小学校の英語は3年生から 学習指導要領の改訂案公表

小学校の英語は3年生から 学習指導要領の改訂案公表
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小中学校で教える内容を示した学習指導要領の改訂案が公表され、小学校の英語は3年後から3年生に前倒しされるほか、5年生からは「読む」「書く」を加えた正式な教科となり、授業時間も今の週1時間から2時間へと増えます。専門家は「小学校では授業時間をどう確保するかが大きな課題となる」と指摘しています。
小中学校で教える教育内容や目標を示した学習指導要領は、おおむね10年ごとに改訂されます。

新たな学習指導要領は小学校で3年後、中学校で4年後に始まり、このうち小学校の英語は、現在の5年生から3年生に前倒しして、「話す」「聞く」を中心に実施されます。また、5年生と6年生は「読む」「書く」を加えた正式な教科となり、教科書を使った授業が行われて成績もつけられます。授業時間も現在の週1時間から2時間に増えることになります。

中学校でも、取り扱う英単語などの数を今の1200程度から1600から1800程度にまで増やすほか、授業も原則、英語で行うとしています。このほか、子どもたちにグループで議論させて、みずから考える力を育てる「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる新たな学習方法がすべての教科で導入されます。

学習指導要領はゆとり教育の見直しが図られた平成20年の改訂以来、授業時間や教える量を増加させていますが、文部科学省はこれによる教員の負担を減らすため外部人材の活用を進めるなど、支援体制を強化することにしています。

早稲田大学教職大学院の遠藤真司客員教授は「小学校では現在も授業時間のやりくりが限界で、時間の確保が大きな課題となっている。このほか、発達障害児や保護者対応など教員の多忙化も深刻だ。さらに英語が不得意の教員も多く、国がいかにして指導力を向上させていくかが重要だ」と話しています。

改定される各教科の内容は

今回改訂される学習指導要領の各教科の主な内容です。

社会科では、沖縄県の尖閣諸島と島根県の竹島について、初めて北方領土と同じく「我が国固有の領土」と明記されます。

小中学校の算数・数学では日々の生活でデータを収集したり、分析したりする力をつけるため、統計的な内容を充実しました。例えば、現在、中学1年で学ぶ平均値の単元を小学6年に前倒しして学びます。

理科では、東日本大震災や相次ぐ豪雨災害を受けて自然災害に関する内容を充実させます。小学4年では大雨の時の水の流れを、中学1年では、津波が発生する仕組みなどそれぞれ学びます。

先行して改訂された道徳は平成30年度から正式な教科となり、検定教科書が使われます。しかし、数値による評価や入試への活用はしないということです。

中学校の体育では現在の武道を弾力化して、柔道、剣道、相撲以外にも合気道や弓道、それに空手道などをそれぞれの地域に応じて選択できるようになります。

また、総合的な学習の時間ではプログラミングを体験するよう求めています。

授業時間の確保が課題に

英語の教科化に伴って、小学校の5、6年生では1年間で35時間増える授業時間をどう確保するかが課題となります。これについて、文部科学省は次のような案を示しています。

一つは、夏休みや冬休みなどの長期休暇を削減したり、土曜日に授業を行ったりして、時間を確保する方法です。この場合、通常の45分間の授業が可能となり、子どもたちが学習のリズムを維持できる一方、長期休業を削るため、地域や家庭の理解を得る必要があります。

次に、時間割を弾力的に編成する方法です。45分間の授業を行う代わりに朝学習の時間などを活用して、週に3日、15分間の授業を行うことでこの時間を確保します。柔軟な授業時間が設定できる一方、補習の時間や校内会議などの時間が削られる可能性があります。

保護者は賛否さまざま

小学校の英語が教科化されることについて、保護者からは賛成、反対のさまざまな声が聞かれました。

この春、小学生になる娘の母親は「国際化する中で、英語の時間は増やせば増やすほどいいと思う。英語に触れる時間が増えればその分、子どもは英語や外国に興味を持ってくれると思う」と話していました。
小学1年生の母親は「英語の時間が増えるのは賛成だが、やるからにはネイティブの先生を増やすなど質を高めてほしい」と話していました。

これに対して、小学1年生と4年生の母親は「幼いうちはまずは日本語の力を上げることが優先だと思う。小学校で英語の時間を増やしたからといって英語が話せるようになるかは疑問だ」と話していました。
また、小学1年生と5年生の父親は「娘は海外でダンサーになりたいという夢があるから英語を習わせているが、学校では日本語をしっかりと身につけさせてほしい。子どもに英語を教えたい人はすでに英会話スクールに通わせているので、無理に学校で英語の時間を増やさなくてもいいと思う」と話していました。

文部科学相「学校や先生を支えたい」

松野文部科学大臣は記者会見で、「新しい学習指導要領の実施に向け、教職員定数の改善、業務改善の推進、教科書など教材の改善・充実、優れた教育実践の収集など、一つ一つに誠心誠意取り組み、学校や先生を支えたい」と述べました。

また、沖縄県の尖閣諸島と島根県の竹島を初めて「我が国固有の領土」と明記することについて、松野大臣は「日本の将来を担う子どもたちが、自国の領土について正しく理解をすることは、主権国家の公教育において当然のことであり、海外からの、さまざまな意見・批判等にしっかりと対応するためにも、まず正しい知識を身につけることが肝要だろう」と述べました。