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9月10日のニュース

福島第一原発廃炉 政府が一定支援の検討に入る

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉をめぐって、政府は想定を大きく超えて費用が膨らむとして、一定の支援の検討に入りました。東京電力が送電線の利用料=託送料に費用を上乗せして、国がその一部を支援するなど、複数の案をもとに関係省庁間で今後調整を本格化させることにしています。
福島第一原子力発電所の廃炉をめぐっては、汚染水対策に加えて、溶け落ちた核燃料を取り出すなど困難な作業もあり、費用が巨額に膨らむと見込まれています。

これまでは事故を起こした東京電力の責任のもと、作業が進められ、東京電力は合理化などで10年間で2兆円の費用を捻出するとしています。しかし、このまま費用が膨らめば、経営が立ちゆかなくなり、廃炉作業などが滞る懸念も出ています。

このため政府は、関係省庁間で、東京電力の廃炉について一定の支援の検討に入りました。具体的には、東京電力の送電線を通じて電気の供給を受けている家庭や企業などが負担している送電線の利用料=託送料に費用を上乗せする形で賄い、国がその一部を支援する案や、国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の中に新たな基金を設けて支援するなど、複数の案を議論します。
ただ、これまでも国は賠償や除染に必要な資金を一時的に肩代わりする枠を9兆円に拡大しているほか、廃炉・汚染水対策でも一部、研究開発費として実質的な支援を行っていて、追加的な支援には国民の反発を招くおそれもあり、政府内の調整は難航することも予想されます。
さまざまな費用を国が負担
東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償や除染、それに廃炉は、東京電力の責任のもとで行われていますが、費用については国も一部を負担しています。
このうち損害賠償と除染の費用は、国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が9兆円の枠を設けて、東京電力の負担を一時的に肩代わりしています。
ことし7月までに、事故の賠償は5兆8000億円余り、除染は4700億円余りに上っています。かかった費用は、東京電力が経常利益から支払うほか、東京電力を含む原子力発電事業を行う全国の電力各社が毎年納める負担金によって回収する仕組みになっています。
一方、廃炉・汚染水対策も、技術的に難度が高い対策については国費を投入しています。昨年度までに、廃炉・汚染水対策の研究開発費としておよそ680億円、周囲の地盤を凍らせて原発建屋に地下水が流入するのを防ぐ凍土壁を造る費用としておよそ340億円を国が負担しています。

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