40年後の未来へ 福島第一原発の今

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4月25日のニュース

廃炉下請け企業「継続」は半数

  • 汚染水貯蔵タンク

東京電力福島第一原子力発電所で廃炉作業に関わっている下請け企業のうち、NHKが、取材で判明した企業に「今後も作業を続けるか」尋ねたところ、「続ける」と答えた企業が、全体のほぼ半数にとどまりました。
長期的な作業員の確保が課題になるなか、専門家は「廃炉作業から撤退する企業がさらに増えていくと、廃炉の進ちょくに影響を与えかねない」と指摘しています。
30年から40年かかると言われている福島第一原発の廃炉作業は、全国およそ800社の下請け企業が関わっていますが、東京電力は、直接発注する元請け以外、企業の名前を公表していません。
NHKはこのうち、取材で判明した278社に現状や課題などを聞いた結果、全体の37%に当たる102社から回答を得ました。
このなかで「今後も廃炉作業を続けるか」尋ねたところ、「続ける」と答えた企業は、全体の53%にとどまりました。
一方、「今後は分からない」が30%、「続けない」が15%でした。
その理由を複数回答で尋ねたところ「作業員への放射線の影響が心配」が43%と最も多く、次いで「工事の単価が安い」が35%、「作業員が集まらない」が20%などとなりました。
東京電力によりますと、福島第一原発では1日およそ4000人が作業に当たっていて、現在は溶け落ちた核燃料の取り出しに向けて、原子炉建屋内部の調査やがれきの撤去などが行われているということです。
東京電力は、廃炉作業に必要な作業員の数について、昨年度当初1万800人と見込んでいましたが、実際はこの予測を3000人上回りました。
今後も必要な人数はさらに増えると見込んでいて長期的な作業員の確保が課題だとしています。

【「長期的な態勢が必要」】
原発作業員の労働問題に詳しい東京大学大学院の縄田和満教授は「廃炉作業から撤退する企業がさらに増えていくと、作業に携わる企業や人手が不足し、廃炉の進ちょくに影響を与えかねない。40年とも言われる廃炉は、状況が劇的に改善されるものではなく、長期的に作業を続けられる態勢に変える必要がある」と指摘しています。

【撤退の背景に受注単価の安さ】
福島県にある塗装会社は、東京電力の発注工事の1次下請けとして、福島第一原発の事故のあと汚染水の貯蔵タンクの塗装や作業員の線量計の管理業務などを受注してきました。
この会社を経営してきた大和清美さん(67)は、塗装の作業員として建設当時から福島第一原発に関わり、36年前に会社を設立したあとも主にこの原発の工事を請け負ってきました。
しかし、受注先の元請け企業が支払う工事の単価が事故の1年後から下がり始め、現在は事故直後に比べ30%ほど少なくなっているといいます。
元請け企業からは、東京電力が進めるコストカットの影響で単価を下げざるをえないと説明されていて、こうした単価の減少などで毎月200万円から300万円の赤字の状態が続いているということです。
さらに、現場の高い放射線量を懸念して会社を辞める作業員も出ていて、事故当初は20人いた作業員が今では15人に減ったということです。
大和さんは利益が出ないうえ、被ばくを余儀なくされる廃炉作業からは今年度末をめどに撤退し、今後は廃炉以外の工事に専念したいと考えています。
大和さんは「今の廃炉作業では、収入より従業員に支払う給料のほうが多く経営が成り立たない。長年福島第一原発に関わってきたが撤退はしかたないと諦めている」と話していました。

【待遇改善の対策】
東京電力は去年11月に作業員の待遇や労働環境を改善するための対策を打ち出しました。
具体的には、経費削減のために拡大させた一部の競争入札を随意契約に見直すほか、作業員の人件費の見積額を1人当たり1日、1万円上積みしていたものを2万円に増額しました。
しかしこの対策について、東京電力は、下請け企業が作業員に支払う給料にまで直接関与できないとして、作業員の手元に増額した1万円が全額渡るとはかぎらないとしています。
このため、直接取引関係がある元請け企業に対して、増額分が作業員の給料にできるだけ反映されるよう対応を求め、結果の報告を求めています。
東京電力は「廃炉作業にはこれまで経験したことのない多様な専門性や高度な技術が欠かせず、作業を着実に実行するためには多くの企業で成り立つ下請け構造は必要だと考える。今後も作業員の待遇が適切に確保されるよう取り組みを続けていきたい」としています。

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