トランプ次期大統領会見 経済界の受け止めは

トランプ次期大統領会見 経済界の受け止めは
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アメリカのトランプ次期大統領が選挙後に初めて記者会見を開き、日本も含めた貿易の不均衡是正などに意欲を示したことについて、日本国内の企業からは先行きへの懸念の声が聞かれるなど、経済界にはさまざまな受け止めが広がっています。
トランプ次期大統領の記者会見について、日本商工会議所の三村会頭は「これは記者会見であって就任演説ではない。1月20日の就任以降は統治者としての大統領が出てくるはずだから、トランプ氏がどう切り替わるかに強い関心を持っている」と述べました。

そのうえで三村会頭は日本企業への影響について、「いちばん心配しているのは、トランプ氏の一つ一つの言動で株価や為替が変動することだ。企業は何をベースに経営をしたらいいのかという戸惑いを感じており、好ましいことではない。トランプ氏は早く統治モードに切り替えて整合性のある政策を打ち出し、不安を払拭(ふっしょく)する方向に行ってもらいたい」と述べました。

日商会頭「整合性のある政策を」

トランプ次期大統領の記者会見について、日本商工会議所の三村会頭は「これは記者会見であって就任演説ではない。1月20日の就任以降は統治者としての大統領が出てくるはずだから、トランプ氏がどう切り替わるかに強い関心を持っている」と述べました。

そのうえで三村会頭は日本企業への影響について、「いちばん心配しているのは、トランプ氏の一つ一つの言動で株価や為替が変動することだ。企業は何をベースに経営をしたらいいのかという戸惑いを感じており、好ましいことではない。トランプ氏は早く統治モードに切り替えて整合性のある政策を打ち出し、不安を払拭(ふっしょく)する方向に行ってもらいたい」と述べました。

中小企業経営者は

トランプ次期大統領の記者会見について、中小企業の経営者からは懸念の声が相次いだ一方、経済の活性化策に期待する声も聞かれました。

東京・千代田区のホテルでは、東京商工会議所の新年の賀詞交歓会が開かれ、会員となっている中小企業の経営者などおよそ1000人が集まりました。

このうち、葛飾区にある自動車部品メーカーの浅川弘人会長は、「極端な政策が実行され、アメリカへの自動車の輸出にブレーキがかかると思う。われわれの商売にかなりの影響が出てきそうで、先行きが不透明だ。自分たちでどうにもならない部分もあるが対策が必要になってくる」と述べていました。

また、千葉県我孫子市にあるシステム制作会社の松浦弘禧社長は、「名指しで企業やメディアを批判するなど、これまでの大統領にはないやり方を懸念している。アメリカの保険会社とも取り引きしているので、ビジネスに影響が出ないかとても不安だ」と話していました。

一方、港区のビル管理会社の矢口敏和社長は「過激な発言が目立つが、大統領に就任したあとにはしっかりした政策が出て経済の活性化につながるのではないか。ビジネスで成功したトランプ次期大統領の手腕に期待したい」と話していました。

メキシコに工場拡張のメーカーは警戒感

メキシコの工場を拡張している日本の自動車部品メーカーは、今後の関税の引き上げなどに警戒感を示しています。

大手自動車部品メーカーの「ヨロズ」は、サスペンションと呼ばれる部品を製造し、日産自動車やトヨタ自動車などに供給しています。メキシコには2つの工場があり、自動車メーカーがメキシコで新しい工場を建設しているのに合わせて工場を拡張しています。

メキシコで作られた製品の輸入に関税をかける方針を示しているトランプ次期大統領は記者会見で、貿易の不均衡を是正し、アメリカの利益を最優先に確保する姿勢を改めて強調しました。

これについて、この部品メーカーの佐藤和己副会長は「自動車業界は神経をとがらせている。もし関税が上がって自動車メーカーがメキシコでの生産を今の半分にすれば、われわれも生産を半分に縮小しないといけない。トランプ次期大統領が本当に関税を上げてしまえば世界の貿易の均衡が一気に崩れてしまう」と述べました。

名古屋市にある大同メタル工業は、自動車のエンジンに使われる部品を生産していて、北米向けの生産拠点であるメキシコの工場からトヨタやフォードなどに部品を納めています。

この会社では、アメリカの自動車需要が堅調なことから、メキシコの工場の生産力を増やすため、今年度と来年度に合わせておよそ30億円を投資する計画です。トランプ次期大統領のメキシコへの政策によっては事業が大きな影響を受けるだけに懸念しています。

判治誠吾会長は、「会見はツイッターの内容と同じようなことで、部品メーカーにとってはいいニュースではない。われわれは年間600万台分の部品をメキシコで作っていて、そのうち8割をアメリカに輸出している。メキシコの部品に高い関税がかけられればアメリカの国民が高い車を買うことになり、アメリカにとってもいいことではない」と話しています。

関西の企業も懸念

メキシコに生産拠点を置いて、現地の日本の自動車メーカーの工場と取引がある関西の企業からも、今後の影響を懸念する声が上がっています。

大阪・北区に本社がある素材メーカーの東洋紡は、自動車のエンジンカバーなど、内装や外装に使われる樹脂を製造しています。3年前、日本の大手自動車メーカーの多くが、工場を置いているメキシコに生産拠点を設立して取引を拡大させ、3年後には、現地での売り上げを20億円にまで伸ばす目標を掲げています。しかし、仮に今後、日本の自動車メーカーがメキシコから撤退したり、生産を縮小させたりすれば、経営戦略の見直しを迫られるとして、影響を懸念しています。

東洋紡の永田種昭グローバル推進本部長は、「会見では、これまでの発言どおり、アメリカの雇用をしっかり守っていきたいというトランプ氏の意思を感じた。メキシコに拠点を置く自動車メーカーなどがこれからどう対応するのか、その流れに乗り遅れることがないよう情報収集を行っていきたい」と話していました。

再生可能エネルギーの行方は

トランプ次期大統領は、地球温暖化について、選挙期間中に「でっち上げだ」と述べたほか、アメリカ国内のシェールガスや石炭などの化石燃料を最大限に活用し、雇用や経済効果を生み出すなどと主張し、温暖化対策に消極的な姿勢を示してきました。トランプ次期大統領は、会見で温暖化対策には言及しませんでした。

この会見を受けて、大阪市に本社があり、太陽光などで発電した電気を蓄積する大型の蓄電池をアメリカに売り込んでいる住友電工の伊藤順司常務取締役は、「選挙中には地球温暖化の政策に関する発言はたくさん出ているが、どれだけ具体的になるのかがわからず、もう少し新政権の政策を見ないと、この段階では判断できない」と述べ、先行きが見えないことへの懸念を示しました。

住友電工は、オバマ政権下のアメリカで再生可能エネルギーの導入が進んだことから、去年からアメリカに設備の売り込みを進め、今月末にも西海岸のカリフォルニア州のサンディエゴで、この会社が製造した大型の蓄電池が初めて稼働する予定になっています。
伊藤常務取締役は、「今回の稼働の実績をベースにアメリカ西海岸のマーケットに入っていこうとしていて、大きな市場だと思っている。うちの会社の電池を日本で作ってアメリカに持って行くのではなく、アメリカ国内で作り、提供することも検討しているので、アメリカの経済活動全体を活性化しようということであれば、私たちのビジネスモデルとそれほど違和感はないと考えている」と述べ、今行っている取り組みを今後も続ける考えを示しました。