日本初の本格的オーケストラで使われたティンパニーか

日本初の本格的オーケストラで使われたティンパニーか
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国内の演奏家が保管していた2台のティンパニーが、今から100年以上前の明治時代に組織された、日本初の本格的なオーケストラで使われていた可能性が高いことがわかり、調査に当たった専門家は「西洋の音楽が日本に根づいていく過程を示す貴重な物的証拠だ」と指摘しています。
2台1組のこのティンパニーは、東京芸術大学の倉庫で使われずにしまわれていたものを、ティンパニー奏者の男性がおよそ45年前に引き取り、その後、保管していました。銅でできた胴体部分には、いずれも、西暦1904年=明治37年に「JUNKER」という人物から東京芸術大学の前身にあたる東京音楽学校に贈られたものであることを示す刻印が残されています。

明治時代の音楽の歴史に詳しい東京芸術大学の元特任教授、瀧井敬子さんによりますと、この人物は東京音楽学校の教師として雇われていたドイツ人音楽家のアウグスト・ユンケルのことで、当時、日本で初めての本格的なオーケストラを組織しようと演奏の指導や楽団の指揮にあたっていたということです。

東京音楽学校の定期演奏会の記録からは、このティンパニーが贈られた明治37年の演奏からティンパニーが使われ始めたことがわかり、瀧井さんはこのティンパニーを使うことで管弦楽曲がより本格的に演奏できるようになったと見ています。

瀧井さんは「このティンパニーは日本で最も古い部類のものと言って間違いなく、オーケストラという西洋の音楽が日本に根づいていく過程を示す貴重な物的証拠だと思います」と話しています。
このティンパニーは、10月15日に東京・上野で行われる明治時代の演奏会を再現したコンサートの会場に展示される予定です。

ヨーロッパから持ち込まれたか

2台のティンパニーはそれぞれ大きさが異なり、大きいものは直径が71センチ、高さが43センチほどで、もう1つは一回り小さく、直径が67センチ、高さが40センチほどの大きさです。銅でできた胴体部分は長い年月の中で深い焦げ茶色に変色しているほか、あちこちに傷やへこみの跡が見られます。いずれも皮の打面が張られていて、打面の周囲には音程を調整するための手締め式のねじが7つ配置されています。

胴体部分の刻印は「PRESENTED TO TOKYO ACADEMY OF MUSIC BY PROF.A.JUNKER 1904」と、2台ともアルファベットで同じ文言が記されていて、100年以上の歴史を持つものであることを示しています。

さらに、調査にあたった瀧井さんら専門家が皮の打面を外したところ、鉄と見られる材質でできた打面の枠の部分に、ヨーロッパで古くから使われていた樹脂状のさび止めの塗料が施されているのが見つかったということで、このティンパニーはヨーロッパで作られたのちに、日本に持ち込まれた可能性が高いということです。