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8月31日のニュース

原発事故「賠償紛争解決センター」3年 課題も

原発事故の被害者と東京電力の和解を仲介する国の「原子力損害賠償紛争解決センター」が受け付けを始めてから来月1日で3年になります。これまでにおよそ8000件の和解が成立した一方で、最近相次いでいる東京電力が和解案の受け入れを明確に拒否するケースにどう対応していくか大きな課題になっています。

国の「原子力損害賠償紛争解決センター」は、原発事故の被害者と東京電力の和解を仲介するために設けられたもので、受け付けを始めてから来月1日で3年になります。
受け付けの開始から今月28日までに、福島県の住民や企業などのほか隣接する県の住民などから1万2789件の申し立てがあり、8179件で和解が成立しています。申し立て件数は事故から1年余りたったおととし夏ごろを境に減少しましたが、去年秋ごろから再び増え始め、ことしに入ってからは1か月に400件から500件を超える申し立てがあります。こうした傾向についてセンターでは、「事故から3年以上たっても被害の収束が見えない不安定な状態が続き、被害者の不安や不満が高まっているのではないか」と話しています。
一方、センターによりますと、最近、東京電力がセンターが示した和解案の受け入れを明確に拒否するケースが相次いでいるということで、どう対応していくか大きな課題となっています。原子力損害賠償紛争解決センターの團藤丈士室長は、「東京電力は『和解案を尊重する』と約束しており、被害者のためにもどのような対応がベストなのか、もう一度考えてほしい」と話しています。

【「原子力損害賠償紛争解決センター」とは】
国の「原子力損害賠償紛争解決センター」は、前例のない規模で行われる原発事故の賠償を迅速に進めるために設けられ、事故から半年近くたった平成23年の9月1日から受け付けを開始しました。申し立てを無料とし被害の証明もある程度緩やかに認めることで費用や時間のかかる裁判に比べて負担を軽くし、早期の解決を目指すもので、平均すると6か月程度で和解が成立しています。和解の仲介は弁護士が中立の立場で行っていて、現在およそ470人の弁護士が業務に当たっています。原発事故の賠償は国の審査会が「中間指針」という形で目安となる基準を定めていますが、センターでは指針に基づきながらも個別の事情などを考慮して和解案を作成していて、指針には明確に書かれていない賠償を認めるケースもあります。

【明確に拒否するケース相次ぐ】
センターの和解案に強制力はありませんが、東京電力は「和解案を尊重する」として、これまで和解案に対して異議は主張してもほとんどのケースで最終的には受け入れてきました。しかし、最近、和解案の受け入れを明確に拒否するケースが相次いでいます。このうち、センターと東京電力が激しい対立を見せているのが、すべての住民が避難している福島県浪江町が、住民1万5000人余りの代理人となって集団申し立てを行ったケースです。このケースではことし3月、センターが国の審査会の中間指針で定められた月10万円の慰謝料に5万円を一律に上乗せする和解案を示しました。この和解案について、東京電力は、「浪江町民であることだけで中間指針を超える増額を認めていて、公平性の面で影響が極めて大きい」などとして受け入れを明確に拒否しています。こうした姿勢に対してセンターは今月、「センターが中間指針からかい離した和解案を出すことはなく、拒否は仲介の手続きを軽視するものだ」と批判する異例の文書を公開し、受け入れを強く求めています。東京電力は和解案を拒否していることについて、「和解案を尊重する考えに変わりはないが、中間指針の考え方からかい離していると考えられる場合などには慎重に対応している」とコメントしています。
原発の賠償問題に詳しい大阪市立大学の除本理史教授は、「和解が成立しないと被害者が裁判に流れることになり、被害者と東京電力が迅速に和解をするというセンターの仕組み自体が危うくなる可能性がある。和解が成立するかどうかがセンターの今後を占う試金石となりうる」と指摘しています。

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