飲食店の原則禁煙案 業界団体が見直し要望へ

飲食店の原則禁煙案 業界団体が見直し要望へ
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他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙を防ぐため、厚生労働省が、飲食店を原則として禁煙とする案を示しているのに対し、業界団体が、経営に悪影響を及ぼすなどとして、政府・与党に見直しを要望することを決めました。
厚生労働省は、飲食店での受動喫煙への対策を強化するため、壁などで完全に仕切った喫煙室を除いて建物の中を禁煙とし、違反した場合は、管理者や喫煙者への罰則を設ける案を示しています。

これに対し、飲食店などの5つの業界団体が12日に東京都内で緊急集会を開き、居酒屋やレストランの経営者らおよそ450人が集まりました。

出席者からは、小規模な飲食店で喫煙室を作ることは、物理的にも金銭的にも難しいとか、喫煙者の客が減少して経営に悪影響が及ぶといった意見が相次いで出されました。
そして、建物内を一律で全面禁煙とする案を見直すよう、政府・与党に要望していくことを決めました。

外食チェーンなどで作る日本フードサービス協会の菊地唯夫会長は「居酒屋などお酒を出す業態や小規模な事業者ほど、コストの増加や客離れによる影響が大きい。一律に禁煙にするのではなく喫煙、禁煙、分煙と事業者ごとに判断できる制度にしてほしい」話しています。

この受動喫煙対策をめぐっては、日本医師会など30を超える団体が、建物内での喫煙を完全に禁止するよう求めていて、厚生労働省は、さまざまな意見を踏まえ、ことしの通常国会に法案を提出することを目指しています。

厚生労働省の対策 その背景には

受動喫煙をめぐっては、健康増進法などの法律で多くの人が利用する施設では防止するために必要な措置を講ずるよう求めていますが、罰則がない努力義務となっています。

飲食店などでは、喫煙席と禁煙席を分ける分煙の取り組みが広がっているものの、席やスペースを離すだけなど空間が完全には仕切られていない施設が多く、受動喫煙を防ぎ切れていないのが現状です。

これに対し、厚生労働省が去年10月に示した案では、官公庁や競技場、社会福祉施設などは建物内を、医療機関や小中学校などは建物も含めた敷地内を全面的に禁煙にするとしています。

また、飲食店やホテル、旅館などのサービス業の施設に加え、駅や空港、バスターミナルなども原則として建物内を禁煙とし、例外として、たばこの煙を外に漏らさない喫煙室の設置を認めるとしています。

違反した場合は、自治体が勧告などを行い、従わなければ、店の経営者や施設の管理者、それに喫煙した人に罰則が科されることになります。

国がこうした規制の導入を目指す背景には、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていることがあります。

特にIOC=国際オリンピック委員会は、開催国に「たばこのないオリンピック」を求めていて、イギリスやブラジルなどの開催国も、開催に合わせて建物内を全面的に禁煙にする、罰則付きの規制を設けています。

厚生労働省が示した今回の規制案について、消費者団体や学会などから歓迎する声が上がる一方で、飲食店や、パチンコの事業者などで作る業界団体は「喫煙客が離れ、経営不振を招く」などと強く反発しています。

厚生労働省は必要な法律案をことしの通常国会に提出することを目指していて、引き続き業界団体から意見を聞くなどして、規制の範囲について検討を進めていく方針です。

分煙からその先へ あるファミレスでは

喫煙席と禁煙席を分ける分煙に取り組んでいる、大手のファミリーレストランでは、国による受動喫煙対策の強化を見据えて、より踏み込んだ対応も検討しています。

全国でおよそ3000店舗を展開するファミリーレストランのチェーンでは、4年前から店舗の改装に合わせて分煙を進めています。

このうち、東京・三鷹市の店舗では、ガラス製の壁で喫煙席を仕切り、出入り口の上部から空気を流して禁煙席に煙が漏れないような対策を行っています。
1歳の息子と訪れたたばこを吸わない30代の女性は「子どもがいるので本当は完全禁煙がうれしいが、この店では煙が気にならないので、よく利用しています」と話していました。

この会社では、国による受動喫煙対策の強化も見据えて、今後の対応を検討していくとしています。
「すかいらーく」マーケティング本部の小林大祐さんは「客だけではなく、従業員の受動喫煙も課題だと考えている。店舗に喫煙室を設けて、全席を禁煙する取り組みも実験的に行っているので、こうした店舗の本格導入も選択肢の1つとして対応を検討していきたい」と話しています。

先取りで客席は全面禁煙に

飲食店の中には、厚生労働省が検討する受動喫煙対策の強化をいわば先取りする形で、対応を進める動きもあります。

このうち、東京のJR新橋駅の近くにあるビアホールは、3年前にオープンする際に、客席は全面的に禁煙にして壁で仕切った喫煙室を別に設けました。
このビアホールを運営する外食チェーンでは、全国にある140余りの店舗のうち2割程度で、このように喫煙室を設けることで、客席は全面禁煙にしているということです。

喫煙室を利用していた男性客は「時代の流れなので、多少不便でもしかたがないと思います。寒い外ではなく、温かい室内で吸えるだけ感謝したいです」と話していました。

また、たばこを吸わないという女性客は「海外では、飲食店でたばこを吸わないのは当たり前で、喫煙室を作ることもどうかと思う。ご飯も美味しくなくなるし、髪の毛に、においもつくので、禁煙は徹底してほしいです」と話していました。