東芝 半導体事業の売却方法が焦点に

東芝 半導体事業の売却方法が焦点に
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原子力事業で7000億円を超える損失を計上する見通しとなった東芝は、経営の再建に必要な資金を工面するため、主力の半導体事業を分社化する方針ですが、売却する株式の割合をめぐって、社内や主力銀行との間で意見の隔たりがあり、どのように売却を進めるかが大きな焦点となります。
東芝は、経営の再建に必要な資金を工面するため、利益の大半を稼ぎ出している半導体事業を分社化し、その新会社の株式の20%未満を、来月末までに売却する方向で、売却先を選ぶ入札を進めていました。

株式の買い取りには、複数のファンドやメーカーが名乗りを上げていますが、売却する株式の割合が小さいことなどを背景に交渉は思うように進んでいませんでした。

このため、東芝は、14日、売却する株式の割合を過半数に引き上げることを検討すると発表し、綱川智社長は記者会見で、半導体事業を他社に完全に売却する可能性も排除しない考えを示しました。

半導体事業を完全に手放したり、売却する株式の割合を増やしたりすれば、それだけ多くの資金を確保できますが、その一方で、利益の大半を稼ぎ出してきた主力事業や、その主導権を失うことにもなります。このため、東芝の社内には、株式の過半数を売却することは今後の経営への悪影響も大きいため、避けるべきではないかという意見がある一方、主力の取引銀行の間では、経営の主導権を失ってでも、多くの資金を確保して財務状況を抜本的に改善するべきだという意見もあります。

このため、東芝の再建に向けては、主力の半導体事業について入札条件の変更や他社への完全売却も含めて、どのような方針をとるのかが大きな焦点となります。

三重県知事 雇用維持へ支援

東芝が経営の再建に必要な資金を工面するため、主力の半導体事業を分社化する方針を示していることについて、東芝の半導体工場のある三重県の鈴木知事は15日の定例会見で、「外部資本の導入の割合についても今後わかってくると思うので、状況を注視したい」と述べました。

そのうえで、鈴木知事は県の幹部が東芝から聞き取りを行ったことを明らかにし、「四日市工場の雇用は維持すると聞いている。分社化されたとしても四日市工場が世界有数のメモリーの工場であることは変わりなく、県として引き続き雇用が維持され競争力が向上するようしっかり支援していきたい」と述べました。

今後の東芝の主力事業は

東芝は、おととし4月に不正会計の問題が発覚して以降、収益の柱として「原子力を含むエネルギー事業」、「半導体事業」、「社会インフラ事業」の3つを位置づけてきました。

去年4月から9月までの半年間の決算で見ますと、営業利益は、原子力を含むエネルギー事業が96億円、社会インフラ事業が112億円だった一方、半導体事業は783億円に上り、利益の大半を占めています。スマートフォンなどに使われる記憶用の半導体で、世界的に高いシェアを占め、東芝の屋台骨を支えてきた事業です。

しかし、このうち、原子力を含むエネルギー事業は、今回、巨額の損失が明らかになるなどリスクが大きく、今後、海外では、新規の建設事業の受注をとりやめるなど、事業を縮小する方針を打ち出しました。

さらに、半導体事業は、財務を改善する資金を工面するため、本体から切り離して分社化し、外部からの出資を受け入れる方針です。

当初は、株式を売却する割合は20%未満に抑えることで、経営の主導権を維持する方針でしたが、14日、売却する株式の比率を過半数まで引き上げたり、事業全体を売却したりする可能性も排除しない方針を打ち出しました。

成長戦略の柱に位置づけた3つの事業のうち2つの事業で、大幅な方針転換を余儀なくされた形です。

こうした中、東芝が、14日の記者会見で今後の経営の柱として強調したのが、社会インフラ事業です。しかし、半導体事業に比べると、利益の額は小さく、経営を支えるだけの利益を稼ぎ出す事業に育てることができるかが、課題となります。社会インフラ事業は、モーターなどの鉄道部品や、ハイブリット車などに使われる蓄電池、それに、エレベーターなどを手がける事業です。

現在の利益額は、半導体事業の7分の1程度にとどまっていますが、特に海外での成長が見込めるとしています。一方で、国内外のメーカーとの競争が激しく、いかに早く成長軌道にのせることができるかが課題となります。

業績の推移

創業140年を超える「東芝」は、電機業界で唯一、経団連の会長を2人も輩出するなど、日本を代表する名門企業として知られてきました。

半導体や液晶パネル、パソコンなど、その時々の成長分野に積極的に事業を拡大し、昭和54年度には1511億円だった営業利益は、その10年後の平成元年度には、過去最高の3159億円にまで達しました。

その後、いわゆる「ITバブル」が崩壊したあとの平成13年度、「リーマンショック」後の平成20年度には、営業利益が大幅な赤字に陥りましたが、そのつど業績を立て直してきました。

しかし、おととし、不正会計の問題が明らかになって以降は業績を立て直せずにいます。財務の健全性を示す目安で、マイナスになると債務超過とされる「株主資本」はピークだった平成9年3月末(まつ)には1兆3888億円まで拡大していました。

これが、去年12月末の時点では、マイナス1912億円と、大幅な債務超過に陥った見通しです。

東芝によりますと、債務超過になったのは創業以来、初めてだということです。