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6月10日のニュース

帰還困難区域 除染で線量下がるも高水準

原発事故の影響で放射線量が高く、長期間、住民が戻るのが難しいとされる福島県内の帰還困難区域で、環境省が行った試験的な除染の結果がまとまり、放射線量はおおむね除染前の半分以下に下がったものの、依然として比較的高い水準にとどまったことが分かりました。
東京電力福島第一原子力発電所に近く、年間の被ばく線量が50ミリシーベルトを超える帰還困難区域は、長期間、住民が地元に戻るのが難しいとされていて、本格的な除染は行われていません。
環境省は、去年10月からことし1月にかけて、浪江町と双葉町の帰還困難区域の6か所で、除染の効果などを確かめる試験的な除染を行い、10日、その結果を公表しました。
それによりますと、浪江町では、3つの地区の住宅地、農地、道路などで除染が行われ、このうち住宅地では、除染後の放射線量が平均で1時間当たり3.26マイクロシーベルトから8.47マイクロシーベルトで、除染前の半分から4割ほどに下がりました。
また、双葉町では病院、幼稚園、公園とその周辺で除染が行われ、それぞれの主な場所で平均で1時間当たり3.01マイクロシーベルトから4.46マイクロシーベルトで、除染前の2割から3割ほどに下がったということです。
除染後の放射線量はおおむね除染前の半分以下に下がり、避難指示が解除される際の目安となる年間20ミリシーベルト、1時間当たりに換算して3.8マイクロシーベルトを下回ったところもありましたが、国が除染が必要としている1時間当たり0.23マイクロシーベルトと比べると、いずれも10倍以上の水準にとどまっています。
政府は、この結果を基に帰還困難区域の放射線量が今後どうなるのかシミュレーションを行ったうえで、住民の帰還の意向などを考慮し、本格的な除染を行うかどうかを含めて帰還困難区域の復興の在り方を検討することにしています。

【帰宅困難地域の除染の現状】
避難指示区域の除染は国が行うことになっていて、避難指示解除準備区域と居住制限区域については、一部を除き計画が策定され、作業が行われています。
しかし、最も放射線量が高い帰還困難区域については、一時帰宅などで利用する国道6号線や国道114号線、それに墓地や警察署、消防署などで例外的に行われているだけです。
地元の町村や福島県は、帰還困難区域でもほかの区域と同じような面的な除染を求めていますが、環境省は今回の試験的な除染の結果を基に検討するとして、いまだに方針を示していません。

【放射線量が下がらない理由】
帰還困難区域は東京電力福島第一原発周辺の7つの市町村に広がり、ことし4月現在でおよそ9100世帯、2万4500人が住民登録しています。
面積は合わせておよそ337平方キロメートルで、東京ドーム7200個分の広さになります。
今回の試験的な除染は、住宅の屋根や建物の壁を水で拭き取ったり、高圧の水で洗い流したりする標準的な方法で放射線量がどの程度下がるのかを確かめようと行われました。
環境省によりますと、放射性物質は屋根やアスファルトなどの極めて小さい隙間にも入り込むため、拭き取ったり洗い流したりしても完全に取り除くことはできないということです。
特に原発から近い帰還困難区域では、付着した放射性物質が大量で取り除くことができないものが多いため、除染をしても放射線量がほかの地域より高いままになるのではないかと考えられるということです。

【国が責任を持って除染を】
試験的な除染が行われた福島県浪江町の馬場有町長は「帰還困難区域を除染で元の状態に戻すにはかなりの時間がかかること、そして今の除染技術に限界があることが見えてきた」と述べました。
そのうえで「結果を受けて『放射線量が高いから除染をやらない』というのは許されない。時間はかかるが、われわれの子や孫の世代がふるさとで生活できるように、国が責任を持って除染をやっていただきたい」と話していました。

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