40年後の未来へ 福島第一原発の今

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4月9日のニュース

福島第一原発 廃炉計画 「気中工法」を明記

最長で40年かかるとされる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた計画の骨子が公表され、最大の課題である溶け落ちた核燃料の取り出し方について、原子炉を取り囲む格納容器を水で満たさずに取り出す「気中工法」が、重点的に取り組む方針として初めて明記されました。

福島第一原発の事故では、3つの原子炉で核燃料が溶け落ちていて、こうした核燃料の取り出しは、極めて強い放射線を遮るため原子炉を取り囲む格納容器を水で満たす「冠水工法」と呼ばれる方法で行うとされていました。これに対し、国の技術的な計画「戦略プラン」を策定してきた原子力損害賠償・廃炉等支援機構は9日、計画の骨子を初めて公表しました。
この中では核燃料の取り出し方について、従来の「冠水工法」に加え、格納容器を水で満たさない「気中工法」と呼ばれる方法を重点的に取り組む方針として初めて明記したうえで、「気中工法」について、原子炉の上から取り出す方法と格納容器の横に穴を開けて取り出す方法の2通りを示しています。
さらに骨子では、それぞれの工法の課題を指摘していて、「冠水工法」の場合、格納容器の水漏れを止めることが前提になるうえ、大量の水の重みがかかった際の耐震性の確保も大きな課題としています。
一方で「気中方法」では、極めて高い放射線によって、人だけでなくロボットなどの機械にも影響が懸念されるほか、放射性物質が飛び散らないような対策も求められるとしています。
国や東京電力は、それぞれの原子炉で溶け落ちた核燃料の状態について調査を進めたうえで、来年度末までにどの方法を選ぶかを決めることにしています。

[核燃料はどこに 廃炉への険しい道のり]
福島第一原発の事故で溶け落ちた核燃料の一部は、原子炉を突き破って、その外側を取り囲む格納容器の底に達しているとみられていますが、極めて強い放射線に阻まれ、どこにどのような状態であるのかは、事故発生から4年たった現在も分かっていません。
国と東京電力は、さまざまな物質を通り抜ける性質がある「ミューオン」という素粒子を使い、レントゲン写真のように1号機の原子炉建屋を透視する調査を行いました。その結果、原子炉の中には核燃料が見当たらず、ほとんどが原子炉の底を突き抜けて格納容器に落ちた可能性が高まっています。さらに1号機では、これまでの調査やシミュレーションから、溶け落ちた核燃料が格納容器の壁に触れて穴を開ける「シェルアタック」が起きた可能性も指摘されています。
格納容器本体に穴が開いてしまうと修復が非常に困難になるため、核燃料から出る放射線を遮るために内部を水で満たすことも難しくなります。このため、国と東京電力は10日から、1号機の格納容器の中にロボットを入れ、内部の損傷の状況を直接調べる初めての調査を行う計画です。また、2号機と3号機についても、核燃料を取り出す具体的な方法について検討を急いでいます。
一方、水で満たさずに格納容器の横に穴を開けた場合、何も対策を取らなければ、放射線量は人が死に至るレベルに数分で達すると推定されていて、こうした放射線を遮る技術や極めて強い放射線に耐えられるロボットの開発が不可欠になります。
廃炉の最大の課題とされる溶け落ちた核燃料の取り出しに向けて、作業員の被ばくをどう抑えるか、廃炉の険しい道のりが浮き彫りとなっています。

[メーカーが検討する「気中工法」]
原子炉メーカーの三菱重工業は、格納容器を水で満たさない「気中工法」のうち、格納容器の横に穴を開けて核燃料を取り出す方法の検討を進めています。三菱重工業が作ったイメージ動画では、まず格納容器の横に穴を開けて放射線を遮る小部屋を取り付け、そこから遠隔操作のロボットアームをレールに乗せて格納容器の底まで入れます。ロボットアームは形を変えて構造物をよけながら、核燃料がたまっているとみられる原子炉の真下に進みます。そして、溶け落ちた核燃料を少しずつ削り取りながら回収するとしています。

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