中学校の授業に?「銃剣道」とは

中学校の授業に?「銃剣道」とは
小中学校の新しい学習指導要領が31日に公示され、中学校で教える武道の例に「銃剣道」という競技が加わりました。あまり耳慣れないだけでなく、中学校の授業に適切かどうかという議論も起きています。銃剣道とはどのような競技なのか、取材しました。
銃剣道の試合風景は、剣道と似ていますが、竹刀の代わりに長さ1.66メートル以上、重さ1.1キロ以上の「木銃(もくじゅう)」を使います。剣道と違って認められるのは「突き技」だけで、相手の胸やのどなどを突いて1本を争います。

どんな競技?

銃剣道の試合風景は、剣道と似ていますが、竹刀の代わりに長さ1.66メートル以上、重さ1.1キロ以上の「木銃(もくじゅう)」を使います。剣道と違って認められるのは「突き技」だけで、相手の胸やのどなどを突いて1本を争います。
昭和55年から国体の競技種目にもなっており(現在は隔年実施)、全日本銃剣道連盟(本部・東京)によりますと、国内の競技人口は約3万人、全国に約100か所の道場があるということです。

新たな指導要領に異論

31日に公示された新しい学習指導要領では、武道を教える狙いとして、「我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにする」ためとしています。柔道や剣道、相撲はそのうちひとつが「必修」で、「空手道、なぎなた、弓道、合気道、少林寺拳法、銃剣道など」が、学校や地域に応じて選択できる武道だとしています。
これまで「選択」の武道は「なぎなたなど」でしたが、新たに銃剣道などが加わったわけです。
これに対し異論を唱えたのが、新潟県の米山知事です。
自身のツイッターで、「柔道、剣道、相撲はルールも整備され、競技人口も多くスポーツとして確立しているが銃剣道はその状況になく時代錯誤としか言えない。恐怖を覚えます」と述べました。

そして反対する具体的な理由として、
▽日本で『銃剣』を所持することはできないので、銃剣道を習っても護身に用いることは不可能。
▽棒を使った護身術なら剣道が上。
▽習ったあと競技を続けられる人も極めて限定される。
といった点を挙げたうえで、「戦前精神論への郷愁以外のいったい何でしょうか?」と疑問を述べています。

なぜ反対?銃剣道の成り立ちは

「戦前精神論」という指摘の背景には、銃剣道の成り立ちもあると考えられます。
全日本銃剣道連盟の鈴木健副会長によりますと、銃剣道は明治時代にフランスから伝わった「銃剣術」に日本の槍術を取り入れたもので、旧日本軍の訓練にも導入されたということです。
戦後、昭和31年に連盟が設立され、スポーツとして一般への普及活動が続けられてきました。
それでも現在の競技人口の約9割は、自衛隊員だということです。

こうした経緯や名前の「銃」のイメージが悪いためか、ツイッターなどには「軍国教育に少しずつスライドしている印象を受けてしまう」、「中学教育に『銃』の字が入るなど考えられない」といった否定的な意見のほか、「指導者が少なくて授業が成り立たないのでは」という、実施を懸念する意見も見られました。

一方で、「銃剣道が軍国主義につながるという発想は安易」とか、「銃剣道は立派な武道ですよ」、「試合とかめっちゃ楽しいよ!!」といった意見もあり、議論となっています。

文科省は「あくまで表記に加えただけ」

文部科学省によると、当初は銃剣道を実施している中学校が1校しかなかったため、学習指導要領の改訂案には明記していなかったということです。
しかし改定案についての意見を募ったところ、「国体の種目にもなっていて入れるべきだ」という要望が数多く寄せられたことから、最終的に銃剣道を加えたと説明しています。そのうえで、「あくまで表記に加えただけで、授業で必ず銃剣道をしなくてはいけないものではない」としています。

連盟は「心身の鍛錬と礼節を学ぶことが目的」

全日本銃剣道連盟の鈴木副会長は、学習指導要領に加わったことについて、「非常にありがたい。銃剣道は心身の鍛錬や礼節を学ぶことなどを目的とした近代武道であり、剣道や柔道と変わりはない。防具もしっかりしているので、見た目で感じるより、事故やけがは少ない」として、中学で学ぶ武道に適していると話しています。
そして批判的な意見に対しては、「銃剣道への認識が不十分なところもあるので、実際に競技をしているところを見てもらえれば、理念を理解してもらえるのではないか」と述べています。

新しい学習指導要領は、中学校では平成33年から実施されます。