダのトルドー首相は訪問先の中国南部の広東省広州で開いた記者会見で、「カナダはイスラエルとパレスチナの共存に向けた対話の実現に取り組み、世界の友人たちとともにこの地域の問題に関わってきた。われわれは大使館をテルアビブから移転することはない」と述べ、名指しは避けながらもトランプ大統領の対応を批判しました。