生まれ変わってもいっしょ?

生まれ変わってもいっしょ?
11月22日は「いい夫婦の日」。同僚の1人はこの話題を聞くたびに、自分の何が悪かったのかと思い返すこと、もう2年だそうです。そもそもそんなに「いい夫婦」がいるのかと思うのですが、ある調査では、妻が、夫が一番と思っている人たちも結構いるのだそう。不倫スキャンダルにへきえきとしていた中、世の中捨てたもんじゃないと思う、でもやっぱり不満もありますよね。(ネットワーク報道部記者 佐伯敏、郡義之、角田舞)
世の中に浸透してきた感のある「いい夫婦の日」。ことしも各地でさまざまな取り組みが行われます。

関連の取り組み ことしも続々

世の中に浸透してきた感のある「いい夫婦の日」。ことしも各地でさまざまな取り組みが行われます。
自治体のPRにつなげようと沖縄県石垣市が始めるのが、婚姻届を市に提出した人にオリジナルの受理証明書を贈るというもの。
石垣市市民課では「新婚旅行などで訪れたカップルが婚姻届を出すことが多く、この証明書で思い出作りをしてもらえるとうれしい」と話しています。

一方、村の名前の由来から「愛妻家の聖地」を掲げる群馬県嬬恋村がことし初めて開くのが、夫婦で楽しむ星空観察会。
標高1250メートルにある「愛妻の丘」と呼ばれる場所で満天の星空を天体望遠鏡で観察し、「いい夫婦」にまつわる星の解説も受けられるということです。

「夫婦の日」にも商機あり?

この日をビジネスチャンスと捉える民間の動きも活発です。
大手洋菓子メーカーの「銀座コージーコーナー」(東京)は期間限定のケーキを販売しました。夫婦で楽しめるよう、2種類のケーキになっていて、同社は「たまには夫が妻にケーキを贈って、夫婦一緒に食べる時間がコミュニケーションを深めるきっかけの1つになれば」と話しています。

特別の宿泊プランを設定したのは、北海道小樽市のホテル「グランドパーク小樽」。
この日は、客室の明かりでホテルの建物に巨大なハートを出現させて、宿泊した夫婦には、ハート型のケーキを用意するなど、ムードを演出します。
ホテルでは「この日は平日だが、休前日ということもあり、有給休暇を利用して、2人でゆっくり過ごして欲しいです」と話していました。

生まれ変わってもあなたと

こんなサービスが続々と出てくるということは、実は世の中に「いい夫婦」は多いのではないか。

アンケート調査の結果を見てみると、多くの夫婦が「円満」だと感じている現状が見えてきます。
明治安田生命がことし10月に行ったインターネット調査によると、「夫婦関係は円満ですか」という問いに対し、「円満である」と「まあ円満である」と答えた人は全体の76.1%にも上りました。
ただ一方で「生まれ変わってももう一度同じ相手と結婚したいですか」という問いに対しては「必ず結婚する」が15%、「たぶん結婚する」が31.6%とやや少ない数字が。
調査では「日々の生活では“現実の夫婦関係”を受け入れることで「円満」と感じてはいるものの、生まれ変わっても再び結婚したいと思うほどの“理想の夫婦関係”には達していない人が多い」と分析していて、理想と現実の間にギャップがあるのかもしれないとしています。

妻の不満>夫の不満

では理想と現実のはざまにあるものは何か。同じ調査によると男性の52.6%、女性の76.2%が相手に何らかの不満を持っているとしています。

夫が妻にいだく不満のトップ3は、
(1)整理整頓ができない
(2)気が利かない
(3)体型が変わってきたところ。

逆に妻が夫に抱く不満では
(1)気が利かない
(2)整理整頓ができない
(3)家事の協力をしない、の順になっています。

何となく予想はつきましたが、やはり妻の不満のほうが夫のそれと比べて大きいようです。

理想と現実 大きなギャップ

男女の不公平感については、興味深いデータがあります。

リクルートブライダル総研の「夫婦関係調査2017」によると、家事の分担比率の理想と現実に大きなギャップがあるというのです。

小学生以下の子どもがいる妻が理想とする家事の分担比率は66.5%。これに対して、実際の分担比率は84.6%。

理想と現実の間におよそ18ポイントもの開きがあります。

出産で夫への愛が急降下?

