LGBTに企業が向き合い始めたってほんと?

LGBTに企業が向き合い始めたってほんと?
「LGBTって何の略?」という質問も数年前に比べれば少なくなったと感じますが、それでもまだ遅れが指摘されるのが、企業内の意識改革です。
「当事者」の社員が働きやすい環境作りに取り組んでいる企業は、まだ少ないのが実情ですが、そうした企業意識に変化の兆しがある、それも3年後の東京オリンピック・パラリンピックが影響していると聞いて、取材しました。
(ネットワーク報道部 宮脇麻樹記者)
話を聞いたのは、認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」の代表を務める松中権さん。大手広告代理店の一線で働きながら、ゲイの当事者としてLGBTのイベントを開催するなどしてきました。

先月、退職したあとは、東京オリンピック・パラリンピックに参加するLGBTの選手やファンの情報発信の場になる「プライドハウス」と呼ばれる施設作りの活動に携わっています。松中さんによると、「東京オリンピック・パラリンピックはLGBTへの取り組みでも世界から注目されている」ということです。

オリンピックとLGBTの関係は?

話を聞いたのは、認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」の代表を務める松中権さん。大手広告代理店の一線で働きながら、ゲイの当事者としてLGBTのイベントを開催するなどしてきました。

先月、退職したあとは、東京オリンピック・パラリンピックに参加するLGBTの選手やファンの情報発信の場になる「プライドハウス」と呼ばれる施設作りの活動に携わっています。松中さんによると、「東京オリンピック・パラリンピックはLGBTへの取り組みでも世界から注目されている」ということです。
(右)松中さん
2014年のソチオリンピックでは、ロシアで成立した同性愛者の活動を制限する法律への反発を理由に、欧米の首脳が開会式を欠席したことが話題になりました。

IOC=国際オリンピック委員会は、その後、オリンピック憲章の差別の禁止規定に「性的指向」(好きになる性別)を新たに追加し、開催都市は、LGBTの人たちへの差別をしないことが求められています。

それは東京大会の運営などに関わる多くの企業にも適用され、企業が守るべきルールを定めた「調達コード」の中には、「LGBTの人たちへの差別を禁止するとともに、権利を尊重しなければならない」と記されています。
果たしてその課題をクリアーできるのか。
調達コードには具体的に何をすべきかが書かれておらず、松中さんのもとには、「何から取り組んだらいいかわからない」としてさまざまな企業から相談が来ているということです。

松中さんは「LGBTのための取り組みというと、『トイレをどうすればいいのか』など施設についての議論が多い」と話し、LGBTの社員に配慮した福利厚生や、一般社員向けの研修の制度を設けているかなど、企業が取り組むべき指標を作って説明しています。「企業が当事者にとっての居心地のいい場所になることは、必ず社会全体の底上げにつながる」と期待を持っています。

企業の実践例は

必要だと感じていても、具体的にどのようなことをすればよいのか。
ことしから社員の就業環境や、会社が提供するサービスに、LGBTに配慮した取り組みを始めたのがリクルートです。

グループ内企業の「リクルート住まいカンパニー」の田辺貴久さんに話を聞きました。田辺さんもゲイだとカミングアウトしています。
リクルートにはグループ内の企業を横断したLGBTの当事者ネットワークがあり、現在30人ほどのメンバーがいて、情報交換などに役立てているということです。

ことし4月からは、慶弔休暇や結婚のお祝い金、単身赴任手当、介護や育児に関わる休職制度など、配偶者やその家族に適用されるすべての福利厚生について、同性のパートナーがいる人にも適用されることになりました。

田辺さんもこの制度を使って長年交際してきたパートナーを登録し、職場でお祝いしてもらったということです。

住まい探しにLGBTへの配慮を

会社が提供するサービスについては、LGBTの人たちが新築マンションの購入をする際の個別の相談に応じるサービスをはじめました。

LGBTの人たちの住まい探しについて、インターネットで調査したところ、「賃貸住宅探し」と、「住宅購入」についてそれぞれ「困ったことやトラブルを経験している」という回答が16.5%ありました。
具体的には、同性のカップルが金融機関で住宅ローンを組む場合、共働きなのに収入を合算することができず、予算を下げたり、1人でローンを組んだりせざるを得なかったケースが少なくないということです。

不動産会社でカミングアウトした際に、入居を断られるのではないかという不安もあるということで、調査では、同性カップルの場合、単身でだまって入居したことがある人が41.9%いました。

会社では、LGBTの人たちへの住宅相談窓口のほかに、賃貸住宅の検索サイトで、「LGBTフレンドリー」というワードで物件を検索できるようにしています。

「大手が取り組むことで、『LGBTフレンドリー』を業界のスタンダードにしたい。いずれ世の中が『LGBTフレンドリー物件』なんて古いことをしているねと言われるようになるのが目標です」(田辺貴久さん)

企業の意識改革 どこまで?

今回話を聞いた2人は、いずれも社内でゲイであることをカミングアウトし、上司や同僚の理解を得て仕事に打ち込むことができた人たちですが、一方で「職場でハラスメントを受け、うつ病になったり退職したりした人も多い」(松中権さん)といいます。

2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、企業の意識改革がどの程度進むのか。それによって東京がLGBTの人たちにとってより生きやすい都市に変わることができるのか。取材を続けたいと思います。