子どもが生まれたあとの振る舞い方で、その後の夫婦関係に深刻な影響が出るという、男性にとってちょっと恐ろしいデータもあります。

東レ経営研究所の主席コンサルタント・渥美由喜さんが行った「女性の愛情曲線」の調査。ライフステージごとに女性たちの愛情の配分がどう変わるかを調べたものです。
グラフでは、結婚の直後には「夫」に最も多くの愛情が注がれますが、出産をきっかけに「子ども」への愛情が高まると同時に「夫」への愛情は急降下します。

問題は、その後の愛情曲線が2つに分かれ、子どもが大きくなっても夫への愛情が戻ってこない人もいるということです。
渥美さんの調査では、出産直後から乳幼児期にかけての大変な時期に「夫と2人で子育てした」と答えた女性たちの夫への愛情は徐々に上昇して回復しますが、「私1人で子育てした」と答えた女性たちの夫への愛情は低迷したままでした。

渥美さんは「想像以上に、産後の育児参加の有無で、その後の愛情に大きな違いが出ることがわかり驚いた。その後の夫婦関係に何十年にもわたって影響するので、最も大変な乳幼児期に、大変な育児を夫婦で一緒に担う姿勢が必要だ。子どもが生まれる男性には『ハイリターンの投資だから育児にしっかり関われ』と伝えています」と話しています。

共感を呼ぶ企業キャンペーン

外資系の日用品メーカー「P&Gジャパン」は、「いい夫婦の日」にあわせて、夫婦の生活を描いた動画をインターネットに掲載し、話題を呼んでいます。

いろんなことを分け合って生きていこうとスタートした結婚生活が、やがて仕事や子育てに追われるようになり、互いに言いたいことも言えなくなっていく…そんな夫婦の日常を追ったストーリー。

「ふたりでわけあうもの」と題されたおよそ3分の動画は、公開から20日間で340万回以上再生され、ツイッターには「朝から号泣してる」とか「メッセージが刺さる」など、共感するツイートが相次いでいます。
P&Gジャパン ホームページより
「P&Gジャパン」では動画とともに10項目の誓い文をホームページで公開しています。誓い文は、婚姻届とセットになっていて、無料で自由にダウンロードでき、「お互いが得意な家事を見つけよう」や「ひとりでやるほうが早い仕事ほど、分け合ってみよう」などの文章が書かれ、夫婦がチェックできるようになっています。

P&G広報の田上智子さんは「最初仲のよかった夫婦も、月日が過ぎればすれ違いも起きる。家事分担など、互いが頑張っていることを認め合うことで、夫婦の絆を見つめ直してほしい」と話しています。

夫婦円満の秘けつは?

冒頭に紹介した明治安田生命の調査では、夫婦円満のために何が必要かを複数回答で聞いています。

それによりますと、一番多かったのは「よく会話をする」。
次いで「感謝の気持ちを忘れない」、「相手を尊重・信頼する」と続きます。

20代と30代では「育児に協力する」と答えた人が他の世代と比べて多くなっているのも、納得のいく結果です。
そして「相手から言われたいひと言」は、他と大きく差をつけて「ありがとう」が1位でした。

“結婚生活は長い会話”

かのドイツの哲学者ニーチェは著書「人間的な、あまりに人間的な」のなかで次のように述べています。

「長い会話としての結婚生活。結婚生活をはじめる時、自問すべきだ。この女性が年老いても良い会話ができるだろうか?結婚生活では他のことはすべて変化していくが、共に過ごす時間の大部分は会話に属する」

寒くなってきた秋の夜長、今夜は妻と夫と肩寄せ合って、たあいのない会話でも楽しんでみてはいかがでしょうか。